「どうしても親父に高円寺で下宿したいって言ってさ。なんでやって? で、拓郎の『元気です』のアルバムな、あれを聴かせたよ、親父に。で、高円寺っていう曲がフューチャーしてあるけど、それでなんでオマエが高円寺に住まなアカンのやって言われてさ、いやあ押し切ったよな・・・それほど俺にとって吉田拓郎は偉大だったしな。コウジ、オマエにしても同じやろ、拓郎から受けた影響ってとてつもないやろが」
ムーチョこと赤井薫がのたまう。久しぶりの邂逅・・・昨日の話だ。さっそく、ブログのほうへの書き込み・・・ありがたい。
以後、ムーチョに統一するつもりだが・・・ムーチョ、実は俺の久居中学時代のクラスメイト。ちなみに同じクラスには三重県ロックシーンを語るには欠かせないギタリスト・シゲもいた。変な奴ばっか集まったクラス、担任は奈良女子大学卒の女の先生・・・怒られてばっかりいたね。
ムーチョからの指摘のごとく、俺のブログ『HARD&LOOSE』は、かわぐちかいじの漫画から頂いたもの。今までも何度か、このことには触れている。ただ、あの当時の俺たちにとり、ムーチョもまた『HARD&LOOSE』の中で描かれる「仲間」というタームに憧れを抱いていたんだと今となって思う。
主人公は売れない探偵、憧れのフィリップ・マーローのように充実を感じる仕事には日本ではとんとお目にかかれない。暇な毎日、たまの依頼は決まって浮気調査、そんな倦むだけの日々にひょんなことから主人公を慕う仲間が一人二人と集まり始める。事務所を開くまでの足跡・・・あれが当時たった一人で世間に向けて突っ張っていた俺やムーチョの涙腺を刺激したのだ。
俺はたった一人、25年前に『れいめい塾』ならぬ『黎明塾』を始めた。その頃のムーチョといえば東京からのユーターン組、当然のように地元の会社務め、自分のやりたい仕事が何だか分からずに彷徨っていた。それがいつしか仲間と言えるような面子が集まり会社を辞める。俺も俺で高校入試でおしまいという仕事にいつしか倦み、赤字覚悟で高校生クラスを創設。それに伴い、医学部の講師を探しまわることになる。ちなみにその時に探し出した医学部講師1号が呉の橋本ドクターなのだが・・・。
自分たちの「いつか」を見すえていたあの頃に、俺とムーチョが虜になった漫画、『HARD&LOOSE』・・・孤独に生きている奴にしか、この漫画の凄さは分からない。楽天やアマゾンで注文しようとしてるアンタ、やめたほうがいい。この漫画は毒だ、今までの自分を台無しにしたくないのなら封印するのが賢明。
吉田拓郎が与えた大いなる影響・・・それよりも現在の筋金入りのいちびりな俺を構築せしめたもの、それは『HARD&LOOSE』という漫画だ。
漫画のなか、自分のことを十分に理解してくれる仲間たちに囲まれ、あまりの居心地の良さから再び孤独な探偵家業に戻ろうとする主人公がつぶやく・・・「俺の辞書じゃハードボイルドを、やせがまんって訳すのさ」・・・いつか俺の墓碑に彫ってもらうために俺は今日を生きる。
ムーチョは日本初のギターNPO「三重県アマチュア軽音楽協会」を起ち上げ、いちやく時の人となる。また行政からの依頼で久居中で7年間にわたりギター教室を開講。現在では「ギター寺小屋」という組織を運営しつつ、シニア世代にギターを教える日々を過ごしている。
こんなムーチョに加え、三重県屈指のギタリストのシゲ、さらには光機械を率いる慶子さんとの会合が2月10日だ。いちびりであり続けようとした俺の過去の軌跡を眺めるために出席するつもり、楽しみにしている。