弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事コメント(特許)】秘密特許

2020年08月13日 08時53分45秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日も熱中症注意報。NHKの天気予報の熱中症予報の絵(=「熱中症ぼうや」だそうです)が本当に暑そうで見ていてイヤになります。
(→NHKの熱中症特設サイトで見ることができます)

さて、(久々知財ネタだな)
今日はこんな記事

(テレ朝newsより引用)
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「秘密特許」導入に法改正へ 中国への対応が念頭に

政府は安全保障上重要な先端技術情報について、海外への流出を防ぐため「秘密特許」と呼ばれる制度の導入に向けて法律を改正する検討に入りました。
(以下略)
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(引用終わり)

記事では上記に続いて
「日本では出願後、すべての内容が公開されていて」とある。
まあテレビニュースの文字起こしだろうし、限られた時間内で全ての情報を正確に伝えることには無理があるからこういう表現になっているのだろうけど、
ちょっと誤解を生じかねない。

現行の特許法には「出願公開制度」がある。
これは、特許庁に係属しているすべての出願は、出願から1年6月を経過した時に、特許庁長官により公開される制度のこと。

上記記事を正しく理解するためのポイントとして、以下の4つが挙げられる。
(ポイント①) この出願公開制度は、基本的に世界中のほとんどの国が採用している。日本だけが特別な制度では、決してない
      そもそも出願内容がまったく公開されなければ、特許制度は産業振興に資さない制度になってしまう。
(ポイント②) 「すべての」出願が公開される、とあるが、例外がある。
 俗に「日米技術協定」と呼ばれる条約があり、これに基づく出願については、方式審査の後手続が凍結され、アメリカから「秘密保持が終了したことの通知」を受けた後に手続が再開される。。。まあこれはつまり、アメリカでの出願に対応する日本出願について適用される。
 (…と言い切っているけれども、当然ながらこんな案件扱ったことないので実際どう処理されるのかはわからない)。
(ポイント③) 公開されるのは「特許庁に係属している」出願。なので、1年6月以内に拒絶確定したり取り下げた出願は公開されない。
      ※実際、出願と同時に審査請求+早期審査で審査を促進させて、公開される前に白黒つける、という手法も用いられる。
(ポイント④) 上記③と絡んで。1年6月以内に特許になった案件は、(「公開特許公報」をすっ飛ばして)「特許公報」が発行されることになる。

「現行の」と書いたように、日本の特許法でも戦前は秘密特許制度があった。
また秘密特許導入の議論は今に始まった話ではなく、数年来浮かんでは消えている話。

どこまでを対象とするのか?
軍事転用できる技術と一口に言っても範囲は広いわけで。PS4とかドローンに関連する技術も何なら使い方で軍事利用できちゃうわけだし。
秘密特許にすることに対する補償の算定(例えて言うなら国有地として土地収用するのに似ているわけで)も問題となりそう。


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