弁理士『三色眼鏡』の 業務日誌     ~大海原編~

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【意匠(デザイン)】「「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書」を読む②

2018年05月29日 08時22分10秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
梅雨が近付いていることを感じさせる、やや湿り気の多い空気がまとわりつく
今朝の湘南地方です。

さて、掲題の件=昨日の続き。
今日は別紙=「産業競争力の強化に資する今後の意匠制度の在り方」について。

これまでの枠組みからは一線を画した問題提起がされている。
例えば、

2-1.保護対象について
 2-1-1. 画像デザインの保護
 2-1-2. 空間デザインの保護

2-2-1. 一貫したコンセプトに基づく製品群のデザイン保護


→この辺りは、まあ首肯できる。
 保護対象はもっとフレキシブルであって良いと思う。
 それこそ「プロダクトデザイン」しか保護対象でないというのは、デザインを産業競争力向上に活かすためには不十分。

「2-2-1.」は運用が難しそうだけど。こうなると関連意匠というよりは特許の分割出願のイメージに近い。
制度は、制度設計した側の思惑を超えて“活用”される可能性があることは考慮に入れるべきだ。

2-2-2. 意匠権の存続期間
2-3. 意匠権を取得するための手続要件の簡素化


→この辺りは、一弁理士としては一部疑問。
 我が国の保護期間は現時点で世界的にも最長レベル(=登録から20年)。

 「意匠に係る物品」の記載要件緩和は、基本的に賛成。
 権利範囲が著しく広くなってしまう可能性があるけれど、といっても現状の枠組みは厳しすぎる。
 記載要件の緩和と類似物品の射程距離の調整を同時に行う必要はありそう。

 図面の記載要件は、まあ緩くなってくれた方が助かるけど…
 このあたりも「物品の形態保護」という現状の制度枠組みに照らしたら
 形態を一義的に把握できなければ権利の外縁が不明瞭になるというデメリットもあり。

あと、報告書全体を通じて感じるのが、
“保護の強化”=権利範囲を広げる方向のように受け止められるけど、
第三者側の選択の自由を不当に狭めてしまう側面もある。
ベンチマーカーも多数いる今の産業界でこの報告書の方向性で貫徹しちゃうと、却って競争力はシュリンクしちゃうんじゃないかなぁ。
ベクトルの提示としては首肯できるところもあるけど、何事もバランスは大事かな、と。
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