突如の訪問の俺にお袋がつくってくれた食事は鰻丼と納豆、「まあ、お店で食べるのよりはおいしくないけど・・・」 それでもありがたい、今日はこの一食で打ち止めになるはずだ。
遠山病院・・・お袋のかかりつけの病院だが、鰻丼をほおばる俺にお袋は遠山病院の歴史の語り部となる。
「院長先生のお子さんもお医者さんになって、そしてアメリカのほうに行って・・・子細は分からないけど、病院を継ぐ人がいなくなって・・・それで5人のお医者さんが協力して病院を存続させることになったの。皆が気持ちを一にして・・・そんな意味も込めての同心会・遠山病院としてね」
少なくとも暑いさなかに鰻を食べながら聞くような話かいな・・・ツッコミは立場が弱い俺には許されず、拝聴することになる。
「それでも病院の運営にあたっては内科の先生たちと外科の先生たちの確執のようなものがあったようだけど、外科ではK先生というお医者さんが有名でね、私が初めて手術を受けたときに病室に説明に来られて、そのときに従っていたなかにまだまだ若いお医者さんがいらっしゃって、それが今の主治医のI先生よ」
あんたは遠山病院の生き字引か! ・・・心の奥襞に言葉を刻み込みながら鰻はあと一切れ・・・。
1時間ほどの遠山病院秘話を堪能した俺は宮脇書店にエスティマを飛ばす。
自然と足が向く文庫本コーナー・・・いかんいかん、『ローマ人の物語』があるじゃないか、と軟弱な自分を叱咤しながら学参コーナーへ。
システム英単語を買い込み、目にとまった『英単語ピーナツ』の青も・・・少し金が入るとこれだ・・・感想文、そういや中3の司が感想文を書くのに向いてる本はないですかって聞きてきたっけな。
短時間で読めて、それでいて顰蹙を買わないような作家で、司レベルで理解できる内容・・・体育会系の司が感情移入できるハナシ・・・さすがにバレーボール系のはない。重松清・・・これで教師側の批判は回避、あとは短編、クラブがらみ・・・
重松清の『季節風・夏』のなかの『終わりの後の始まりの前に』 最後の夏が終わった高校3年生の話だ。野球ではあるが、自分のバレーボールでの経験とリンクするはず。
ついでに小畑健にすがって売り上げを伸ばし2年目の鰌を狙う『人間失格』・・・これとがっぶりよつで組み合い、感想文を書ける高校生が出ることを願っての一冊。まあ、けたぐりでも構わないが・・・そして俺には『ローマ人の物語』が待っている。
クリックのほう、ほんまにほんまに頼んます。
ドクター・N、君が己の力で切り開いた「約束の地」へようこそ。
今日はひょっこり顔を見せて驚かせてやろうとの魂胆、日常に流されて頓挫。まあ、患者を装うには50歳ほど歳を食ってるが。呉の花火大会の行き帰りにでも寄るかな・・・。とまれ、新たな地で地域の人から信頼されるドクターになられんことを切に期待します。