主に歴史の本を読む

歴史だけに限定したら苦しくなったので”主に”をつけた。読書の記録。

37.ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか ー民主主義が死ぬ日  を読む

2021-09-23 22:18:38 | 世界史

 

 

【内容】

イントロダクション

1。八月と十一月

2。「信じてはいけない、彼が本当のことを言っていると」

3.血のメーデーと忍び寄る影

4。飢餓宰相と世界恐慌

5。国家非常事態と陰謀

6.ボヘミアの上等兵と貴族騎手

7.強制的同質化と授権法

8.「あの男を追い落とさなければならない」

 

【感想】

 ナチスの政権獲得についてはいろいろな本を読んできたが 結局「陰謀」等が

あるわけではなく 何をする(であろう)かは ほぼ政権を取る前にわかって

いたんだね。それでも ナチスは合法的に政権をとった。

 失業して毎日腹を減らしている人が多数いる社会で 「自由」「権利」などの

主張はむなしく響き なにかやってくれそうな独裁者を皆は求める。。ということで

あろうかと 思う。

 一つ納得いかないところ

ナチスの前の政治家たちは「内戦発生を恐れて」ナチスに妥協していったとのことだが

法治国家で なぜ国家権力以外の特定の団体が 内戦を起こすほどの武器を持てるの?

よく理解できない。


36.資本主義の極意  を読む

2021-09-18 21:26:48 | 社会

 

 

 

 

【目次】

序章:資本主義を日本近代史から読み解く

第一章:日本資本主義はいかに離陸したか

 1.近代貨幣制度の幕開け

 2.資本主義と農業はどう結びつくか

 3.インフレ政策からデフレ政策へ

 4.日本資本主義はどこが特殊なのか

第二章:日本資本主義はいかに成熟したか

 1.恐慌から産業革命へ

 2.明治期のブラック企業

 3.商人資本から産業資本、金融資本へ

 4.財閥登場

第三章:国家はいかに資本に介入したか

 1.バブル経済から金融恐慌へ

 2.世界恐慌は日本経済をどう変えたか

 3.日本資本主義論争のインパクト

 4.恐慌か さもなくば戦争か

第四章:資本主義はいかに変貌したか

 1.「経済の軍事化」「TPP」をどう捉えるか

 2.アベノミクスをどう捉えるか

 3.同時多発テロをどう捉えるか

 4.「教育格差」「女性の活用」をどう捉えるか

 5.むき出しの資本主義社会をどう生き抜くか

【感想】

最近 「資本主義」「資本論」をタイトルにした本が

いろいろ出ているが これもその一冊。

佐藤優氏が重視する「宇野経済学」を元に社会を読んでいる。

佐藤氏によれば 資本論には①資本主義を解析する”マルクス経済学”

②資本主義社会に革命を起こすことをめざす”マルクス主義経済学”

の二つの魂があり 宇野経済学は①を深めたものであるということである。

 

宇野経済学を知らないので 本書の内容としては 判断できないのだが

ここはひとつ「資本論」を勉強してみよう という気になり 早速

デービット・ハーヴェイの「資本論入門」を購入したのであった。

 

 


35  レリジエンス 復活力 を読む

2021-09-18 10:35:52 | 社会

【目次】

レリジエンスとは何か

  レリジエンスの必要条件

  個人と集団のレリジエンス

  サステナビリティの落日

1.頑強だが脆弱なシステムはどう崩壊するか 

  漁場と金融市場

  金融業者のための生態学

  リーマンショックを引き起こした爆弾

  システム崩壊の予兆

  金融システム全体を見渡す

  システム崩壊に応じて目覚める機能集団

2.感知し、拡大し、参集する

  アルカイダの安上がりな戦術

  結核菌はいかに生体を蝕むか

  相手の戦術を模倣する

  呼吸する送電線網

  スマートグリッドの時代

  送電系統後の世界

3.多様性を密集させる

  生物と都市に共通するスケーリング法則

  多様性を凝縮した森を作る

4.人はいかに心の傷から回復するか

  ホロコーストを生き延びた孤児たち

  個人のレリジエンスを決定つけているものは何か

  感情の”蓄え”を賢く使う

5.協力と信頼はいかに生まれるか

 社会のレリジエンスー1

  リーマンブラザーズは救えたか

  囚人のジレンマ

  協力したいと思う自分の”部族”を拡張する

  ハイチ大地震ーミッション4636

  なぜミッション4636はうまくいったのか

6.リスク志向を抑制する多様性と寛容さ

 社会のレリジエンスー2

  リスク志向の文化がレリジエンスを低下させる

  悪魔の提言者養成学校

7. コミュニティの適応能力

 社会のレリジエンスー3

  バングラディッシュの汚染された井戸

  暴力の連鎖を食い止める

8, コミュニティを支える「通訳型」リーダー

 社会のレリジエンスー4

  パラオについて

  若きリーダーによる伝統的制度の活用

  仲間の輪を広げる

  ネットワークを織りなす

9.レリジエンスの習得

  脆弱点、限界点、フィードバックループをマッピングする

  アドホクラシー

  徹底的にデーターを活用する

  将来に向けてリハーサルを積む

  レリジエントな場所に学ぶ

 

