くじけたので誰かに先を行かれた男のブログ

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フリーゲーム「煉獄 かまいたちの夜2 another」

2006-06-02 07:11:12 | ややまじめ書き
先日友人である鬼氏に勧められ、フリー・ウェアのゲームソフト『煉獄 かまいたちの夜2 another』というものをプレイしてみた(行きがかり上させられた)。そして口惜しくもハマった。

このゲームはチュンソフトが販売している、スーパーファミコン時代に一斉を風靡した同名サウンドノベル※の、いわば同人ソフトで、製作者によれば「分岐があるなら、続編まるごと違う話があってもいいんじゃない?」というコンセプトの元、製作された。

ゲームの設定はPSやPS2現在販売されている「かまいたちの夜」のものを完全に踏襲しており、そのため同作をプレイしたことある人向けに製作されている。現在チュンソフトでは「かまいたちの夜2」も販売しているが、プレイした感想ではそちらの方は未プレイでも特に問題ないように思えた。逆に1の方をプレイしていないと、「煉獄」の文中で1の真犯人の名前などがぼろぼろ出てきたり、そのトリックを匂わすような発言があったりするため、原作の楽しみを著しく損なってしまうので注意が必要だ。

さて、今真犯人という言葉を使ったが、この「煉獄」でも素敵な殺人事件が展開される。「かまいたちの夜」においてもなかなか素敵な連続殺人が発生したが、こちらでもそれに勝るとも劣らない連続殺人が起こる。焼殺をテーマにしていることなどから、殺人自体に妙な新鮮味があって面白い。

簡単にあらすじを述べる。
「かまいたちの夜」の事件からまる1年。そのときのメンバーはある出来事をきっかけに再び事件の起きたペンションに集まろうという話になった。くしくその日は一年前に事件がおきた12月22日。なにかが起こるのではないか、という漠然とした不安を主人公透は抱えていたが、ペンションでの楽しい時間の経過とともにそんなことを次第に忘れていく。しかしそんな時間を無情にも強奪するように耳を劈く悲鳴。駆けつけるメンバーたち。そしてそこにはあるメンバーの燃え盛る死体が転がっていた…。まるで、あの日の忌まわしい記憶を思い起こさせるかのように―。
といった感じ。

肝心のテキストの質ではあるが、続編である、ということを意識されて作られてるということもあり、かなり高い。むしろ原作者であるミステリ作家我孫子武丸氏がそのまま書いているような錯覚を覚えた。そのくらいのものであるから、原作をプレイしているユーザーにとってはすんなり物語に入りこめると思う。

また、物語の分岐やバッドエンドなどへの向かい方や表現など、原作をプレイしているユーザーが思わずニヤリとしてしまうような、そんな心憎い演出も随所にちりばめられており、製作者の原作に対する愛が感じられ好感を持った。本来、この手のゲームの場合、犠牲者の数が少ないにこしたことはないのだが、俺が最も印象的だったのは、主人公透と恋人真理のみが生き残るバッドエンドである。ラストチャンスの真犯人当てで辿り付けるので、是非見てみて欲しい。

インタフェースの方も高水準のサウンドノベルゲームの製作を可能にした「吉里吉里」というツールを用いて作成されているので、使いやすくまた、画面は秀麗である。ほかにメッセージスキップなども搭載されているので、何回も同じ文章を読まされる心配もなく、快適にプレイできると思う。

最後に、ひとつ突っ込むとするのであれば、なんでペンション丸ごと燃えてしまう可能性があった焼殺を行なった点がいまいち釈然としない。消火が間に合わなかった場合自分もまとめて火だるまになる可能性があっただろうに―。まあ、そのあたりはフィクションの根底を否定するような、くだらない邪推というものだろう。であるから皆様はそんなことを気にせず純粋に焼殺されていく姿を楽しむとよいだろう(?)

というわけでこの『煉獄 かまいたちの夜2 another』。発表からおよそ2年あまりほど経過しており、すでにプレイ済みの方も多いであろうが、未プレイの原作ファンは是非ともプレイしてみてほしい。


※「かまいたちの夜」
チュンソフト制作。原作我孫子武丸(代表作:殺戮にいたる病、探偵映画など)
長野のあるペンションを舞台にしたバラバラ殺人事件を主人公透が解決する過程がメインストーリー。ユーザーに委ねられたさまざまな選択肢とそれによって変わっていく物語の展開が発売当時話題となった。メインストーリーの他、幽霊編、スパイ編といったサブストーリーも充実、他にもセルフパロディを含めたいくつかの隠し要素があり、人気を呼んだ。
同社による「弟切草」(奥菜恵主演で映画化)及び今作品の成功により以降それに類するものが続々後発し、サウンドノベルという新ジャンルを確立した金字塔となる。
現在でも人気があり、PS用及びGBA用ソフトとして復刻されているほか、PSP版も発売予定とのこと。


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