シジャギパニダ

韓国留学準備、韓国留学、そして日本に帰ってきた今。

おくの細道

2008-01-23 21:05:07 | 読書
2008年センター試験の日本史と国語を真面目に解いてみました。

日本史は目も当てられない無残な結果でしたが、国語は162点。
たぶん時間内で解けてると思う。
緊張感のない状態でやってるから本番のテストとは違うとはいえ、なかなか高得点ではないでしょうか?
久々に解いてみて楽しかったのは、古文と漢文。
学生時代は苦手だったのに、今読むと非常に新鮮味があるから不思議。

それにしても文章を読む、問題を解く…この作業って本当に集中力が必要なんだなーと思った。
正直、この集中力が続かない。
最近、自分が長い文章が読めなくなってることに気づいて、久しぶりに小説を読み返したりして、少しずつ長い文章をじっくり読む時間を作るようにし始めた。
それでようやく回復傾向にあるのだけど、やっぱり集中力は低下しているようだ。

それで読解力、集中力を養う意味もこめ、今後も本を読む時間を1日のうちに少しでもいいから設けることした。
今読んでいるのは、角川書店の「おくの細道(全)」。
原文(ふりがなつき)とともに現代語訳もついてて、ちょっとしたコラムも載っていてなかなか楽しい。
これを1日2タイトル読むことにした。
短いので読むのは簡単。

文法なんかはほとんど忘れてしまっているけど、なんとかなるもんだわね。

停電の夜に

2007-10-25 20:28:16 | 読書


読了したのは8月。
しかしいまだに心に残る作品。

著したのはジュンパ・ラヒリというアメリカの女性作家。
両親がベンガル人で、生まれたのはイギリスというのだから生い立ちは単純ではない。

私は好んで外国作家の作品を読まない。
その理由は私が原書の言葉が分からないから、どうしても翻訳された本を読むことになり、それは翻訳家の力量によって、原作の味がなくなってしまうことがあるから。

あんまり期待しないで読んだこの「停電の夜に」という短編集だったが、これが予想以上に秀逸な作品だった。
ジュンパ・ラヒリの世界観をよく汲み取ったのではないかと思える小川高義さんの翻訳も素晴らしい。

表題作を読んでいて、全然内容には関係ないのだが、「エターナルサンシャシン」という映画のことを思い出した。
好きな俳優の一人でもあるジム・キャリーが主演しているので期待した作品だったけれど、今となってはもうほとんど内容もおぼろげな映画。
見た当初でさえあまりパッとした印象のない映画だったのだけれど、映像がハリウッドらしからぬ感じで、それが良かったというのだけは覚えている。
「停電の夜に」を読んでいると、なぜかあの映画の薄ら暗い映像が浮かぶのだが、単純に「停電の夜に」という題名のせいかもしれない。
内容は全く関係ない。

短編のどの話も別にドラマチックな展開があるわけではないのだが、読んでいるとその世界に引き込まれている。
短編中では表題の「停電の夜に」が一番好きだが、「三度目の最後の大陸」も良い。

「その名にちなんで」という長編も是非読んでみたいと思う。

半島を出よ(下巻)

2007-08-28 12:53:41 | 読書


読了が危ぶまれたこの作品でしたが、下巻になってくると物語は進み、スピード感が出てくる。
上巻に比べると下巻は一気に読んでしまえる。

北朝鮮の侵略に対して、有効な政治手段を取れない政府。
そんな中唯一北朝鮮を敵と考え戦う姿勢をとるのは、いわゆる世間からはぐれている者たちだった。

具体的な話の展開は省略するが、特に記憶に残る部分だけ書き留めておく。

「最悪死んでもいいから、あいつらと戦うんなら戦うって決めないと、腹が据わらないんだ。」

自分のことは自分で守る、自分の国は自分で守る。
この意識が現在の日本人は非常に希薄である。
世間からずれている者達は、常に自分と他人の間に違和感を感じていて、自分を侵すものたちに対して敏感である(という設定)。

異物が体内に入り込んだときに、その異物を侵入者として抗体を持って追い出すことができるのか。
他国からの侵略を受けたことがほとんど皆無の日本人が、その場合、どう対処できるのか。

また下巻の中で、私が普段から感じていることとドンピシャなことが書かれていた。

「北朝鮮か中国が日本を攻撃したら自動的に米軍が反撃してくれるのだろうと何となくそう思い込んでいた。
日本の代わりに米軍が戦ってくれるような錯覚があった。
考えてみれば、そんなお人好しの国があるわけがない。」

