弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事】「独占」に対する感情

2018年03月26日 07時51分10秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
少し冷えた空気が「気持ちいい」と感じるくらいに春がすぐそこに来ていることを感じる、
今朝の湘南地方です。

さて、
ここのところ“一般の方”が関心を持つ知財関連ニュースがちょこちょこと。

「そだねー」の商標登録出願の件もそうだし、
音楽教室に対するJASRACの権利行使の件もそう。
「漫画村」の話もそうですね。

直近では著作権侵害事件の判決に関するこんな記事が。

(ニコニコニュースより引用)
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JASRAC、全国初無許諾BGM裁判で勝訴 ネット民は反発

店舗で流すBGMの著作権をめぐってJASRACが札幌市内の理容店経営者に損害賠償などを求めた裁判で札幌地裁は3月19日、経営者に対して3万1000円あまりの支払いを命じる判決を言い渡した。

被告の経営者は、2014年から3年間ほど、携帯音楽プレイヤーに保存していたジャズの楽曲などを理容店のBGMとして流していたという。これに対しJASRACは、JASRACが管理している楽曲の使用禁止と著作権侵害によって生じた損害賠償を求めて提訴。経営者は著作権が切れている楽曲を流していたと主張していたが、札幌地裁はJASRACが管理する楽曲であったことを認め、経営者に3万1000円あまりを支払うよう命じた。

(以下略)
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(引用終わり)

知財を生業にしている人間の目線からすると、
「なぜこれが話題になるのかがわからない」
というのが正直な気持ち。

経緯を正確にトレースしているわけではないけれど、当然ながらいきなり提訴に至ったわけではなく、
事前に通知・警告があり、やり取りをする機会もあり、それでも折り合えないから訴訟に至ったわけで。
そうなると現状の規定に沿って扱われ、上記結論に至るわけです。

著作権等管理事業者として、利用料を適切に著作権者に配分しているのかとか、一般に見えにくいところに対する不満があるのは理解できるけれども、
仮に管理事業者にその点の問題があるとしても、許諾を得ないで勝手に使用できるわけがない。
それとこれとは別問題。

音楽教室の件は、さすがに「演奏」の定義の中にスタジオでの練習を入れ込む解釈は無理があると思うけど、
一応制度上の線引きとして「こういう音楽の使い方は勝手にやっちゃだめで、ちゃんと対価を払いなさい」と決まっているものに対して、感情論だけでブーイングするのは思慮ある行動とは言えないように思われる。
前にも書いたけど、「創作をする人」と「その創作物を楽しむ人」がいて、その両者にとってのバランス(保護と利用のバランス)を取らなければ、
それこそ“音楽がなくなる”。

「漫画村」の件はそれが更に症状悪化しているものと理解している。

「そだねー」の商標登録出願に対する世間の反応もそうだけど、
もしかして『独占』という概念そのものに対して、世の人は嫌悪感を持っているのかな?
使えないと不便だとか、ケチくさいとか、横暴だとか…?

いや、例えばこれが、創作者に対するリスペクトがもっと根付いている文化で、
法的に「独占」を枠組みとして仕込まなくても上手く回っていく社会なら、知財法の仕組みなんて要らないのかもしれない。
「そだねー」の件についても、前提知識がないままで感情に任せたコメントが少なからず見受けられるし。
…そもそも、LS北見に特有の言葉でもなく、敢えて言えば一部マスコミが火付けしたバズワードでしかないと思うが。


世論とか一般的な感覚というものを無視して規範が成立するわけにはいかないし、
企業とて一市民であるという考え方からは、やっぱり評判とか風評とかを少しは考えなければいけないわけだけれど、
ネット界隈で挙がるノイジーマイノリティの声を一部マスコミが拡声器と化して「世論」もどきを形成している状況、というのは

気持ち悪いな~

と思うのだ。



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