代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

海外で英雄と称えられる原発作業員たちの過酷な真実

2011年03月26日 | 震災関連
 本日夕方放送のTBSの「報道特集」の内容は秀逸であった。元福島県知事の佐藤栄佐久氏がインタビューに答え、今回の福島第一原発事故について「残念ながら人災だ」と言い切っていた。番組の中で佐藤前知事は、記者に向かって、福島原発で働く作業員たちからの内部告発文書を読み上げる。作業員は、佐藤前知事にあてた内部告発文書の中で、無理なスピードの定期検査の強要による「過労」を訴え「このままでは大きな事故につながる可能性」などを指摘していた。
 佐藤前知事は、「こと原発に関しては、県や地元住民の声は一切反映されない、独裁国家のような体制だった」と取材した記者に語ったという。
 
 2002年、「東電が原子炉の炉心隔壁のひびを隠している」という内部告発文書を、原子力安全・保安院が2年間ないがしろにしているという事実が発覚し、佐藤前知事は激怒。それ以後、現場作業員からの内部告発文書は佐藤知事に直接送られてくるようになったという。佐藤前知事は安全性のあまりにも問題の大きいプルサーマル計画などに断固として反対の姿勢を貫いた。しかし、佐藤前知事は国策捜査による「収賄事件」によって辞職に追い込まれてしまったのだ。
 
 海外では、自衛隊やレスキュー隊とともに、命をかけて福島第一原発で働く作業員たちを「英雄」として称賛する声が高い。海外メディアからは、なぜ日本はもっと現場の作業員たちに光を当て英雄たちに報いないのだという疑問の声が上がる。それもそのはず。東電は、下請け作業員たちの過酷な実態をひたすら隠したいのだろう。今までも使い捨てのコマのように見てきたのだし、今回もそうなのだろう。その「使い捨てのコマ」が英雄とされ、脚光など当たってしまったら、自社に都合の悪い情報が次々に明るみに出てしまうのが怖いのだろう。

 25日に作業員3人が被曝したが、いずれも東電社員ではない、下請け会社の作業員であった。当初、東電は、被爆の原因を、作業員が警報に気付かなかったという、まるで被曝は自己責任であるかのように会見していた。だったら警報装置を熟知した東電社員が自ら作業すべきであろう。しかし現場にいたのは下請け会社の社員ばかりであったのだ。よほど東電には、自ら責任を取ろうとしない無責任体質、責任転嫁体質が染み込んでいるのだ。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00195995.html
 
 しかも東電は当初、どこの下請け会社の社員なのか社名も公開しなかったという。よほど情報隠ぺい体質が染み込んでいるのだ。以下の記事。
 http://www.j-cast.com/tv/2011/03/25091275.html?p=2

 その後の報道では、放射線レベルの高い危険な水たまりの実態を把握していながら、下請け作業員に長靴もはかずに作業に当たらせていた東電側の責任が問われている。以下の産経新聞の記事はよい記事だ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110326/dst11032613140031-n1.htm 

 ぜひ海外メディアは、現場の英雄・作業員たちに注目したことを契機に、日本における親会社と下請・孫請のヒエラルキー構造、そして正社員と派遣社員の格差の壁の実態について切り込んだ取材し、それを世界に向けて伝えてほしい。探したらウォール・ストリートジャーナルが「フクシマ50」の英雄たちの真の実態として、要請されたら断れない高卒の下請け作業員の声などを報道していた。以下の記事参照。
http://jp.wsj.com/Japan/node_209339

 日本のマスコミにはなぜこのような報道ができないのだろう?

 今は放射能漏れがこれ以上広がらないよう、一刻も早く冷却作業を安定化させることが最優先だ。しかし事態が安定化したら、ぜひ英雄たちに真実を語ってもらい、東電の責任を白日の下に晒さねばならない。
 

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2 コメント

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Unknown (ななし)
2011-03-27 23:55:44
ウォールストリートジャーナルを始めアメリカのメディアが構造改革を後押しして非正規雇用を増やし奴隷化を進めアメリカの株主に利益誘導した事もお忘れなく。
コストカッター清水社長も今回の事故が無ければ彼ら市場原理主義の擁護者に称えられてたであろう事は言うまでも無い。
ななし様 (関)
2011-03-28 21:32:00
>アメリカのメディアが構造改革を後押しして非正規雇用を増やし奴隷化を進めアメリカの株主に利益誘導した事もお忘れなく。

 はい忘れてません(^^;)。

 しかし、こと今回の原発事故に関してはウォールストリートジャーナルはよい記事書いてますね。
 何と今日のウォールストリートジャーナルは「コミュニスト・パーティ」の「ヨシイヒデカツ」が今回のような事故を予見していた、と大きく報道しています。以下の記事。 http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703576204576226530875684182.html?mod=WSJAsia_hpp_LEFTTopStories
 ウォールストリートジャーナルで、「コミュニスト」が肯定的に報道されたことなど過去あったのでしょうか?
 
 日本でもネット界では、共産党の吉井英勝議員が「原発の電源が全て失われて冷やせなくなり炉心溶融にいたる可能性を国会で質問していた」という事実がずいぶんと話題になっています。
 しかし何故か日本のマスコミは全く取り上げてきませんでした。私の知る限り、この追及をした吉井議員にインタビューして記事を書いていたのは、東京新聞のみでした。
 本来であれば、吉井議員は今頃マスコミに引っ張りダコになっていてもおかしくないと思いますが、日本のマスコミはほぼ無視です。これがちゃんと報道されるだけで、統一地方選の行方にも影響を及ぼしそうなものです。

 何せ日本の原発事故が、ドイツの選挙に影響を与え、緑の党が大躍進だとか。バーデン・ビュルテンベルク州の州首相は史上初、緑の党から選出見込みだそうです。日本に緑の党はないけど、原発依存度の段階的縮小を掲げる政党といったら共産党と社民党ですから。

 個人レベルでは、自民党にも河野太郎議員とか原発抑制派の議員はいらっしゃいますが。
 

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