【感想】

個別の事例は大変興味深く「なるほどなあ」と思わせた。。。が

その解析がすべて「各論」に終始しているような気がする。

例えば 

ある場合は「有能なリーダーがいたことがポイント」

ある場合は「社会システム全体のことを考えずその場のことしか考えてなかったから失敗」

など。

本に”レリジエンス”というタイトルを付けたのならば 各論から一歩踏み出して

「レリジエンスを得るためには」という議論がほしかった。

9章にそれらしきタイトルはあるが 残念ながら「一般法則は存在しない」で

終わってしまっている。

 

 レリジエンスとは関係ないがこの本の中で心に残った言葉は「何もかも神話」である。

例えば ある問題を解決しようとする際に 原因を考えて「あれが駄目 これが駄目 あれも駄目

結局社会が悪い」というような考え方では 何も進まない(であろう)ということ。

ふむふむ。

 

  

  

 

 

 

 


34 おひとりさまの最期  を読む

2021-09-17 20:48:05 | 社会

【概要】

1.み~んなおひとりさま時代の到来

2.死の臨床の常識が変わった

3.在宅死への誘導?

4. 高齢者は住宅弱者か?

5.在宅ホスピスの実践

6. 在宅死の条件

7.在宅ひとり死の抵抗勢力

8.在宅ひとり死の現場から

9.ホームホスピスの試み

10.看取り士の役目

11.看取りをマネージメントする

12.認知症になっても最期まで在宅で

13.意思決定を誰にゆだねるか?

14.離れている家族はどうすればよいのか?

15.死の自己決定は可能か?

16.死にゆくひとはさみしいか?

【感想】

上野先生が 計画通り独居老人になったので死に方を

考えるのであった。

在宅で、(子供と同居せず)自分の家で最期を迎える方法を

探る本。

重要なポイントは「同居するから、同居家族がいるから 自分の家に

いられない」という話。

上野先生は「不可能ではない」と主張する。

そりゃ家で見てもらえば大変すばらしいが この本に書かれている

「top事例」を持って ”できる”と言われても ”自分には難しいなあ~”

と思ってしまう。 献身的な医師、看護師や 世話してくれる友人が

いることが前提。そういう恵まれた人もいるだろうけど 多くの人は

無理なんじゃないかな。

 

 


33 忘却のしかた 記憶のしかた  を読む

2021-09-02 12:25:45 | 日本史

【概要】

第一章 E・H・ノーマン、日本、歴史のもちいかた

第二章 二つの文化における人種、言語、戦争

第三章 日本の美しい近代戦

第四章 「愛されない能力」ー日本における戦争と記憶

第五章 被爆者ー日本人の記憶の中の広島と長崎

第六章 広島の医師の日記、五十年後

第七章 真の民主主義は過去をどう祝うべきか

第八章 二つのシステムにおける平和と民主主義

第九章 惨めさをわらうー敗戦国日本の草の根の風刺

第十章 戦争直後の日本からの教訓

第十一章 日本のもうひとつの占領

 

【感想】

アメリカの 日本昭和前期の歴史を主に研究している(と思う)大学教授の本ー論文集。

特に戦争あたりの歴史につきいろいろ本を読んできたことをブログにも書いてきたが

はっきり言って どれも「まあ大きな違いは無いな!」という感触であった。

それに対し この本は 日本国外から見ただけあって 一味ちがう本である。

特に 第四章:愛されない能力   は結構耳がいたい人も多いのではないか?

日本国民は皆「戦争被害者」ということになってしまっており 加害者である

ポイントがほぼ抜け落ちてしまっている という指摘。確かに 最近本屋にある本は

そんな本が多い、「被害者」であることに加えて 「中国、朝鮮は日本が占領したから

発展した」などということを 声高に主張するものもある。ちょっと黙っていてくれ、

 

著者も指摘しているが 「天皇に責任が無いとしたら 一般国民の誰に戦争加害者の

責任があるといえるのか? と考えるのは当然である」 とごもっともな指摘。

これまで読んできた(日本人が書いた)戦争の本は えらく天皇に甘いなあ~

と前から思っていたのであった。