私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

東野圭吾の黒笑小説

2008年06月26日 12時06分08秒 | ミステリー
これは久しぶりに自分で買った東野圭吾の本
短編が13編入っていて文庫本で552円とお買い得だった。このどれもがとても面白かった。特に最初の4編は文学賞を皮肉るような作品で実におもしろかった。
もしかして、直木賞を逃していた時に書いたのでは?と思ってしまった。

寒川先生なる中の下ほどの作家とその編首者たちが文学賞発表をまちかまえている時の心理情況がとても生なましくおもしろい。幾度も自身で体験したがゆえの出来だと思う。ほかの作品も作家デビューしたと思ったら全然名前など有名にならず、いつも初版絶版でおわってしまう作家の悲しさとかがよくでている。

東野圭吾自身をいろいろ苦汁をなめたのであろう。何度も直木賞候補になっていながら選考委員といわれている先生たちに理解してもらえずにいたけど、結果として、これはよかったのだと思う。候補のたびに名前があがるし、それにおとらず次々といい作品を書いていたし。2ー3回候補に挙がってきえてゆく作家ではなかったということだろう。

私が特に気に入ったのが"臨海家族" 最近のおもちゃ事情を親の目を通して書いており、同情を禁じ得ない。
この本、本屋で580円の価値あり。実によく楽しめる。私的には"名探偵の呪縛"についでお気に入りの短編だった。

蛇足だが今年の夏、カジノのベラージオがホテル一泊の料金をその日の最高気温と同じにするという手法をもって耳目を集めている。
例えば今日の最高気温が106度(42度ぐらい)だったら、106ドルとなるらしい。
カジノにおいてハウスが負けるということはありえない。負けるのはいつもギャンブラーのほう、そういう仕組みになっているのだから。
その法でいくなら、この気温料金も同じだろう。この先100度以下などあり得ないとふんでの客取り商法なのだろう。実際100度以上の日の記録更新中。去年はこれで新記録をだしたらしい。