真実

生かされている
という真実を識っているのなら
絶望に打ちひしがれる暇は無い　

優しさを零れさす　
何も作為のないところで　
それは本物の輝きの窓になる　

愛をゆく　
たゆまずゆく　

振り返る歳月　
あらゆる痛みの波のなかで　
わたしの色彩を誰も壊せはしない　

忘れな草

いつか消える記憶だから　
忘れな草の咲く庭へと連れだした　

あなたにわたしを塗りこめて　
涙のような花びらのちいさなハート　

首筋

この秋最初の長袖に腕を通す時　
包まれる感触　遠く近くあなたを想う　

よく知っている首筋の匂いが
眩暈するような危うさを含んで

何も無かった頃の
わたしには戻れないの　

役立たずの羽根を軋ませて畳む
逢いたいだけで逢える時代など　
とうに過ぎてしまったのだ　

薔薇色のガラス玉

癒されたいと
いつしか願わなくなっていた
薔薇色のガラス玉　　

浅い呼吸

いま離れたらあと1年は逢えなくて　

「泣かないで」　

せつなげに伝える君の瞳に　

銀の弓を射る前の浅い呼吸　

哀しい予感

張りつめるグレイの空　
雷鳴が聴こえる　

涙になったら逢えないの　
どしゃぶりならなおのこと　

微笑みの森へたどりつけない　
焦がれているのにたどりつけない

哀しい予感に
暗くなってゆく窓