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ロシア侵略への協力停止要求 EU、中国首脳が電話協議

2025-01-15 23:04:40 | NATO・EU・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


コスタEU大統領(左)は中国の習近平国家主席と電話協議した(ブリュッセル)=AP・共同

 

【北京、ブリュッセル=共同】

欧州連合(EU)のコスタ大統領は14日、中国の習近平国家主席と電話協議し、ウクライナ侵略を続けるロシアに対して軍事転用可能な物品を一切提供しないよう求め、侵略への協力停止を要求した。EU関係者が明らかにした。

コスタ氏は「ロシアのウクライナ侵略は世界の平和と安定に対する脅威だ」と指摘し、ウクライナにおける「公正で永続的な平和」に貢献するよう促した。これに対し習氏は、公正な平和の必要性に同意したという。

 

EU関係者によると、習氏は中国製電気自動車(EV)などを巡る貿易摩擦について「相互に有益な解決」を呼びかけた。コスタ氏は公平な競争条件を確保し、貿易の不均衡を是正しなければならないと強調した。

中国国営中央テレビによると習氏は、国際情勢が厳しさを増す中、中国と欧州はパートナーとして関係を発展させるべきだと訴えた。

 

習氏はトランプ次期米大統領の就任後、米中対立が激化して経済が打撃を受けるとみて、欧州との関係強化を図っている。

 
 
 
日経記事2025.1.15より引用
 

 

 


[FT]カナダ、ウラン大国再び 原発回帰で需要が急増

2025-01-15 22:54:22 | 資源メジャー、環境エネルギー、資源・素材、

 

Financial Times

カナダがウラン生産量で世界トップに躍り出ようとしている。

発電過程では温暖化ガスを排出しない原子力発電の需要急拡大と、地政学的緊張による供給不安を背景にウラン価格は高騰が続く。

 


カナダのカメコのウラン生産量は2024年に3割ほど増加したという=ロイター

 

ウラン採掘でカナダ最大手のカメコは、主要産地であるサスカチワン州北部2鉱区での生産量が3割ほど増え、2024年には約1700万キログラムに達したとの見通しを明らかにした。

カナダのRBCキャピタル・マーケッツによると、35年までに同国のウラン生産量は倍増する可能性がある。

 

カナダのウィルキンソン天然資源相は、フィナンシャル・タイムズ(FT)に、「カナダは国内需要向けにとどまらず、主要7カ国(G7)で唯一、同盟国の原子炉の燃料向けにウランを供給できる国だ」と述べた。

カナダは08年まで、核燃料用のウラン産出でトップだった。だが11年の福島原発事故が西側諸国の原子力業界に打撃をもたらし、世界原子力協会によると、22年の世界生産量はカザフスタン43%、カナダ15%、ナミビア11%となっている。

 

ところが、時流はカナダに傾きかけている。31カ国が気候変動対策として50年までに原発の設備容量を3倍にするとしており、ウラン需要は大幅に膨らむ公算が大きい。

アマゾン・ドット・コム、グーグル、メタなど米IT(情報技術)大手も、大量の電力が必要なデータセンターの運営を原発に頼る動きを見せている。

 

カナダのBMOキャピタル・マーケッツは、IT大手が原発に関心を向けたことで「政府による積極的な政策に加え、巨額の民間投資にも扉が開かれ」、ウランへの注目度が「再び高まった」と分析する。

一方で、カザフ国営のウラン採掘企業カザトムプロムは24年、ウラン製錬に使う硫酸の不足により、生産が頭打ちとなった。22年のロシアのウクライナ全面侵略による地政学的緊張も、カザフから西側企業への供給を難しくしている。

 

カザフ産ウランの最大の輸出先は中国だ。米調査会社UxCのジョナサン・ヒンズ社長は、カザフ産の大半が中国をはじめとするアジアに流れる傾向が加速すれば「西側電力会社に対する警鐘」になるとみる。

カメコのグラント・アイザック最高財務責任者は「世界のウラン市場は二分化している。これまではありえなかった状況だ」と話している。

 

 

By Ilya Gridneff, Jamie Smyth and Camilla Hodgson

(2025年1月5日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

 

 

 

日経記事2025.1.15より引用

 

 


次期戦闘機、日本はステルス性能に寄与へ 複合材に強み

2025-01-15 22:42:25 | 安全保障、戦争・軍事・テロ・ハニトラ、マフィア、スパイ・犯罪・詐欺


次期戦闘機の模型の前で取材に応じる中谷防衛相ら
(14日、英中部プレストン近郊のBAEシステムズ工場)=共同

 

英国を訪れている中谷元防衛相は15日、ヒーリー国防相と会談した。日本、英国、イタリアで共同開発する次期戦闘機を巡り協議した。

3カ国のこれまでの調整で日本が機体設計などを担うことが固まった。複合材に強みを持つ技術力を生かし、レーダーに映りにくいステルス性能の向上に寄与する。

 

