性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

中世商業都市の風景

2011年06月17日 05時08分48秒 | Weblog






写真は、広島県福山市の歴史博物館のもの。
中世の瀬戸内海交易、というか、歴史年代に於いて
瀬戸内海世界がどのような世界であったか、
そういう姿を明らかにしているのが
「草戸千軒」遺跡です。
「千軒」という表現は、たくさんの商業者の集まり、というような意味合いで
多くは海洋や河川でなどの流通拠点に成立し、
常設的な「市」が営まれたに相違ない、日本における都市の原型。
この博物館では、「草戸千軒」遺跡の再現展示が行われているのです。
博物館というのは、どうやっても権力者側の歴史認識から自由ではないのですが、
この博物館の展示は、民俗学的であり、
政治的な時代区分とはまったく違った歴史認識をもたらせてくれる。
こういう窓を開けて外の様子を見るという空間体験をしていると、
つい親しい友人のことが思い起こされて、
この家にいて、零細商業を営んでいるわたしを
かれが訪ねてくるような、そういうシーンが目に浮かんでくる。
河川の中州という立地条件は、境界地域であって、
誰のものでもないという空間性を持っていたように思われます。
多くの人民が公地に縛り付けられて公民にさせられていた時代から、
こういった地域では、それ以外の生き方が日本人に普遍的に存在した。
歴史年代を通して、日本人にはこういう自由な生き方が
ある意味で、保証されていたものと思います。
商工業者という、非農民としての生き様が明瞭。
歴史を考えていく、ひとつの典型的な立場を体験できて
非常に興味深く感じた次第です。

また、単純に、こういう開口部って、なかなか味があるなぁっと。
しばらくこういう時空間に浸っていたいと思ったワケですね。
コメント
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