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読書:最後の将軍

2012年12月18日 | 読書:時代小説

司馬遼太郎、1997(新装版)。

大政奉還、無血開城を行ったとして知られる最後の征夷大将軍、一橋慶喜

鳥羽・伏見の戦いでは兵士を見捨てて逃走し、
その後も卑屈なほどの恭順を示し続けた「腰抜け」将軍としても描かれる。

将軍としての任期は一年と徳川歴代将軍のなかでもきわめて短く
生存中に将軍職を退いたのは彼以外には一人しかいない。
33歳の若さで歴史の表舞台から姿を消したが、
その後彼は写真や狩猟、油絵、詩吟など趣味に没頭した余生を送り、
77歳まで生存している。

この慶喜公を描いた作品を読もうと思ったきっかけは「竜馬がゆく」である。
自身が画策した大政奉還が成就したことを聞いた竜馬は、
感激のあまり畳を叩き、こう叫んだとされている。

大樹公(将軍)、今日の心中さこそと察し奉る。
よくも断じ給へるものかな、
よくも断じ給へるものかな。
予、誓ってこの公のために一命を捨てん。

慶喜公本人は一体どんな心境で、どんな状況で征夷大将軍となり
大政奉還に踏み切ったのか?
そしてその後、何故あのように兵士を見捨て、完全服従し、
まるで自分を葬り去ろうとするかのように隠遁したのか。

それを知りたいと思い、それを満足させてもらった一冊です。
鳥羽・伏見の戦いで将士を捨てた理由についても頷ける仮説の一つを示してくれます。

しかし、ひとの一生とは、生まれや環境、時勢によって決定づけられ
本人の才覚や願いなど、さほどそれを制御できるものではないのかも知れません。
余生、潤沢な隠居資金を用いて奔放に趣味に生きたのは、
彼なりの時勢、運命、あるいは長州や薩摩に対する抵抗だったのかも、とはうがちすぎですかね。

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