次期戦闘機は航空自衛隊の「F2」戦闘機、英国とイタリア両軍が運用する「ユーロファイター・タイフーン」戦闘機の後継になる。3カ国は2035年の配備をめざし、25年度末にも試作機の製造に着手する。

3カ国での共同開発には政府だけでなく、企業も参加する。日英伊の中核3社が24年12月に機体の製造などを担う共同企業体(JV)の設立で合意した。3社で均等出資する。日本からは日本航空機産業振興(JAIEC、東京・新宿)が出す。

 

共同開発を管理する国際機関「GIGO(ジャイゴ)」とJVは25年にも開発契約を一括で締結する。3カ国が開発・生産で役割を分担する。

中谷氏は会談後、記者団に契約について「35年の初号機配備を実現するうえで極めて重要なマイルストーンになる」と述べた。中谷氏は15日、GIGOも視察した。

 

防衛省は次期戦闘機に求められる能力として

①ステルス性

②無人機連携をはじめとする高度ネットワーク戦闘

③高性能なレーダー・センサーなどの技術――を挙げる。

 

人工衛星などからの情報を総合的に得ながら、敵のステルス機を発見し、随伴する無人機を偵察や攻撃に活用するといったイメージだ。

日本はステルス性能の向上や軽量化に欠かせない機体デザインを担う。異なる材料を組み合わせる複合材の技術を生かす。

 


 

日本の複合材技術は防衛装備品や民間製品でも幅広く活用されている。例えば海上自衛隊の「もがみ」型護衛艦では軽量化などを念頭に複合材の一種である繊維強化プラスチック(FRP)を採用した。

日米で共同開発した空自の「F2」戦闘機でも複合材の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使う。CFRPで用いる炭素繊維は日本企業が高い世界シェアを持っており、F2開発の技術は後に米ボーイングの中型民間機「787」に応用された。

 

次期戦闘機の開発に関わる三菱重工業は16年に初飛行したステルス性能を持つ実証機「X2」で得られたノウハウを生かす。9割以上の部品を国産でまかなった。

電波を吸収する複合材で機体を覆うことで実現したステルス性能や空中で自由自在に動けるようにする技術を得た。これらの国産技術を次世代戦闘機に盛り込む狙いとみられる。

 

ステルス性能を追求すると、機体の構造が制限され、戦闘機に本来求められる攻撃力や機動性を損ねかねない。技術の総合力が必要で、英伊と補完し合う。

システム関連は英国とイタリアが担当する。英BAEシステムズは電磁波で敵の攻撃を防ぐ電子戦システムで高い技術力を持つ。

 

最新鋭戦闘機の米国の「F35」にも納入するなど、培ってきた知見を次期戦闘機に反映する。機体制御を担う伊レオナルドは、人工知能(AI)など最新のデジタル技術の導入に力を入れる。

中谷氏は14日、英中部プレストン近郊にあるBAEシステムズで戦闘機を開発する工場を見学した。次期戦闘機に採用する機体やエンジンを念頭に各種技術を試す実験機などを開発する工場で、防衛装備品の開発に関する最新設備を見たほか、次期戦闘機の開発計画について説明を受けた。

 

3カ国の企業がそれぞれ強みを持ち寄ることで、ステルス性能に加えて高い攻撃力や連携力を保有する機体になり得る。

中国やロシア、北朝鮮といった日本周辺の安全保障環境を悪化させる国々への抑止力として期待がかかる。

 

中国軍は24年12月、次期戦闘機と同じ第6世代とみられる戦闘機を飛ばした。ステルス性能が向上している可能性があり、次期戦闘機もこれに対抗する必要がある。

共同開発特有の難しさもある。次期戦闘機に関わる企業幹部は「日本が機体をデザインしたとしても、最終的には3カ国政府がそれぞれ承諾しないといけない」と話す。各国で求める性能が異なれば擦り合わせに難航するリスクを指摘する。

 

 

 
 
 
 
 
石破政権

自民党の石破茂総裁が10月1日、衆参両院の本会議での首相指名選挙で第102代首相に選出されました。石破政権に関する最新のニュースをまとめています。

 

 

 

 

日経記事2025.1.15より引用

 

 


中国企業の4割「対米関係改善する」 トランプ氏に期待

2025-01-15 20:56:00 | トランプ政権


トランプ氏再登板で米中関係は改善するとみる中国企業が多い(19年、
握手するトランプ氏㊧と中国の習近平国家主席)=ロイター

 

日本経済新聞社が中国・人民日報系日刊紙の環球時報、韓国の毎日経済新聞と共同で実施した「日中韓経営者アンケート」で、中国企業の4割が対米関係が「改善する」と答えた。

