患者が発生したコンゴ民主共和国南西部パンジにある病院=AP
アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)南西部で、インフルエンザに似た症状の原因不明の病気が広がっている。
アフリカ疾病対策センター(CDC)によると、患者は10月下旬から確認され、少なくとも79人が死亡した。呼吸器感染症の可能性が高いとみられており、保健当局は患者の検体の分析を急いでいる。
山奥深くのコンゴ南西部、10月下旬から流行
アフリカCDCの5日の記者会見によると、今回の流行は10月24日以降にコンゴ南西部クワンゴ州にあるパンジという山奥深くの地域で始まった。
同国当局は12月初めに流行を把握した。患者の主な症状は発熱、頭痛、せき、息苦しさ、貧血などでインフルエンザにほぼ似ている。アフリカCDCは感染症対策の専門家を現地に派遣した。
アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)南西部で、インフルエンザに似た症状の原因不明の病気が広がっている。アフリカ疾病対策センター(CDC)によると、患者は10月下旬から確認され、少なくとも79人が死亡した。呼吸器感染症の可能性が高いとみられており、保健当局は患者の検体の分析を急いでいる。
山奥深くのコンゴ南西部、10月下旬から流行
アフリカCDCの5日の記者会見によると、今回の流行は10月24日以降にコンゴ南西部クワンゴ州にあるパンジという山奥深くの地域で始まった。
同国当局は12月初めに流行を把握した。患者の主な症状は発熱、頭痛、せき、息苦しさ、貧血などでインフルエンザにほぼ似ている。アフリカCDCは感染症対策の専門家を現地に派遣した。
382人確認された患者のうち、5歳未満の子どもが半数以上を占め、死者数でも最も多いという。患者の3割は25歳以上の大人だ。
医療環境が整っていないことに加え、劣悪な衛生環境や栄養状態も患者や死者の増加に影響していると考えられる。
呼吸器感染症とみられているが、同地域には検査ができる施設がなく、現時点で原因は不明だ。
インフルエンザなど既知の感染症の可能性もあれば、未知の病原体による新型の感染症の可能性も否定できない。当局は患者の検体を隣州の研究施設に送って検査しており、12月6日か7日には結果が出る見通しだという。
医療資源乏しく、「原因不明の流行」頻発
アフリカではコンゴを中心にエムポックス(サル痘)の感染が拡大し、世界保健機関(WHO)は8月に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
WHOによると1月から11月3日までに疑い例を含めてアフリカ地域の感染者は約5万8000人に上り、約1100人が死亡した。コンゴは感染者の83%、死者の98%を占める。
赤道直下の中部アフリカに位置するコンゴは熱帯雨林が多く、レアメタル(希少金属)のコバルトなど鉱物資源が豊富だ。
資源採掘のために熱帯雨林の付近に人口密集地域ができ、人と野生動物が近い環境にある。貧困や栄養不良で人々の健康状態は悪く、エムポックスのような動物由来のものを含め感染症が流行しやすい。
コンゴに感染症の研究拠点がある大阪公立大学の城戸康年教授は「同国は感染症の流行状況をあまり監視できておらず、今回のような原因不明の病気は頻繁にある」と話す。検査能力が不足し、既知の感染症であっても十分な診断ができていないという。
アフリカの感染症対策、先進国にも重要
コンゴを含めアフリカでは感染症対策が深刻な問題だ。
世界で2億人以上といわれるマラリア患者の9割以上はアフリカ地域が占め、致死率が非常に高いエボラウイルス病(エボラ出血熱)やマールブルグ病の感染拡大もしばしば起きる。エイズやエムポックスのようにアフリカから世界的な流行につながったものもある。