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カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
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2021年2月号 難民殺害の原因は薪をめぐる争い / KANERE調査ジャーナリスト カバタ・ボル

2021年02月14日 | 最新ニュース
【写真】カクマでは薪は不可欠なエネルギー資源だが手に入れるには問題が多い 撮影:KANERE カバタ・ボル

カクマでの薪集めをめぐる対立で、南スーダ出身の10代の難民が殺害され、負傷者も出た。

2020年12月7日の朝、マシアング・マユアング・アネイとジェイムズ・チョル・アスアイは薪を集めるために、季節的に干上がっている川を渡っていた。

マシアングとジェイムズ が藪の中で薪を探していると、現地の住民たちに遭遇し、薪を集めるなら金を出せと言われた。2人は150ケニアシリング (1.45ドル)を渡し、口頭での許可を得た。

するとすぐにまた、現地住民の別のグループ6人が現れ、ここで薪集めを続けるなら金を出せと言われた。

マシアングとジェイムズは、すでに金を払い、薪集めの許可を得ていると主張。もう手持ちの金はないと言った。その後、激しい言い争いとなり、低木地帯での格闘になった。

格闘がどのくらい続いたかは明らかになっていないが、2人の難民はトゥルカナ・コミュニティ出身の6人にはかなわなかった。ジェイムズは「相手は大勢で、ナイフと棒を持っていた」とKANERE に話している。

マシアングとジェイムズは、別々の道に逃げた。ジェイムズは逃げ切り、川のそばの難民キャンプに無事に戻ることができた。だが、マシアングはそうはいかなかった。

ジェイムズはすぐにマシアングの家族と、近くの現地コミュニティの警備担当に連絡し、警備担当からケニア警察に通報された。

およそ30分後、格闘があった場所でマシアングが意識のない状態で発見され、キャンプ4内のクリニック4に運ばれた。治療が続けられたが、翌日の2020年12月8日の朝、マシアングは集中治療室で亡くなった。マシアングの家族とコミュニティにとって、この知らせは衝撃的なもので、彼の死去を嘆き悲しみ続けている。ジェイムズ・チョルはこう振り返る。「ショックだし、悪いことをしたような気がしています。別々に逃げてしまったので。彼は生還すると思ったのですが」

ジェイムズも同じクリニックに入院したが、治療を受けて薬をもらい退院している。

キャンプ3の難民の代表は、事態は緊迫していると、次のように語っている。「夜中に銃声が聞こえたにもかかわらず、朝になっても事件が起きたとの報告はありません。これからも難民と現地受け入れコミュニティの関係は緊迫した状況が続くのではないですか」

報復作戦

2020年12月8日の朝、マシアングとジェイムズのコミュニティの南スーダン出身の若者たちは、マシアングを死に追いやった近隣のトゥルカナ・コミュニティを報復襲撃する計画を立てた。怒る若者たちは、タラチと呼ばれている干上がった川を渡り、現地受け入れコミュニティの村に向かったが、到着寸前、ケニア警察に止められた。警察は、南スーダンの若者を死に追いやった事件について捜査を開始しているとして、若者たちに合法的な手段で権利を行使するよう警告した。

警察官はスーダン出身の若者たちに「キャンプに戻るよう求める。合法的な手段をとろうではないか。この問題は我々が捜査するから」と語りかけ説得した。

その日の夜、難民の代表とカクマ1ゾーン3ブロック3の長老たちは、カクマの司令部とキャンプを管理する責任者に会った。この話し合いの中で、政府機関は家族へのお悔やみのメッセージを出し、難民の代表者たちに、穏やかに話し合うようコミュニティのメンバーを導くよう頼んだ。

KANEREが得た整理番号DA 0860734と病院の処理番号AM004762の書類によると、マシアングは7人家族で、上から2番目の子供、20才だったことがわかった。

死者を出したこの争いに関して、ケニア警察は地元コミュニティから少なくとも1人の容疑者を逮捕している。

カクマの難民担当オフィスは2021年1月14日に再び和解調停を行う予定である。

難民とキャンプ地域の受け入れコミュニティは緊張状態にあり、多くの対立が目撃されている。こうした対立は結果的に、2つのグループの良好な関係を壊し、難民統合のプロセスに悪影響を与える。


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