ネタバレにつきご注意下さい。

パイプオルガンの荘厳な調べが響き渡り、
スウィーニー・トッドの怨念を奏でるような旋律で幕が開ける。
ベンジャミン・バーカーの微笑みは家族と共に過去に置いたまま、
深い愛と哀しみがスウィーニー・トッドの胸の中で狂気となって荒れ狂う。
ミセス・ラベットのいじらしい恋心と、それをまるで聞いてないトッド。
ミセス・ラベットの夢見た将来に、心ここにあらずのトッド。
ミセス・ラベットのささやかな嘘に、怒りをたぎらせるトッド。
誰よりもそばにいるけれど、夢見る先が違っている二人。
不協和音の二重奏は切なさと可笑しさの二重螺旋構造だった。
道行く人にカミソリを突き付ける妄想シーンでは、
トッドの内側で激しく燃える青い怨念の炎が見えた。
トッドの目から、指先から、叫ぶ唇から迸る凄まじい狂気。
そしてそれすらも笑いに転じる演出の妙。
エロじじぃターピン判事の歪んだ愛の形。
アンソニーの歌う『Johanna』の甘く夢見るように美しいバラード。
トッドと同じく辛い人生を送った妻ルーシーの苦難。
ミセス・ラベットを慕う少年トビーの愛。
娘ジョアナはどことなくヴァネッサに似ている。
役人バムフォードのハマり過ぎのルックス。
ピレリだけが鮮やかな青い服を着ている謎(笑)
それにしても忘れ難いのは、
自らの手で絶命させてしまった妻を抱き上げるラストシーン。
息絶えて十字架から降ろされたキリストを抱く聖母マリア像ピエタと重なった。
血まみれのおどろおどろしい姿にもかかわらず、
宗教画のように静謐で驚くほど優美なラストだった。
怨念を込め復讐を遂げたカミソリが、スウィーニーに永遠の安らぎまでもたらした。
首から滴る血は溢れ出る哀しみのようだった。
また一方で、永遠に降り注ぐ愛のようでもあった。
狂気を伴う一途な愛の果てに、トッドは神々しく慈哀に満ちた屍となり、
流れ出る鮮血が全ての罪を浄化するようだった。
*************************************
とりあえずサラリと感想を綴ってみました。
全体を貫く愛ゆえの悲劇。
ハッピーエンドでは得られない極限の愛が感じられ、ラストシーンでは感極まりました。
ところで心配していた切り裂き場面ですが、
初の殺人、イタリア人ピレリをザックリやる時だけはさすがに手が目元へ行きましたが、
その後の歌いながらの殺戮シーンでは心配も杞憂に終わり…。
バートン監督の絵画的ゴシック・ホラー・ビューティに酔いしれ、
ジョニー・デップの鬼気迫る狂気と哀しみの歌声に心奪われ、
ミセス・ラベットの母性愛と女性像に魅せられ、
何度も鑑賞したいと強く感じた作品でした。
愛と憎しみ、喜びと悲しみ、希望と絶望、夢と狂気。
全てを混ぜ合わせ特異な光を放つ作品に昇華させる感性を天才と呼ぶのでしょうか。
ブラックホールのような吸引力に心地よく身を委ねる快感。
吸い込まれた先で見た血の滴りは、愛が流す涙でした。

パイプオルガンの荘厳な調べが響き渡り、
スウィーニー・トッドの怨念を奏でるような旋律で幕が開ける。
ベンジャミン・バーカーの微笑みは家族と共に過去に置いたまま、
深い愛と哀しみがスウィーニー・トッドの胸の中で狂気となって荒れ狂う。
ミセス・ラベットのいじらしい恋心と、それをまるで聞いてないトッド。
ミセス・ラベットの夢見た将来に、心ここにあらずのトッド。
ミセス・ラベットのささやかな嘘に、怒りをたぎらせるトッド。
誰よりもそばにいるけれど、夢見る先が違っている二人。
不協和音の二重奏は切なさと可笑しさの二重螺旋構造だった。
道行く人にカミソリを突き付ける妄想シーンでは、
トッドの内側で激しく燃える青い怨念の炎が見えた。
トッドの目から、指先から、叫ぶ唇から迸る凄まじい狂気。
そしてそれすらも笑いに転じる演出の妙。
エロじじぃターピン判事の歪んだ愛の形。
アンソニーの歌う『Johanna』の甘く夢見るように美しいバラード。
トッドと同じく辛い人生を送った妻ルーシーの苦難。
ミセス・ラベットを慕う少年トビーの愛。
娘ジョアナはどことなくヴァネッサに似ている。
役人バムフォードのハマり過ぎのルックス。
ピレリだけが鮮やかな青い服を着ている謎(笑)
それにしても忘れ難いのは、
自らの手で絶命させてしまった妻を抱き上げるラストシーン。
息絶えて十字架から降ろされたキリストを抱く聖母マリア像ピエタと重なった。
血まみれのおどろおどろしい姿にもかかわらず、
