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関税が米農家直撃、綿花4年ぶり安値 トランプ氏「我慢を」 (日経2025.3.10)

2025-03-10 23:48:52 | トランプ政権


 

中国の対米報復関税によって米国の主要な農作物に価格下落圧力がかかっている。

綿花は約4年ぶりの安値をつけ、大豆など穀物も軒並み値下がりした。中国の輸入業者が米国産の調達を減らす可能性があるからだ。トランプ米大統領は米農家に対し、中国との取引成立まで「痛み」を我慢するよう求めているが、不満の矛先が自身や与党・共和党に向かいかねない。

 

中国政府が報復関税を発表した4日、指標となる先物価格が軒並み下落した。例えば15%関税の対象となった綿花。

ニューヨーク先物(第2限月)の価格は一時1ポンド62.54セントまで下落し、新型コロナ禍で需要が落ち込んだ2020年8月以来の安値圏にある。10%関税対象の大豆もシカゴ商品取引所の先物価格(中心限月)が一時2カ月ぶりの安値をつけた。

 

市場が「売り」で反応したのは、第1次トランプ政権時の記憶があるからだ。

当時、中国が米国産綿花に報復関税を課すと、米国は対抗措置として中国産絹糸や繊維品に関税を上乗せした。米中の争いが世界的な需要の減退を招き、値下がり圧力につながった。大豆についても18年、米国から中国への輸出が一時ゼロとなり、価格低迷を招いた経緯がある。

 

 

中国は18年の貿易戦争以降、米国以外から農作物の調達を増やしてきた。例えば大豆は24年、ブラジルからの輸入量が全体の70%を超え、米国産は2割にとどまった。

16年当時、両国のシェアは4割程度で拮抗していた。綿花もブラジル産の輸入が増えており、米国産に関税をかけやすい状況だ。

 

今回の関税措置によって米国産の農作物は競争力をそがれ、シェアをさらに奪われかねない。南部ケンタッキー州の大豆農家で米国大豆協会幹部、カレブ・ラグランド氏は声明で「18年貿易戦争の悪影響から完全に回復していない」と指摘したうえで、「農家の経済的困窮を一段と悪化させる」と懸念した。

カナダやメキシコとの関税応酬も農家には逆風となる。米国最大の農業団体である米農業連合会によると、肥料の主要成分カリは、総供給量の8割をカナダからの輸入に頼っているという。

 

同連合会は生産コスト上昇と輸出需要の縮小を招くとして、トランプ政権に関税政策の見直しを求める声明を出した。

「(1期目の関税合戦に続き)再び我慢してもらうだろうが、今回はさらによい結果をもたらすだろう」。トランプ氏は4日の施政方針演説でこのように訴え、米農業従事者に理解を求めた。

 

 

政権1期目は交渉の末、中国から500億ドル(約7.4兆円)規模の米国産農作物の購入を取り付けた。

2期目の「ディール」にも自信を示した形だ。自身のSNSでは輸入農作物への関税引き上げを示唆し、国内向け生産を強化するよう呼びかけた。

 

中国が前回と同様、トランプ氏の要求に応じるか見通せない。米国産農作物への依存度が低下しているほか、関税戦争の再来に備えて手元在庫を積み増していたとみられる。

24年の大豆輸入量の総計は1億500万トン超と前年度から6.5%増えた。直近10年間で最大だった。

 

米連邦議会は約1年半後の26年11月に中間選挙を控える。

大豆の主要産地である米中西部や、綿花生産が盛んな米南部は、伝統的に与党・共和党が強い。24年の米大統領選でもトランプ氏勝利に貢献したエリアだ。

 

農作物の価格下落が長引けば、農家の不満は政権と与党に向かう。支持基盤を揺さぶることで、交渉を有利に進めたい中国の思惑が透ける。

(鈴木茉央、佐藤未乃里、ニューヨーク=西邨紘子)

 

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 今村卓のアバター
今村卓
丸紅 執行役員 丸紅経済研究所社長・CSO補佐

分析・考察

トランプ氏が米農家には「我慢を」、米消費者には「多少の混乱はあるだろう」と追加関税のコストを認め始めたことが気がかりです。

どちらも「大きなことを行っているからやむを得ない」「我々はそれでOKだ」。

農家向けは中国との大掛かりなディール、消費者向けは製造業と労働者階級の復権という目的を定めて使命感に駆られ高揚感に酔い、農家と消費者に掛かる負担の重さを軽視し始めた油断を感じます。

問題は農家や消費者がどこまでトランプ氏に政策選択を託しているか。支持率はそれほど高くないだけに、農家は経営悪化、消費者はインフレ再燃の懸念を抱くようになれば、トランプ政権に「話が違う」と強い不満を示す可能性があると思います。

