性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

環境建築~2

2008年04月09日 06時06分24秒 | 住宅性能・設備

きのうも触れた「北総研」の断面図です。
この建物は大きく、3つの部位に別れています。
一番左側が、いろいろな寒冷地建築技術についての実証実験を行う実験棟。
ここは、全国の企業から持ち込まれる「共同研究」などの
実験を行う施設なので、秘密保持のため出入りは制限されています。
真ん中にあるのは、多機能性を持っている「アトリウム」。
ここでは太陽光日射の取り入れ、蓄熱、換気、暖房経路などの
建築についての基本的性能が確保されるようなスペース。
同時に、通路的な空間としても機能しています。
まぁ、この部分がいちばん、おもしろい。
視覚的にも、入り口を入るとこの巨大アトリウムに動線が導かれていて、
「おお、すごい」と単純に感激する空間。
夏ももちろん、冬でも雪が降らない、しかも温熱環境が保持された
気持ちのいい「半戸外」的な空間が広がっているのです。
で、前述の通り、このスペースで暖房・冷房・換気という
基本的な建築の必要性能が担保されているのですね。
断面で見るとおり、大断面ダクトが機械によらない換気のための
空気の流れを作り出しています。
最頂部の排気窓から汚れた空気が排気される空気の経路が計算されているのですね。
なんと、冬に降る雪を地下に格納して保存し、
そこに空気を通すことで、自然エネルギーによる冷房も考えられています。
巨大なガラス空間なので、自然光の取り入れは基本的な役割。
すみずみまで自然光が入り込んできて、
もちろんさまざまな工夫の結果ですが、
この建物では勤務時間中の「電灯使用率」が16%に抑えられているそうです。
この率って、かなり驚異的な値。
太陽日射によるオーバーヒート対策として、
人力による遮光布での日射コントロールも行われています。
暖冷房は床面に回されたパイピングによる床暖房・冷房。
さらに、壁面には地元の素材であるブロックが蓄熱体として
大きな壁を構成しています。
太陽光を「蓄熱」する媒体として機能しているのです。
っていうことで、このアトリウム、ただものではありません(笑)。
建物の一番右側が、一般的な事務作業を行う「管理研究棟」。
ここでも、南側からの日射や採光、換気などで
色々面白い試みが行われていますが、
そういう部分については、また明日以降にいたします。

きのうは、カミさんが帯広でセミナーの司会、
わたしは息子の中学校入学式の立会、その後、地元工務店グループ
アース21の総会出席と、めまぐるしい一日でした。
まぁ、公私とも多忙、がんばらねば、というところ。

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