韓国や日本の企業に比べ楽観的な見方が際立った。米中対立が続くもののトランプ米次期政権では交渉できるとの期待が背景にあるとみられる。

 

 

アンケートではトランプ氏が大統領に再選された後の米国と自国の関係がどうなると予想するか尋ねた。

中国企業では「大幅に改善」と「若干改善」の合計が38%に達し、「大幅に悪化」と「若干悪化」の合計の8%を上回った。

 

中国ではトランプ氏の第1期政権で交渉によって関税をある程度緩和できたことで、バイデン現政権に比べ対応しやすくなるとの見方がある。

米国で保護主義が進む結果、日韓との連携が強まるとの期待もある。

 

中国現代国際関係研究院・世界経済研究所の陳鳳英元所長は「トランプ政権が発足すると『米国中心』の戦略が実行される。

日韓は米国を当てにできないと考え中国との経済協力が増える」と指摘する。

 

 

 

日本企業は「変わらず」8割、様子見強まる

日本企業では対米関係について「変わらない」が83%に達し、様子見の傾向が強かった。「改善する」が2%、「悪化する」は15%にとどまった。

韓国企業は「改善する」が14%だった一方、「悪化する」は40%に達し、3カ国の中で最も厳しい見通しを示した。

 

20日に米大統領に復帰するトランプ氏は関税の引き上げを掲げており、韓国は特に身構える。韓国にとって米国は中国と並ぶ輸出先で、実際に関税が引き上げられれば大きな影響が出るとの懸念が広がる。

大韓商工会議所の姜錫求(カン・ソック)調査本部長は、トランプ氏が打ち出す政策に対応するため、「企業の根本的な体質改善と韓国政治の早期安定、企業を支援する政策づくりも必要だ」と指摘する。

 

 

世界と自国の経済見通し、韓国企業は悲観的

2025年の世界経済見通しでも日中韓の企業で温度差が見られた。韓国は「成長」の22%に対し「悪化」が44%だった。一方で日本の51%と中国の43%が「成長する」と回答した。

自国経済についても韓国の悲観的な見方が際立つ。1年後に「成長する」との回答は日本が8割、中国は5割だった一方、韓国は18%にとどまり、「悪化する」が42%にのぼった。

 

戒厳令が出されるなど政治の混乱が続いていることが一因とみられ、経済への影響の広がりが懸念される。

アンケート調査は24年12月2〜18日に実施した。日中韓合計で287社の経営者が回答した。

 

 

 
 
 
 
トランプ次期政権

ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙でハリス副大統領と対決し、勝利しました。次期政権の行方などを解説します。   

 

 

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日経記事2025.1.15より引用

 

 

 

 

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訪日客消費8兆円で過去最高 24年、アパレル市場並み

2025-01-15 20:37:04 | 観光・旅行・外食・ショッピング


外国人観光客らでにぎわう銀座三越前(2日、東京都中央区)

 

 

好調な訪日客が日本経済を支えている。2024年の消費額は8兆1395億円、客数は3686万9900人でともに過去最高となった。

円安効果も下支えし、国内のアパレル業界の市場規模並みの消費額となった。訪日客消費の拡大には1人あたり消費額の引き上げや地方への誘客とともに、観光資源の持続性への目配りが欠かせない。

 

観光庁が15日発表した24年10〜12月の訪日外国人消費額は2兆3108億円だった。24年4〜6月期の2兆1402億円を上回り、四半期として過去最高を更新した。

1人当たりの消費額は23.7万円で、19年同期の17万円から増えた。

 

 

 

 

年間でみると消費額、客数ともに過去最高を更新した。これまで最高だったのは消費額が23年の5兆3065億円、客数が19年の3188万人だった。

24年は消費額、客数ともに新型コロナウイルス禍前の状況を上回ったことになる。

 

国・地域別にみると、最も消費が多かったのは中国で1兆7335億円だった。景気低迷や、福島第1原子力発電所の処理水放出問題などの影響により、回復が遅れていたが戻りつつある。

2位は台湾で1兆936億円3位の韓国は9632億円だった。

 

 

年間の訪日客数は前年から47%増えた。国・地域別に前年と比べた伸び率をみると中国がおよそ2.9倍、米国が33%増だった。

日本経済のけん引役としての存在感も高まっている24年の消費額8.1兆円は国内小売りの一角をなすアパレル産業の市場規模に並ぶ額となった。矢野経済研究所によると23年のアパレルの小売市場規模は8兆3564億円だった。

 

財務省の24年1〜11月の貿易統計から主要品目の輸出額を年率換算したものと比べても、自動車の17.7兆円に次ぐ。6.1兆円の半導体等電子部品や4.4兆円の半導体等製造装置、鉄鋼などを上回った。

