漁業経済学者のひとりごと in 小浜

東村玲子のWebsiteはこちら → http://www.s.fpu.ac.jp/reiko/

おすそわけと陸揚げ

2008年07月20日 09時41分30秒 | Weblog
私が睡眠不足にも関わらず,朝の6時に起きたのは,
Jimが7時前に陸揚げに行くと言ったからなんですが・・

Jimは一向に出かける気配がなく,
友達に電話して「カニがあるけど,いる?」とか聞いている。
そして,Jimはカニをみんなに分けてあげるから,
玲子も一緒に行こうと言うのででかけました。

当地のズワイガニは個別割当制(IQ制)を採っているので,
漁獲した量は全て報告しなければなりません。
(船上投棄分は報告しない)
個別割当制とは,あらかじめ漁期前に各漁業者に
その年の漁獲分を割り当て,その量に達したら終漁というものです。

ただ,おすそわけとか,自家消費とか,そういう分については
お目こぼしがあるようでした。
今年は漁模様が良かったのか,おすそわけが頻繁にあったようです。
友達のJanetは「6パイももらったのよ。もう十分だわ」と言っていました。

おすそわけから帰って来ると
昨日奥さんが作ってくれたケーキを食べろとJimが言うので,
言われるがままに食べていました。

すると午前11時になって「陸揚げにでかけるぞ」ということになりました。
(つまり,昼ご飯を食べる時間がなかったと後で気づいた)
今回はJimとJim兄と私の3人で船で出かけました。
Newfoundlandの海岸線はとても壮大で,
岩礁域なんだなあと感動して見ていました。
やはり,相当船が揺れるので手すりにしがみついていましたが・・

陸揚げは,St. Anthony Seafoods Ltd.という
エビとカニの加工会社のそばで行います。
この会社はズワイガニの加工ライセンスを取得するのに
司法裁判まで持ち込んだという少々変わった会社なのです。
(水産物の加工にはライセンスが必要でかなり行政判断が入ります)
ですが,ズワイガニのライセンスのお陰で
数人がフルタイムで何十人かがパートタイムで雇われる様になりました。

陸揚げは,7~8人の荷役の人が行います。
漁業者は一切タッチしません。
荷役は荷役で重要な雇用なので,
仕事をとったりしてはいけないのだろうと思います。

一旦,パンから外して船倉に詰めていたズワイガニを
再びパンに戻して荷役が陸揚げしていきます。
全てのパンは業界からも行政からも独立した会社の人が
計量していました。
時々,抜き打ちで小さいサイズとミズガニが入っていないか,
チェックしていましたが,
小さいサイズがあったからと言ってペナルティはないようでした。
(ものすごくたくさんあったら,どうなのか知りませんが)

私はこの日も陸揚げの全ての状況をビデオやカメラで撮っていたので,
Jim兄に「ズワイガニが好きなんだな?」と言われました。
・・・ちょっと違う。

荷役が船倉の掃除まできっちりやって
5965lbのレシートをもらって帰途につきました。
ちなみに$1.5/lb(\363/kg)です。

帰りはJimが3機のエンジンを回転させたので,
20ノット(時速40km)くらい出ていました。