左上の写真は、今日で言うところの「トランシット」に相当する測量器具である。初めて見た時には、あまりの精巧さに、にわかに江戸時代の国産品とは思えなかった。江戸時代の末期には、すでに近代化の歩みが着実に始まっていたことがうかがわれる。
赤松小三郎が、これらの器具を使って、藩士たちに手ほどきをしていたのだろう。余談だが、老中を務めた藩主の松平忠固の四男の松平忠厚は、廃藩置県後にアメリカに渡り、アメリカにおいて新しい測量器具を発明してその名を全米に轟かせた。明治の初期から、測量学の世界の最先端で活躍した忠厚のような人物が出たのも、これらの測量器具を見ていると頷ける。 . . . 本文を読む
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