こうしてお店の備品をみてみると、わたしは道具や物が大好きだとしみじみ思う。
洋服にはあまり関心がなく貰いものや通販がほとんど。
よく考えてみたら祖父(オードリー父の父)の影響が少なからずある。おしゃれで小物も良いものを持っている人だった。キセルや葉巻を吸ったり、白い麻のじんべえを着てゆらゆらと散歩などしていたのを覚えている。
時計好きで、わたしの中学入学のお祝いに「好きな時計を買いなさい」とお店に連れて行ってくれた。何だか高いものを買わなきゃ損、みたいな気持ちになってグレーの文字盤にグレーの針とグレーのベルトという「何時だか時間がわからないじゃないの~!」という時計を買ってしまった。
慣れないことをするものではない。
ところでその祖父の教えで「安物買いの銭失い」という言葉がある。
迷ったら高い方を買いなさい、というのだ。
少しのお金をケチると、結局後悔することになるからとにかくイイものを買いなさい、と言っていた。お酒も飲まずギャンブルもしなかったのに、死んだときにはきれいにお金を使い切ってあの世にいってしまった。
そんな祖父に反発してか、オードリー父は倹約命の人となった。
洋服は身体さえ入ればいい、下着は破れていても黄色くなっていても大丈夫。家じゅうの電気を消して回る。無駄遣いが大嫌い。
冬になると頭が寒い(ほとんど毛髪がないので)といって、ばあ様のカギ編みの三角ストールを頭にかぶって寝ている。
そのままの格好でトイレに起きてきて、スイスのおばあさんと見間違って腰が抜けるほどびっくりしたこともある。
わたしは金遣いが祖父似、行動がオードリー父似となってしまった。
逆ならよかったのにね~。
もう少し近ければ飛んで行ってコーヒーとケーキをお願いしたいです。
よくできた映画の予告編のように、本編全部みると大したことなかった…と言われないようにしないと。
いつかぜひおいでくださいませ。