宗教画のように静謐で驚くほど優美なラストだった。
怨念を込め復讐を遂げたカミソリが、スウィーニーに永遠の安らぎまでもたらした。
首から滴る血は溢れ出る哀しみのようだった。
また一方で、永遠に降り注ぐ愛のようでもあった。
狂気を伴う一途な愛の果てに、トッドは神々しく慈哀に満ちた屍となり、
流れ出る鮮血が全ての罪を浄化するようだった。
*************************************
とりあえずサラリと感想を綴ってみました。
全体を貫く愛ゆえの悲劇。
ハッピーエンドでは得られない極限の愛が感じられ、ラストシーンでは感極まりました。
ところで心配していた切り裂き場面ですが、
初の殺人、イタリア人ピレリをザックリやる時だけはさすがに手が目元へ行きましたが、
その後の歌いながらの殺戮シーンでは心配も杞憂に終わり…。
バートン監督の絵画的ゴシック・ホラー・ビューティに酔いしれ、
ジョニー・デップの鬼気迫る狂気と哀しみの歌声に心奪われ、
ミセス・ラベットの母性愛と女性像に魅せられ、
何度も鑑賞したいと強く感じた作品でした。
愛と憎しみ、喜びと悲しみ、希望と絶望、夢と狂気。
全てを混ぜ合わせ特異な光を放つ作品に昇華させる感性を天才と呼ぶのでしょうか。
ブラックホールのような吸引力に心地よく身を委ねる快感。
吸い込まれた先で見た血の滴りは、愛が流す涙でした。
いつにも増して、素晴らしくゴシックなワードの数々....
私も予定通り21日に友人と観賞して参りました。
しかも、20:55~のレイトショーで
終わったのは....22:00
一日中パソコンを見つめ仕事をした後であり、更にコンタクトレンズ
その上、2時間のガン見
終了20分くらい前に、突然私の左目が悲鳴をあげました
>何度も鑑賞したいと強く感じた作品でした。
そうなんですよね。落着いてもう一度みたい!って強く思いました。
DVDなら、何度も観れるのに.....こりゃマズったかな?
というわけで、DVDが出るの....首をロ~ングにしてウェイトです!
私 結構落ち着いていたつもりなんですが、
上映前にどんな作品の予告やったか、全然!記憶にございません
冒頭のパイプオルガンの音。
サントラでもワ~って思っていましたけど、実際物凄い迫力でした。
妄想シーンではニヤけてしまいました。
ただ見終わって、胸にズシンとくるものがありました。
グロさに耐えられるか不安でしたが、平気でした。
血の色も生々しい色ではなかったし、剃刀の切味が素晴らしくよかった為もあるでしょう
当分パイは見たくないけど
個人的には「スリーピーホロウ」の方が、ゾ~っとしました。
とにかく皆さん歌上手ですね。
よほどのミュージカル嫌いでなければ、一人でも多くの人に見て欲しいです。
ティム 素晴らしい作品をありがとう。
ジョニー あなたの目は凄い。
そして血だら真っ赤になっても、あなたの美しさは隠せない
読みながら、映画のシーンが鮮やかに思い出され涙が出てきました。私はすっかりあの世界にはまり、初日と日曜の二連チャンで観ました。本当は毎日観たいけど平日は無理。でもReiさんのこのレビューを読めばいつでもトッド達に心の中で逢える、それくらいこのレビュー、好きです!
それにしてもジョニー、凄かったですね。怨念と情念と、ラストで見せる観念。。。(トッドの歌にならい韻をふんでみました)
あのラストシーンの表情とたたずまいが脳裏から消えません。狂気の中をさまよってさまよって、でもあの瞬間彼はベンジャミンに戻ったのではないでしょうか。
歌も素晴らしい!ジョニーの歌声は決してパバロッティーやドミンゴのように声量とテクニックを駆使したものではない、だけどもとってもソウルフルで心の中にストーンと入って来る。レノンやディラン、ミック・ジャガー、彼等の歌がそうであるように。
でもラベットとトッドの「昭和枯れすすき」も聞いてみたい(笑)
あぁ、長くなってスミマセン!
とにかく素敵なレビューに感激です。
ご訪問ありがとうございます。
ゴシックなワード…に見えたら良いのですが…(汗)
akijiさんも21日鑑賞でしたか?同じですね♪
私は23日にも無理矢理時間を作って観てしまいました。
>一日中パソコンを見つめ仕事をした後であり、更にコンタクトレンズ
うわ~!目には激務でしたね
左目、お大事にして下さいね。
>DVDが出るの....首をロ~ングにしてウェイトです!