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大泉一貫
宮城大学 名誉教授
 
ひとこと解説

トランプ関税政策のキーワードは「我慢」の様だ。

米国産大豆や綿花へ中国が報復関税をかけたが、アメリカは、逆に中国産絹糸に関税をかけて戦うという。必ず勝つからそれまで我慢してくれというチキンレースだ。

中国の報復関税は当然予想されていたが、今はブラジルというマルチな農産物輸出国が世界市場の盟主となっている。

アメリカが勝つ保証はない。逆に第一次トランプ政権時同様、中国市場を失うだろう。

米国農民が我慢しても生産量は減るだけとなる。カナダのカリ肥料にも関税をかけたら農家は踏んだり蹴ったりだ。

それでも俺を信じて我慢しろというのがトランプ流か?当然、中間選挙に影響するだろう。

 

 

 

 

 

日経記事2025.3.10より引用

 

 


米フォード、独事業再建へ7000億円 リストラや負債削減 (日経2025.3.10)

2025-03-10 23:40:02 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


フォードのドイツ国内の販売店(1月、独南部ミュンヘン)=AP

 

 

【フランクフルト=林英樹】

自動車大手の米フォード・モーターは10日、ドイツ子会社の再建などに最大44億ユーロ(約7000億円)を投じると発表した。

従業員数千人の削減などの計画を明らかにしており、リストラ費用や負債削減などに使う。

 

フォードは2024年11月、ドイツで27年末までに従業員2900人を削減すると発表していた。

独政府が23年12月に電気自動車(EV)購入補助金を停止し、独国内の需要が低迷したことを受けた措置で、23年に表明した3800人の削減から追加した。

 

今回の資金は「リストラの継続と競争力の強化」が目的で、一部を独子会社フォード・ベルケの資本に注入する。

フォードのジョン・ローラー最高財務責任者(CFO)は同日「欧州で長期的に成功するには組織構造を簡素化しコストを削減し効率を高める必要がある」と資金注入の狙いを説明した。

 

欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州主要31カ国のフォードの新車販売は1月、3万1000台で前年同月比12%減った。ドイツだけでなく、英国など欧州の他拠点でもリストラを進めている。

独国内のリストラは主に西部ケルン工場が対象だ。同工場では多目的スポーツ車(SUV)のEV「エクスポーラー」「カプリ」を生産している。

 

25年春から欧州で納車を始める新型EV「プーマGen-E」はケルンではなく、生産コストが低いルーマニア工場で生産することが決まった。

独子会社は資金の一部を「複数年の事業計画の実行」にも使う。ケルン工場のEV生産設備の高度化にも20億ユーロを投じる予定で、リストラ費用や負債削減を含めた総額が最大44億ユーロとなる。

 

 

 
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日越共同で脱炭素投資、住商や丸紅参画 総額3兆円

2025-03-10 23:19:14 | 商社・小売り・スーパー、食料・飲料全般、ビジネス・水・酒・穀物メジャー


住友商事は第1タンロン工業団地と北ハノイスマートシティーで再生可能エネルギーの導入などを進める
(写真は第2タンロン工業団地)

 

【ハノイ=新田祐司】

日本企業がベトナムで風力発電など脱炭素投資を加速させる。

日越政府は5日、住友商事丸紅などが最大100億ドル(約1兆5000億円)規模の投資を検討する洋上風力発電など14件の投資案件について、早期に事業化させることで合意した。

 

投資総額は最大200億ドル(約3兆円)規模を見込む。

在ベトナム日本大使館や日本企業が5日、ベトナム商工省の代表者らと会合を開いた。日本大使館の伊藤直樹大使と商工省のグエン・ホアン・ロン副大臣が出席した。

 

ベトナムに環境負荷の低いエネルギーを安定供給するための投資案件を精査し、早期に事業化する投資案件を14件選んだ。

ロン氏は発電所や送電網整備の方針を示す「第8次国家電力開発基本計画」(PDP8)を3月中に改正すると明かし、エネルギー開発には「両国に大きなチャンスがある」と強調した。

 

 

 

今回、早期事業化の対象になったプロジェクトのうち、想定される投資規模が最大なのは、丸紅や住友商事、熊谷組などが検討する洋上風力発電所の建設計画だ。

日本側は、投資額が複数の洋上風力発電所の合計で最大100億ドルになると説明した。

 

ロン氏は会合で、北・中・南部の海域ごとに洋上風力発電所の発電容量を定める方針を示すなど、洋上風力の活用に前向きな姿勢を見せたという。日本企業への海域調査の権利付与を示唆したともいう。

再生可能エネルギーでは当面の電力需要をまかなえないベトナムの実情を勘案し、段階的に脱炭素を達成するためのエネルギー移行も支援する。

 

液化天然ガス(LNG)火力発電所の建設では、東京ガスと丸紅が北部地域で、住友商事が中部地域で進めるプロジェクトなどがある。

南部地域では三井物産系の三井エネルギー資源開発が権益を持つ天然ガス田で採掘したガスを火力発電に生かす。いずれも投資額は20億〜25億ドルとなる見通しだ。

 

