性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

時間の止まった札幌点景_1

2007年07月07日 06時06分22秒 | 古民家シリーズ


最近よく、車で通る札幌の街の点景です。
木造下見板張りにトタン屋根、さらにその上には、木製の雪止め。
だいたいが切り妻屋根で、1部2階建て。さらに煙突が付いている。
わたしは昭和30年代に少年期を過ごしていたので、
街の原風景として、こういう建物が目に焼き付いています。
当時は、木造低層のこういう建物が連続している街並みだったのですね。
路面電車が縦横に通っていた中心街でも、
ほぼこんな建物ばかり。ほんの一部にコンクリートの建物が
これみよがしに建っていた、そんな印象。
こういう建物で、厳しい冬を過ごしていたわけですが、
室内では沸かした風呂の湯が、一晩で氷になっていたような
そんなのが当たり前という、状態だったと思います。
だから、ひとしお、同じ境遇を耐えている同士のような
連帯感のようなものが、強かった印象があります。
いまの性能が向上した住宅同士では、ありえないような
親密な隣近所との助け合いが存在していた気もします。

雪が多い年には、三角屋根のごらんのような軒先に
うずたかく積もった雪が建物を埋め尽くし、
その雪山の連なりの上を、ひとびとは通路としていたものでした。
めったに車も通らないなかで、
その雪山からソリ滑りをするのも、子どもたちの楽しみでしたね。
ひとびとはおしなべて貧しく、
サラリーマンという、本州企業の「勤め人」のこどもたちが、
子ども社会のなかでのあこがれの存在。

っていうような雑感が、どんどんとわき上がってきます。
みるところ、この建物、現在は使われていない様子。
以前は、立地的に商家だったものと思われますね。
角地のこういう立地は、ふつう、商家があった。
2面が道路に面していて、客を呼び込みやすいのでしょう。
たぶん、建てられてから50~60年は経過しているものと思います。
こういう建物は、とくに保存されるものでもないでしょうが、
わたしたちの年代のものにとっては、
なにかを訴えてくる、機縁を持った存在です。
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