ふふふ…ルー語ですね(笑)
ミーもDVDがカムしたらメニーメニーリプレイします!(自信のないルー語)
>上映前にどんな作品の予告やったか、全然!記憶にございません
ですよね~。気持はトッドに持って行かれますよね。
私は一日置いてまた観に行ったんです。
なので予告の『紀元前10000年』は面白そ~♪とか思いました(爆)
初鑑賞ではドキドキして観ていたので、
二度目はどんな些細なことも見逃さないようにじっくり観ました!
>サントラでもワ~って思っていましたけど、実際物凄い迫力でした。
圧巻ですよね、あの音。でもまだサントラ持ってません
ダークなシーンと妄想シーンのバランスが絶妙ですね。
私も「スリーピーホロウ」のいくつかのシーンの方が怖いかも
>そして血だら真っ赤になっても、あなたの美しさは隠せない
おっしゃる通りです。
ジョニーはいつも汚れるほど美しいですね
何か、美の基準を塗り替えてしまう凄味がありました。
ぽんぽこさんに褒められた…(嬉泣)ありがとうございます(土下座)
連チャンでしたか♪私は一日置いて2回(笑)
観れば観るほど心の深い部分に届く作品ですね。
本当はもっともっと語りたかったのですが、
言葉にすればするほど離れて行く、という感覚を初めて味わいました。(さんざん語ってますが・汗)
なので箇条書きのようになってしまったかもしれません。
>怨念と情念と、ラストで見せる観念
上手いっ!!言い得て妙、とはこのことですね!!
あのラストに続くシーンの素晴らしさは筆舌に尽くし難いものがあります。
おっしゃる通り、私もあそこでベンジャミンに戻ったのだと思いました。
>だけどもとってもソウルフルで心の中にストーンと入って来る。
上手いですねぇ…。ぽんぽこさんの言葉にうっとりします♪
まさに魂の歌唱ですね。
>でもラベットとトッドの「昭和枯れすすき」も聞いてみたい(笑)
ううっ…似合う!(爆)彼らは一瞬世間に勝ちましたが(笑)
沢山の有難いお言葉にこちらこそ感激です。ありがとうございましたm(__)m
初鑑賞は・・。とにかく必死、というか・・
めちゃくちゃ集中してたと思います。
サントラも、映画観るまでは聴くまいと我慢していた
ので、何もかも新鮮でした。
今日2回目を観て、1回目は私、結構ラベットに感情
移入していたんだな~と気付きました。今日は・・
物乞いの女の正体が分かっていたせいもあり、
ルーシー目線だったかな。ラベットがものすごく悪く
観えたもの
演技、大好きです。トッドとラベット、美しすぎますね。
最後のシーンも、おっしゃるとおり、血みどろなのに
みんな歌も演技も上手だし
しかし・・タービンに「pretty woman」なんて言われると、
ちょっとセクハラちっくに感じてしまうのは・・
ホントに、ダークだけれども哀しく切なく、
ティムの手腕と、出演者たちの素晴らしい演技に、
拍手を送りたい、素晴らしい作品でした!
ミュージカルかミュージカルじゃないかと言うことは、
あまり問題じゃないと思えるような、
ジョニーをはじめ、出演者みんなの歌声が、
自然に作品に溶け込んでいるように感じました。
この作品でジョニーに会うことができ、
この作品で、ジョニーが受賞したことを、
心から嬉しく思います。
哀しくて切なくて・・なぜこんなに不幸な運命を背負ってしまったのか(ToT)と、やり切れない気持ちになりました。
鑑賞以来、さまざまな映像や音楽が、頭の中をグルグル回って離れません。
余韻がいつまでも残る映画です。
私も、ピレリ殺害シーンだけは直視できませんでしたが、他は大丈夫でした!
スパっと切るシーンは、必死にジョニーの顔ばっかり見てましたから(笑)
ラストが一番血の量も多いはずなのに、目が離せなかった・・。
きっとそれは、一枚の絵画のようでもあったから。
美しすぎました。
いまになって、じわじわ感動がこみ上げてきます。
本当に素晴らしかったです☆
私もサントラ注文します!
3曲多い輸入盤や、国内版・・迷いました(>_<)
3曲の中に、ジョニーの歌声があるのか最も気なるところ(ーー゛)
Reiさんはどちらにされました?
続きです↓
3曲の中にジョニーの歌声があるのか、最も気になるところ(ーー゛)
Reiさんは、どっちにされました?