WoodSound~日綴記

山のこと、川のこと、森のこと、その他自然に関することをはじめ、森の音が日々の思いを綴ってみたいと思います

風化

2017-08-19 | Opinion
よく、戦争の記憶を風化させないために・・・
などとメディァではのたまう。

あんな記事を見るたびにああまたその時期が来たか…
と嫌な気持ちになっていた。

そして今年も終戦記念日。

でもと・・・

ふと思った。

私は当然戦争は経験していない。

そして私の父母や祖父母から戦争の話を聞いたことがあるか?


父母はその頃まだ高校生。
母が綾部のメリヤス工場(おそらくグンゼ)に疎開がてら、
働かされていたということは薄々聞いたことがある。
父からは?
何も聞かされていない。
もう鬼籍に入ったので知る由もないが、
父母や祖父母が戦争のことを語ってくれなかったのは、
恐らく何か引け目のものを感じていたのではないかと思う。

すなわち、戦争に従軍して、
もっと言うなら特攻隊のように死に至って散るというのが、
美徳だという考えがまだ残っていたのではと邪推してしまう。

唯一元義母から、大阪で機銃掃射を受けたという話を聞いたのが、
生々しい感覚をもつ。
先日、見た新聞で原子爆弾を落とす前に
大阪にも空爆があったという記事を読んだ。
恐らくその時のことであろう。


そして私は・・・
戦争を知らないこどもたち、である。

自分のこどもに戦争がいかに恐ろしいものであるかを、
自身の体験を持って語れない。

「この世界の片隅に」という映画でしか、
「はだしのゲン」という漫画でしか、
広島・長崎にある「原爆資料館」でしか、
新聞にある「戦争の証言」でしか、語れない。

京都での小学校の修学旅行は広島での原爆資料館見学がメインだったし、
修学旅行委員だった私は、修学旅行のしおりに峠三吉の詩を掲載した記憶がある。
まだ、私が幼い頃は戦後は間近だった。

戦争を知らないことは、それはそれで良いことだと思う。

しかし、いつの間にかニュースでは、
北朝鮮のミサイルを追撃するためにイージスが・・・云々
などとさも陽水の「傘がない」の歌詞のように
普通のことにように語っている。

これは、よく言われている風化によるものではないのか?


撃たれたら血を流すし、骨も砕けるし、内蔵も飛び散る。
そんなことすらこどもに実体験として語れない世代が、
政権をとっていたら戦争も起こるだろうし、
だから集団的自衛権なんて発想も出てくるのだろう。

50歳を過ぎたおじさんとして、
きっぱりと言おう。
戦争は嫌だ。
「戦争を永久に放棄」を永久に放棄してはならない。

そのことだけ。
次の世代に伝えるべき言葉。

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