元インドネシア代表監督、スリランカ代表監督(野中寿人- 66番の部屋)

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早実 王貞治投手と日大三高

2011年10月17日 13時09分40秒 | 日大三高校野球部 小球史

   早実 王貞治投手

昭和30年の夏
和智郷司先輩、並木輝男先輩(元阪神タイガース)の
両左腕で継投を施す日大三高は東京都大会の準決勝で宿敵早実と激突したのだった

この時代の早実には
和田(元早実監督)さん、徳武さん、醍醐さんなどの有名選手が揃っており優勝候補筆頭に挙げられていた
また、早実としては昭和28年のセンバツ、昭和29年のセンバツ、昭和29年の夏とこの2年間で実に3回もの甲子園
出場を果たしていたのであった

そして、昭和30年8月1日、東京都大会準決勝・・・
中盤に4点を奪われた日大三高は、7回の裏に3点をあげて「4-3」とくらいつく
そして迎えた9回裏の最後の攻撃、ショート名手、和田さんの落球を誘うショート後方へのフライ安打と送りバント
そしてレフト前ヒットで同点に追いついたのだった

ここから一世一代のプレーが出たのだ・・・
場面は2死ランナー1,3塁、2ストライクを取られ、誰もが延長戦へ投入か?と思ったその時
1塁ランナーがスルスルっと飛び出して行く

ピッチャーが1塁へ送球、ランナーは2塁ベースへ向って猛然と走る
カバーに入ったショートへボールが投げられた瞬間にサードランナーがホームへ突入
・・・猛然のヘッドスライディングを決めたのだった

“ディレートスティール”で「5-4」の劇的な逆転サヨナラ勝ちを決めたのである


昭和30年夏、東京都大会を制し甲子園に出場。準決勝で早実に大逆転を演じた強者たち

決勝でも日大二高を破って4回目の甲子園に出場
神戸商を1-0、桐生を10-4と破ったが、坂出に1-10で敗戦

しかし「巧みな奇襲作戦を得意とする緻密なチーム」と高い評価を受けた


昭和30年 夏の甲子園

そして
この同年秋の東京都秋季大会でも1回戦で早実を「6-0」と破り
続く翌31年の春のセンバツにも並木輝男先輩(元阪神タイガース)を中心に出場、準々決勝まで進んだ


昭和31年 春のセンバツ

ところが・・・
昭和31年のセンバツ後の東京春季大会での決勝で
昨年から勝ち越している宿敵早実とまたしても激突を迎えたのだが

この試合
早実に入学して間もない1年生投手が先発をしたのだった

この1年生投手こそ
“世界に名をとどろかすスーパースターとなる”王貞治選手だったのです


日大三高は、早実の1先生、王貞治投手に敗れるのだった

王貞治選手談(早実OB・福岡ダイエーホークス前監督・現会長)

「昭和31年5月、東京都の春季大会
東大の野球グランドで日大三高と早実が決勝戦を戦った
そんな大事な試合の投手を入部して間もない私が命じられた
下町育ちで中華そば屋の息子として育ったこわいもの知らずの少年は
投げさせてもらえることが嬉しくて無我夢中で投げた
捕手の醍醐さんのサインどおりミットめがけて力いっぱい投げ込んだ
火事場の馬鹿力ではないが、無欲の投球で、あれよあれよという間に試合は進み
結果的には「4-0」という一方的な試合になってしまった
卒業後、阪神タイガースに入団された並木さんをはじめ、日大三高の選手達は
一年生なんかに負けられるものかと思っていたことでしょう
それが回を追うごとに点が取れず、だんだんと煮詰まりにとなったのではないでしょうか
この時のピッチングが、その後の私の野球人生を大きく変えたといえるでしょう

その年の夏の大会では、準決勝で日大三高は成蹊高校と、我が早実は明治高校と対戦しましたが
当然、決勝戦は日大三高と戦うことと思っていたのですが大番狂わせで日大三高は敗れてしまいました
試合中、ベンチにかえって来ては酸素吸入をしていた並木さんの姿を今でもはっきり覚えています
名門で伝統のある日大三高との戦いは今でもとてもよい思い出となっています 
何時の日か早実と日大三高が甲子園出場権をかけて神宮球場で決勝戦を戦うことを期待しています
永遠のライバル・・・日大三高かんばれ!」
ー日本大学第三高等学校野球倶楽部七十年史よりー

※早実は王貞治選手の活躍で
4季連続の甲子園出場を果たし王貞治選手高校2年のセンバツでは全国制覇を達成している

戦前より早実と日大三高は共に伝統を誇る名門・古豪としてお互いに切磋琢磨してきたのです
近年では、東京(西東京、東東京)を代表する強豪高も多くなり、全国にその強さを知らしめています
高校野球の発展と向上にとって非常に喜ばしいことです

しかし日大三高OBだから言うのではなく東京の高校野球の歴史を見ても
やはり東京での名門・古豪と呼ばれるのは「早実」と「日大三高」であると言えるのではないでしょうか・・・


2世紀に渡り西東京都大会決勝で激突する「早実」と「日大三高」

近年では2006年の夏の西東京都大会決勝戦で激突!
延長11回の末、斉藤祐樹投手を擁する早実が優勝。その後の甲子園で全国制覇を成し遂げている


また、2011年の夏も同様に、西東京都大会決勝戦で激突!
「2-1」で日大三高が2006年の屈辱を果たし甲子園へ出場。そして甲子園で全国制覇を達成している


王貞治福岡ダイエーホークス会長のお言葉が印象的です

・・・永遠のライバル 早実がんばれ!


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