弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標】商標いじめ…?

2017年03月14日 09時28分38秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
薄ぐもりの札幌です。

昨日から出張中。色々と前に進めていかなければいけない話があります。
でもデスクワークも…というわけですでに“1ラウンド”終了。

さてさて、今日はこんな記事から。

(WWD JAPANより引用)
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フォーエバー21がアディダスを反訴 「行き過ぎた訴訟」に反発

商標の3本線を侵害されたとして、アディダス(ADIDAS)がフォーエバー21
(Forever21。以下、F21)を提訴していた件について、
今度はF21がアディダスの行動は度を超えているとして反訴した。

アディダスはこれまで、同社が商標登録している3本線のストライプについて、
マーク・ジェイコブスやテスラなど様々な企業相手に訴訟を起こしてきた。
F21に対しても、2015年に同社の商標登録を侵害したとして訴えていた。
F21がカリフォルニアに地裁に提出した訴状によると、F21はアディダスから何度も、
直近では先月にもストライプを用いたデザインを中止するよう求める手紙を受け取っている
として、 “商標いじめ”だと主張している。F21は「アディダス側は、あらゆる色、幅、
本数のストライプを用いたデザインに対して訴えを起こしている」と主張。
さらに、「いかなる形でもアディダスの商標権を侵害していないし、
アディダスとの取り決めにも違反していない」と続ける。

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(引用終わり)

確かに、「アディダス 商標 訴訟」で検索すると、まー出るわ出るわ。。
一般の検索サイト(Yahoo!)でも295,000件、
商標審決データベースで審判の請求人になっている事件(不服審判を除く)で11件。

アディダスといえば「3本線」、というイメージがあるけれど、
「4本線」についても味方によっては、間に挟まれた空間部分が「3本線」に見えることもあるから
混同のおそれあり、とされた事案もあるのは有名な話
(侵害事件ではなく無効審判の審決取消だが:H23(行ケ)10326)。

上記で引用した事案において、「ストライプを用いたデザイン」が何本線なのかは定かではないけれど、
ストライプそのものが特定の出所を想起させるわけではないと思う。
その意味でF21の主張に一定の合理性があると思う。

一方権利者側からすれば、権利を保有しているだけでは模倣(適法/違法のラインを超えているかは別として)
を排除することはできないから、ビーンボール気味でもガンガン主張することで
ブランド保護をしている、ということなのだろうなぁ。
疑わしい事案に対してはハードに接する、というスタンスを前面に押し出すことで
事実上牽制している面もある。

訴訟にはコストがかかるから、まあなかなかF21のような対応を取ることができる企業は
少ないと思う。
訴訟の自由があるとしても、節度もあるよなぁ、ってのは日本人的発想なのかな?


上記の事例に限らず、お客様から相談を受けるとき、
法規範に照らして、とか、審査基準上は、とか、判例では、とか
色々拠り所を探したうえでアドバイスはするのだけれど、
相手方の属性、とか、お客様の意思決定プロセス、とかも
結構考慮すべきことだったりする。
“こうあるべきだ”という「べき論」や“こう考えるのが筋だ”という「筋論」だけを
押し付けても解決しない。というか、こじれることすらある。

本件も、それぞれの立場の違いから生じている「筋論」の衝突だな、と思う。

…ストライプなだけに(ボソッ)







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