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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「終末のグレイト・ゲーム(ブックマン秘史3)」(著:ラヴィ・ティドハー/訳:小川 隆)

2015-03-06 23:18:57 | 【書物】1点集中型
 3部作完結編。しかしかなり時間が空いていたので流れがわかっているようなわかっていないような(笑)。少しだけミレディの消息の話があって、ああそういえば前作のラストは宇宙系の話になってましたねと思い出したり、第1作に出てきたオーファンがちらっと出てきて、お、いよいよ絡んでくるかと思ったり。しかしオーファンも今作は特に面白い活動はせず。今回の主人公は引退した英国の諜報員。世界観は繋がってるのだが個々の主人公たちはほとんどつながらない。

 いきなりマイクロフトが出てくるあたり、俄然盛り上がるのかと思いつつも、メインは彼の元部下たる元諜報員スミス。今回はずーっとアクションしてる雰囲気があるな。前作のミレディとはまた違った雰囲気のアクションである。
 「ブックマン」の正体はまあ明らかになったわけで、物語の肝としてそれはある程度すっきりできた(笑)んだけど、フィクション系の借り物キャラクターへの違和感は最期まで拭いきれず。ある程度の人物造形を借りてる部分もあるけど、(繰り返しになるが)ミレディとかアイリーンとか、別にこの人である必然性はないよなって気がどうしても……特にアイリーンが出てくるたびにどうしてもそう思ってしまって(笑)。物語として面白くなくはないんだけど、詰め込みたさ余ってとっ散らかった感が強い。使い方が上手い借り物とイマイチな借り物の差が大きいというか。実在の人物(の名前)以外は全編創作キャラクターにした方がもっと面白く感じられたのでは? という印象がある。
 ただ、歴史改変というと地に足がついてるイメージがあったけど、この世界観を地球外にまで広げたというのは楽しい発想だと思う。今度はそういう面白い世界観プラス、作者自身の人物造形でも勝負してみてもらいたいなー。