消費額の拡大は円安によるものも大きい。日銀によると外国為替市場で対ドルの円相場は24年平均で1ドル=151円だった。コロナ禍前の19年の1ドル=108円と比べ大きく下げたほか、23年の1ドル=140円と比べても円安水準にある。

 

各国のマクドナルドのビッグマックの値段を比べる英エコノミスト誌の「ビッグマック指数」によると、24年の日本はドル換算で1個3.19ドルだった。英国(5.90ドル)、米国(5.69ドル)、韓国(3.99ドル)、中国(3.53ドル)などよりも安い。

今後の課題は訪日消費の持続性だ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「地政学や日本の天災といったリスクもあるが、今後も訪日客数は増加余地がある」というが、足元ではオーバーツーリズム(観光公害)や地域社会との共存が問われる局面に移りつつある。

 

みずほリサーチ&テクノロジーズの坂中弥生氏は「客数ありきではなく、1人当たりの消費額を引き上げる策が肝心だ」と指摘する。

24年の1人あたりの消費額は22.7万円だった。19年の15.9万円から大きく増加し、23年の21.3万円からも伸びた。1人あたりの消費額の引き上げでカギを握るのが消費額が100万円を超える「富裕層」の呼び込みで、企業も囲い込みに動き出した。

 

高島屋は24年12月から海外のVIP客が日本の店舗を訪れた際、外商サロンの利用や免税手続きを優先するなどのサービスを始めた。

シンガポール店の顧客約1500人に専用の会員証を発行し、12月の1カ月間で約70人の利用があったという。

 

JTBは24年11月、準富裕層の訪日客向けの旅行ブランドを立ち上げた。富士山と東京都内上空をヘリコプターで遊覧するツアーなど7ツアーを用意。

準富裕層はビジネスを兼ねて来日する人も多く、短時間で充実した旅程を楽しみたいとの需要を取り込む。

 

 


大丸心斎橋店の免税カウンター(大阪市)

 

オーバーツーリズムでも対策に動く自治体が出てきた。京都市は宿泊税を最大1万円まで引き上げる。現行では宿泊料金によって200〜1000円を段階的に課している。

最低税額は据え置きつつ、1人あたり1泊10万円以上の場合に1万円となる。

 

今回の増税によって宿泊税収は約126億円となる見通し。使い道は「観光振興」と「市民生活と観光の両立」の2つの柱で構成する。

文化財や歴史的な街並みの保全のほか、観光客の集中を防ぐ広域的な観光周遊ツアーの企画などに使う方針だ。

 

観光振興のほかにも、橋の耐震補強や洪水対策として河川改修といった市民にもメリットが大きい施策にも税収を充てる考え。

松井孝治市長は宿泊税の使途拡大によって「観光が市民生活の豊かさにつながっていると感じてもらうのが大事」と説明する。

 

JTBの推計によると25年の訪日客は初めて4000万人台になる見込みだ。

国連の世界観光機関によると、23年の観光収入は日本が386億ドルだったのに対して、米国が1891億ドル、スペインが920億ドル、フランスが712億ドルだった。

 

訪日客の活力を経済成長に取り込みながら、観光資源の保全などを両立させる総合戦略が重みを増しそうだ。

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

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小宮一慶
小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
 
ひとこと解説

家計の消費支出が実質賃金の伸び悩みもあり低迷する中、インバウンドの消費が国内消費を底支えしている。

一方、記事には、オーバーツーリズムへの京都市の対応が載っているが、観光税だけで解決しない問題も少なくない。

東京や大阪では、主に外国人をターゲットとしているホテルでは1室1泊10万円を超えているところも少なくなく、外国人と日本人でも超富裕層などを相手にしている。

そのあおりや外国人宿泊客の増加を受けて、日本人ビジネスマンがよく使うホテルの価格も一部では高騰しており、宿泊費の増加などで、企業経営、とくに中小企業経営にも少なからぬ影響が出ている。

インバウンドの恩恵を受けない企業のデメリットは大きい。

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加藤史子
WAmazing 代表取締役/CEO
 
ひとこと解説

国策としての訪日外国人消費額の目標は2030年に15兆円(6000万人)と定められました。

これは法律ではないですが2016年3月末に「明日の日本を支える観光ビジョン」として閣議決定されました。

もし、この目標2030年に6000万人のお客様をお迎えし15兆円の外貨を稼ぐ!が達成されたとすると一般客1人あたり、1回の日本旅行での日本国内消費は1人あたり25万円となります。

記事中に「24年の1人あたりの消費額は22.7万円だった。19年の15.9万円から大きく増加し、23年の21.3万円からも伸びた。」とありますが、この1人当たり消費額が着実に伸び、目標達成および観光立国日本に着実に近づいています。

 (更新)
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