性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

【最北の「木組みの家」見学往復500km】

2019年11月11日 06時57分17秒 | Weblog
北海道は広い・・・。
「ちょっと行ってみるか」の「ちょっと」がハンパない。
でもやはり士族の移住が多かったせいか、建築の世界でも、
ちょっとオモシロいことをやってみたい、という人が多いとも思う。
わたしなどよりもはるかに若い世代の方から
「こんなオモシロい家を建てました」みたいな案内が来ることがある。
木組みの家という住宅運動があって、伝統木造の家づくりを
全国で盛り上げようと頑張っている。
主導者の松井郁夫さんとはやや驚愕の初対面でのやり取りがあって
「伝統派の人って断熱も気密もなんもやらないんでしょ」
と挑発した(と受け取られた)。そこまで強い言い方ではなかったのですが、
いまでは、松井さんは「北海道の三木からこう言われた」と枕詞だそう(笑)。
わたしなんかのメディア人間ではなく実践者である松井さんは
しかし、そこから高断熱高気密に真剣に取り組んで
伝統工法の革新に意欲的に邁進してこられた。
まことに畏敬すべき運動だと思っています。
そういう運動の「敵役」にしていただけているのであればそれは光栄でもある。

そういう「木組みの家」の伝統工法を北海道でつくろうという
志向を持った若い世代の作り手が現れて来ている。
道東の足寄の工務店経営者、木村建設・木村祥吾さんであります。
前記のような「流れ」があるので、見学する「義務」はある(笑)。
ご丁寧な「案内」もいただき昨日、夫婦共運転で足寄往復。
朝7時前に出て、途中日帰り温泉も入っての道中でしたので、
まぁ休日の「句読点」的な楽しみ方とも言えます。
取材のための基本調査みたいなことなので、詳細は今後に譲りますが、
写真は床の間見立ての居間の「塗り壁」壁面の様子。
こういった作り手のネットワークではこだわりのある職人気質も呼び起こす。
「その地域にある素材」にこだわって土を探したけれど、
どうしてもこの地域ではいい土に巡り会えなかった。
しかし施主さん生業の農家の古い土壁の土を見て、それを再活用した。
築後数十年は経っているその土は土壁に適した材を
本州地区からかわざわざ持ってきた塗り壁に最適の土のようだったのですね。
それを「発見して」今回の新築の象徴的な部位に使った。
よく伝統工法の家では、古い家の土壁を大事に扱って次世代に受け継がせる
そういった工法伝承がありますが、現代の北海道足寄で、
そういう心意気で仕事する職人気質が存続していたワケです。
さらに設計者のHOUSE&HOUSEの須貝日出海さんによると、
この左官仕事では、画面左側に色違いの部分があるのですが、
この部分は意図的な「ひびわれ」が意匠されているという。
写真でその様子がハッキリ伝わるかどうかですが、オモシロい表情。
で、その意図は左にある木製窓の外に農地が広がっていて
その土が「ひび割れている」ので、それをデザインとして活かした、
という説明だったのです。しかもその発案はその職人さんからのものと。
「おお」であります。数寄のものづくりマインドが立ち上る。

ということで休日の老夫婦の交互運転ドライブ500km。
ちょっと遠かったけれど(笑)オモシロい家を見学できた次第です。
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