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母の平穏死

2019-01-06 17:23:19 | 母の平穏死

  母の平穏死   Part 3

母が好んだサンルーム。寝込むまでよく座っていた。

寝込んでからたった3ヶ月後の事でした。暑いとか寒

いとかという感覚や感情の表現も要求もなく静かに

じっと寝るだけでしたが食事は私の手から食べました。

絵を描くのも96歳までで最後の絵はいつもと違い

抽象画のようでしたが、それなりに続けさせようと

私は薦めましたがもう限界といいただベットに入る事

だけが最高に心地よいとその時間が多くなりました。

 その母がいつの間に運んだのかクロー

ゼットに古ぼけたいくつもの菓子箱が見つかり、

その中に90年前の尋常小学校の作文や自分の生き方

を象徴するような原稿や、戦死した父との戦地への

書簡や写真などがでてきました。

 (押入れから出てきた遺品の一部を展示)

これも逝った後に絵の展覧会の準備中に見つけま

した。生前に話もせず、所在も写真も知りません

でした。後日展覧会の折、それを見た毎日新聞の

記者がその中から「妻に宛て『暗号』電報」と

いう見出しで取り上げ、日本近現代史の研究者の

貴重な史料というコメントまでいただきました。

                 つづく