昨日は「ヴォーリズIN近江八幡」のイベントの前田邸見学会へ申し込みをしていたので近江八幡へ行ってきた。
集合場所の駐車場から見学者はタクシーに分乗して、前田邸へ到着。
前田邸へは以前近江八幡にヴォーリズ建築巡りに訪れた時やって来たのだが生い茂った庭の木に隠れて外観も見ることはできなかった。
(その時の旅行記はこちらとこちら)
この日は外観のみならず内部見学もできるということで楽しみにしていた。
前田邸はヴォーリズ建築事務所の設立当初からの所員であり、大丸心斎橋店や大丸ヴィラ(旧下村氏邸)の設計にも携わった佐藤久勝氏の自邸として建てられたが、完成後、数週間で佐藤氏は急逝。
その後、親しかった同僚の前田重次氏に受け継がれたという。
現在、そのご子息の前田典夫氏が住まわれていて、見学会ではお話も聞かせていただくことができた。
木立の中をすすむ魅惑のアプローチ。
二年前に来た時には、木の葉が生い茂っていて、門からは入り口がやや見える程度だったが、この日はずいぶん見通しがよくなってた。
タイルに囲まれた玄関周り。
遠目で見た時、煉瓦かと思っていたのは煉瓦色に焼かれたタイルだった!
近くで見るとほんとにきれい。
玄関周りや暖炉などには趣のあるタイルがふんだんに使われていて、これらはみな信楽で焼かれたものなのだそう。
佐藤氏が手がけた大丸心斎橋店でもよく見られる八角の星の意匠はこの邸宅でも繰り返し使われるモチーフとなっている。
入り口のドアの窓。
このドアの取っ手!
横から見ると鶏の頭になってるのだ~なんてかわいく面白いデザイン!
玄関を入ると、卍の装飾が入れられた大理石の照明や階段の壁にはオランダ製のタイルが入れられていたりと見どころがたくさん。
玄関の靴脱ぎ場にも色とりどりの渋いタイルが敷かれている。
階段の上り口にある花台の星形に描かれた大理石の象嵌細工も圧巻!
大丸心斎橋を彷彿とさせるデザインだ~
台所へ通じるドアの上にも星モチーフの明かり。
こちらはダイニングルーム。
四畳半と思ったより狭いが、この造りつけのテーブル、椅子に腰掛けてみるとなんだか落ち着くとても居心地のよい空間。
これは蜂の巣がモチーフなのかな?ダイニングのステンドグラスの照明。
色合いがやさしくとてもかわいい形。
ダイニングの造りつけの食器棚は真ん中の扉を開閉して、台所から食事を配膳できるようになっている。
食器棚の上には和風の戸棚がつけられてるのが和洋折衷のデザインで面白い。
そして暖炉にもやはり星型が描かれたタイルが。
こちらは応接室。
ここで前田邸の主の方から直接お話を聞かせていただくことができた。
建物はスイスの農家の家をイメージして造られたのだそう。
応接室の天井には梁がむき出しになり、壁は土壁。
ここにあったステンドグラスは引越しの荷物を家に運び込む様子が描かれているという、面白い図案。
やわらかいカーブを描く暖炉。
農家をイメージということで素朴な煉瓦や丸太がアクセントに。
外回りも案内していただけた。
スタッコモルタル仕上げの外壁は表面が大きく波打ち独特な質感がある。
裏には応接室から通じる扉。
農具などの収納スペースもちゃんと設けられている。
二階のベランダ。
帰りのタクシーが迎えに来て、名残惜しくも慌しく去ることに。
前田邸の隅々まで丁寧に造り込まれ、デザインされたとても豊かな空間を味わうことができて、タクシーを降りた後もしばらく放心状態に・・
見学会、参加できてよかった。