米国株市場はトランプ不況リスクに揺れた=ロイター
株式市場でマネーの急収縮が起きた。米国株のけん引役だった巨大ハイテク企業7社の合計時価総額は10日に100兆円超吹き飛び、1日の減少幅としては過去最大となった。
日経平均株価も11日に一時1000円安を記録した。関税政策や財政支出抑制による「痛み」を短期的と主張する米政権に対し、投資家は「トランプ不況」リスクを意識し始めている。
約1カ月前に最高値圏にあった米国株市場。投資家心理の悪化を象徴するのが「マグニフィセント・セブン」と称される巨大ハイテク7社の株価急落だ。
エヌビディアやテスラなど7社の合計時価総額は10日、7400億ドル(約109兆円)減った。1日のマネー流出規模は景気懸念で売られた2024年7月の急落時を上回った。
米主要500社のうち、4割の企業は直近1年間の高値からの下落率が2割を超えた。株価低迷が長引く弱気相場入りのサインとされる。
リスク回避は11日のアジア市場にも広がり、韓国株や台湾株は前日比1%超下げた。日経平均は同235円(1%)安で終えた。

投資家は株式から資金を一部引き揚げ、米国債など安全資産に振り向けている。背景にはトランプ米政権の政策運営に対する不信感がある。
トランプ米大統領は関税政策や、政府職員リストラなど財政支出抑制について、経済を強くするまでの「過渡期」と主張。ベッセント米財務長官は前政権の財政拡大を批判し、民間主導の経済に移行する「デトックス(解毒)期間」と話す。
米調査会社フォワードボンズのクリス・ラプキー氏は政権側の主張について「株式市場は信じていない」と話す。むしろ企業が投資を控えたり、家計が消費を抑えたりする展開を警戒する。米デルタ航空は国内需要減で25年1〜3月期の業績見通しを引き下げた。
米S&P500種株価指数の予想PER(株価収益率)は2月の最高値更新時に22倍を超えていた。直近20年間の平均(16倍)を上回り「買われすぎ」サインが出ていた。人工知能(AI)ブームでハイテク株に資金が流入していた。
マネー収縮は不況リスク浮上を契機とした過度な楽観の修正という面もある。ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのチャーリー・マケリゴット氏は株安について、安易に株式を買い増していた投資家が「持ち高の清算を迫られている」と指摘していた。
(ニューヨーク=竹内弘文、大久保希美)
10日の米株式市場でダウ
工業株30種平均は前週末比2%安の4万1911ドルで終えた。トランプ米大統領が景気後退の可能性を否定せず、市場参加者の不安心理が強まった。
主力の電気自動車(EV)の販売見通しが弱含み、テスラ株は急落した。同社が備蓄するビットコインの値動きもテスラの業績懸念を増幅させている。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、テスラ株が一時16%下落した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4%下落した。
テスラ株急落の引き金を引いたのは、スイス金融大手UBSによる販売台数見通しの引き下げだ。2025年1〜3月期は36万7000台と、従来から16%下方修正した。25年通年でも15%減らした。
UBSのアナリスト、ジョセフ・スパック氏は、生産から販売までのリードタイムが悪化していると説明する。販促活動の強化で利益率低下も懸念される。
ブランドイメージの悪化も影を落とす。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)率いる政府効率化省(DOGE)による政府職員の削減や、ドイツの極右政党への支持表明で欧米で不買運動が巻き起こっている。テスラ株は昨年末から45%下落し、米大統領選以降の上昇が帳消しになった。
だが株価の下落を招いているのは、主力のEVの販売懸念だけが理由ではない。「テスラはすでにビットコインと相関のある企業の一つになっている」。著名エコノミストのエドワード・ヤルデニ氏はこう語る。
テスラのフォーム10K(有価証券報告書に該当)によると、同社は24年末に1万1509ビットコインを保有する。
過去にビットコインでのEV購入を受け入れていたり、運転資金の一部として購入したりしていたものを持ち続けていたためだ。保有量は上場企業で4番目に多い。
だが景気懸念の高まりから、ビットコインの価格は10日に一時、7万8000ドル台前半まで下げた。
間が悪いのは、こうした下落がテスラが導入した新たな会計原則の導入と重なっていることだ。
従来は保有期間中の最低価格でドル換算していたが、米国基準の適用会社は25年第1四半期までに時価評価に見直すことが求められる。
テスラは24年12月期にこのルールを任意適用し、6億9500万ドルの評価益を計上した。そのときの収益押し上げ効果が次の決算では逆回転する可能性がある。
24年期末時点で11億ドルあった評価額は、現在のビットコインの価格を踏まえると9億ドル程度まで低下しているからだ。
現状のまま推移すれば、1〜3月決算では2億ドル程度の評価損の計上を迫られる。24年10〜12月期の純利益(23億ドル)と比べると、影響の大きさがうかがえる。
そもそも、足元でビットコインが弱含んでいるのは、トランプ米大統領が6日に署名した暗号資産(仮想通貨)の政府備蓄に関する大統領令が市場の失望を招いたためだ。期待先行で上昇していたビットコインはトランプ氏の政策が現実を映したものになる中で、再評価を迫られている。
イーロン・マスク氏とビットコイン。名実ともに「トランプ銘柄」の一員になったテスラの株主は、今後もトランプ氏の予見不可能な政策運営に一喜一憂することになる。
(ニューヨーク=三島大地)
マーケットコラム「ウォール街ラウンドアップ」の一覧ページです。2024年10月1日、コラム名称を「NY特急便」から変更しました。
[英語ニュース] ドナルド!君は本当愚か者だ. |ジャスティン・トルドー| Justin Trudeau|日本語字幕 | 英語字幕 |
https://www.youtube.com/watch?v=Ov7lI9AyyVY
カナダの戦略的動きがトランプ大統領に衝撃を与える!14,000人が即座に職を失い、数千の企業が破産しました!黙示録の闇が今、アメリカ全土を襲う!
https://www.youtube.com/watch?v=KpEzwGQmonk