この部分。
私が感じていたことにまさに直球だった。

私はどちらかというと平和憲法万歳で、憲法改正には大反対の方なのだが、それでは具体的にどうやって自国を守るのか?と問われると、正直アメリカを期待している所があるのだ。
そう考える反面、それってなんか違うんじゃないか?と思っている自分もいる。

米軍は日本のセコムではない。

と…。

平和憲法は守りたい。けれどそのためには理想論だけでは語れない。
我々はどういう方法を選んで、みずからの力で日本という国を維持していくのか。

読みながらそんなことを考えずにはいられなかった。


それにしても物語の舞台となる福岡という土地に、村上龍は造詣が深く、その点が非常にリアルであった。
たぶん福岡や九州地区に住んでいる人にとっては、現実に起こったら…と考えずにはいられないようなほど。
長崎の佐世保出身ということは知っていたが、九州という土地に生まれたか、育ったかしないと書けないような作品だと思う。


さて韓国で映画化されるようだが、一体どういう作品に仕上がるのか、見てみたいような怖いような感覚で完成を待つことにする。

半島を出よ(上巻)

2007-08-24 20:21:46 | 読書
村上龍の「半島を出よ(上下巻)」を読みました。

実は村上龍の作品は、「限りなく透明に近いブルー」以来読んだことがなく、というのも、高校生の頃に読んだその小説が私はどうも苦手で、全くその世界観がつかめず、読んでも読んでも頭に入らない上、心にも響かず、ただ文字の羅列を追うがごとくで正直内容も覚えていない。
それ以来村上龍の作品を読むことはなく、強い苦手意識を持っていたのだけれど、旦那が所有していたことと、北朝鮮がらみの内容で、舞台が福岡だと聞いて読んでみることにした。



しかし上巻は読むのがやや辛かった。
やはり独特の村上龍節に苦戦した。

いわゆる世間の常識からはみだした人々の醸し出す独特の雰囲気になじめず、登場人物が多いのに、その誰の気持ちにも立って読むことができなかった。
北朝鮮の軍人の気持ちは理解できても、感情移入はできないし、夫の転勤で九州にやってきた私は、九州弁まるだしの福岡生まれ福岡育ちの人の立場にもなれないし、その福岡を外から見てるほかの日本人の立場にもなれないから…。


北朝鮮が福岡を占拠するという展開をいかにもあり得る設定にするため、日本をどこまでもアホっぽく、そして北朝鮮を意外にデキル奴らとして描いている。
正直この辺の日本のくだりを読んでいると、納得させられる部分と、「そこまでアホじゃないだろう」と作者をどつきたくなる気持ちが混ざって、自分の中にある愛国心を感じたりもする。
そして意外とデキル北朝鮮に関しては、うーん確かにそうかもとうなずいてしまう。
近年の日本の報道では、北朝鮮の飢餓の問題や金正日の健康問題など、北朝鮮の金正日体制にかげりがあるかのごとく報道されることが多いので、国力が弱っているかのごとく扱われているが、実際のところどうであろうか?
なんだかんだと核問題をうまく利用し、中国をバックにすえてうまいこと立ち回っているのではないだろうか。
日本では全然取り上げられていない北朝鮮の特殊部隊の存在(たぶんいると思う)。
思い浮かぶのは映画「シュリ」の特殊部隊たちの訓練と戦いに望む姿。
ここのところ北朝鮮といえば「飢え」などのイメージが強いが、そうした一般国民だけでなく、こういう部隊の存在がある国だということも私達は果たして分かっているだろうか。
テポドンだけではないんである。
あれだけ見れば、正確性も乏しいし、あまり怖いとは思えないんだけど、もし肉弾戦のようなことになれば、厳しい環境でも生き抜いてきた北朝鮮とぬるま湯に浸かっている我々日本とでは、どちらが負けるのか?
答えは明らかに日本だ。
というよりも、日本は戦うことすらも放棄するであろう。
それは憲法のせいもあるけれど、日本が積極的に自国を守ることについての意識が低いからだ。
米国を金で買った用心棒とでも思っている感のところが我々はあるような気がしてならない。

上巻はテンポもややスローで分かりにくい所もあり、この作品読了に不安を抱く。
それでも読み進められたのは、ところどころに出てくる村上龍の鋭い目線だ。
それが今まで私がときどき抱いていた日本という国に対する危機感と全く同じで、
そういうくだりが出てくる度にドキリとした。