IHIは国営ベトナム電力公社(EVN)と石炭火力発電所へのアンモニア混焼を進める。EVNグループは国際協力銀行(JBIC)の融資を活用し、各地で送電網整備も急ぐ。

いずれのプロジェクトも日本の低炭素技術や資金を活用する。対象案件は、プロジェクトの進捗を日越で管理する方針だ。ベトナム側からは課題が見つかり次第、双方の実務者が迅速に協議して解決をめざす意向があったという。今後、改正PDP8を踏まえ、対象案件を追加したり、入れ替えたりする可能性もある。

 

早期事業化の対象に選ばれた案件には、投資決定前のプロジェクトもある。事業環境が急激に変化したり、競合企業が魅力ある投資計画を提案したりして、日本企業が投資できなくなる可能性が残る。

日本側には今回の日越合意を後ろ盾に、投資決定に向けた交渉を優位に進めたい思惑もあるとみられる。

 

日越合意はベトナム側からの呼びかけが発端だ。背景には、瀬戸際に立つベトナムの電力事情がある。昨年8月に発足した共産党の新指導部は、国内総生産(GDP)の8%成長を目標に掲げるなど経済優先を鮮明にする。

一方、電力需給は逼迫し、経済活動の足を引っ張る。さらに、50年のカーボンニュートラルも宣言した。

 

経済成長と電力確保、環境負荷の軽減。相反する3要素の並立に悩むトリレンマの解消に向け、低炭素技術を持つ日本企業と利害が一致した。

日本政府は「アジア・ゼロエミッション共同体」(AZEC)構想で、東南アジアの脱炭素を支援してもいる。伊藤大使は「今回の合意で日越の協力関係は新たな段階に入った」と話す。

 

近年のベトナム製造業では、韓国勢や中国勢の大型投資が目立っていた。ただ、製造業を支えるエネルギー分野では日本企業の存在感はなお高い。投資規模も大きく、地域の雇用改善が期待できる。

一方、ベトナムでは発電所建設などの大型案件に対し、十分な政府保証がなく、金融機関による融資が難しいなどの問題が残る。電源整備は長期間にわたるだけに、官民一体で粘り強く交渉を続けて日越合意を成果につなげる必要がある。

 

 

日経記事2025.3.10より引用

 

 

 

 


JX金属、半導体材料に軸足 (日経2025.3.10)

2025-03-10 23:10:26 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

源流は1905年に開業した日立鉱山。資源・製錬が祖業だが、半導体材料へと事業の軸足を移す。

半導体製造時に使う金属の薄膜材料「スパッタリングターゲット」は、世界で6割のシェアを持つ。約1500億円を投じ、茨城県ひたちなか市で半導体材料の工場の建設を始めており、2025年度中の試運転を目指す。

 

 

 

資源・製錬事業は再編を急いでいる。23〜24年にはチリのカセロネス銅鉱山の権益譲渡を進めた。

現在は100%の株式を保有するENEOSホールディングスが50.1%を売り出す。2025年3月期の連結業績(国際会計基準)は売上高で前期比54%減の7000億円、純利益で47%減の543億円を見込む。

会社2社が株式の一部譲渡で持ち分法適用会社となることが影響する。成長投資を最優先とし、財務体質の改善とのバランスをとりながら株主還元を実施する方針だ。

3月19日、東証プライム上場

 
 

 

 

日経記事2025.3.10より引用

 

 

 

TSMC、2月も売上高最高 台湾で25年に8000人採用計画 (日経2025.3.10)

2025-03-10 22:57:14 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


25年に前年比3割増の人材採用を計画する(8日、台北での採用イベント)=TSMC提供

 

【台北=龍元秀明】

半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した2025年2月の売上高(速報値)は前年同月比43.1%増の2600億台湾ドル(約1兆1600億円)だった。

生成AI(人工知能)を動かすサーバー向けなどに先端半導体の販売好調が続き、同月として過去最高となった。

 

売上高が前年同月比でプラスとなるのは14カ月連続。日数が少ないこともあり、前月比では11.3%減だった。

 

 

 

8日には25年に台湾で約8000人の人材を採用するとの計画を公表した。前年に比べ3割増となる。

修士卒の新人エンジニアの平均年収は220万台湾ドル(約980万円)に達するという。国際的な人材を採用するため、英語・日本語人材などを対象にオンラインの就職説明会も開く。

 

TSMCによると同社グループの正社員数は23年時点で約7万6000人。19年に比べ49%増えた。正社員の9割近くが台湾に集中している。

TSMCは半導体の受託生産で世界シェアの6割を持つ最大手。米エヌビディアや米アップルなどに先端半導体を供給する。

 

先端技術の開発・量産の中心を台湾に置く一方、米国に1000億米ドル(約15兆円)を追加投資し、3つの新たな先端半導体の工場などを設けると明らかにしている。

 

 
 
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