弁理士『三色眼鏡』の 業務日誌     ~大海原編~

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【不正競争】シンプルな棚 (H28(ワ)25472)

2017年09月20日 08時48分11秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
ネタでもなんでもなく絶不調継続中ですが(笑)
そんなこといってもやるこたやんなきゃなんないので半ばやけっぱちで頑張ります。
外に出なくてよいように晩御飯まで買い込み済み。
ホントはホテルに籠って寝っ転がりながらやりたい感じ。
…いや、寝っ転がったら落ちるな、確実に。

筋肉脳的な発言で気恥ずかしいのですが、あとは気合じゃないかな、と思います。


さてさて、ちょっと前に出た不正競争2条1項1号に関する判決。
「シンプルスチール棚」とでも表現すればよいでしょうか。
原告である無印良品の主張が認められ、カインズに対する差止請求が認容されました。

原告側の商品に関しては、例えばこちらのサイトに情報があります。

さて、裁判所の具体的な判断は以下の通り(※読みやすくするために一部加除修正をしています)。

原告商品形態について:

原告商品は,組立て式の棚として,
・側面の帆立(原告商品形態①)
・棚板の配置(原告商品形態③)
・背側のクロスバー(原告商品形態④)が特定の形態を有するほか
・帆立の支柱が直径の細い棒材を2本束ねたものであるという特徴的な形態(原告商品形態②)を有し,
・また直径の細い棒材からなる帆立の横桟及びクロスバー(原告商品形態⑤)も特定の形態を有するもので,
・それらを全て組合せ,かつ,全体として,上記の要素のみから構成される骨組み様の外観を有するもの(原告商品形態⑥)である。

原告商品形態が他の同種商品と識別し得る顕著な特徴を有するか否か について:

原告商品及び同種の棚の構成要素として,帆立,棚板,クロスバー,支柱等があるところ,
これらの要素について,それぞれ複数の構成があり得,それらの組合せも様々なものがある。

上記要素以外にどのような要素を付加するかについても選択の余地がある。

原告商品は,原告商品と同種の棚を構成する各要素について,
上記のとおりそれぞれ内容が特定された形態(原告商品形態①~⑤)が組み合わされ,
かつ,これに付加する要素がない(原告商品形態⑥)ものであるから,
原告商品形態は多くの選択肢から選択された形態である。

そして,原告商品形態を有する原告商品は,帆立の支柱が直径の細い棒材を2本束ねたという特徴的な形態に加え
クロスバーも特定の形態を有し,細い棒材を構成要素に用いる一方で棚板を平滑なものとし,
他の要素を排したことにより骨組み様の外観を有する。

原告商品は,このような形態であることにより特にシンプルですっきりしたという印象を与える外観を有するとの特徴を有するもので,
全体的なまとまり感があると評されることもあったものであり,原告商品全体として,原告商品形態を有することによって需要者に強い印象を与えるものといえる。

原告商品形態①~⑥の各個別形態はそれぞれありふれた形態であり,原告商品が他の同種の商品と識別し得る特徴を有しない、との被告主張について:

原告商品形態が他の同種の商品と識別し得る特徴を有するといえるか否かを検討する際は,原告商品形態①~⑥のうちの個別の各形態がありふれている形態であるか否かではなく,
原告商品形態①~⑥の形態を組み合わせた原告商品形態がありふれた形態であるかを検討すべきである。
したがって,原告商品形態①~⑥のうちの各個別の形態にありふれたものがあることを理由として原告商品形態が商品等表示とならなくなるものではない。


[所感]
物品の形状そのものを商品等表示として保護することに対しては、他の法制(例えば意匠法、不正競争防止法2条1項3号、立体商標制度)とのバランスも考慮されるべきもの、
と認識している。6点挙げた商品形態(といってもそのうちのひとつは“それ以外を組み合わせていないもの”という、一の特徴といって良いのかどうか疑問なもの)を
全て備えているものの要保護性はそこまで評価して良いものか?
判決でも、原告商品形態②、③、⑤を備えている商品は遥か昔(平成元年ころ)から販売されていた事実を認めている。
6点の商品形態はデザイン全体に対して同じ重みを有しているものではなく、特に原告商品形態②(=支柱が2本の細い棒材からなる点)が、いずれも“薄い”特徴点の中でも
比較的特徴的なものとして需要者には受け止められる可能性があり、デザインの特異点としても評価できるものではないかと思う。
にもかかわらず、上記結論に至ることには疑問。
「どのような要素を付加するかにも選択の余地がある」といったって、“所定の強度を有するシンプルな棚”にしようと思ったら、行き着くところは限られると思われる。

これが、意匠登録との関係における対比であればまだ納得できるところもあるが(創作性を認められたうえでの有限期間の独占排他権付与なので)、
特段設権行為を行うでもなく、永年販売していたという点で保護されるとすれば、
後発者の自由は過度に制約され、より安価な同種製品が世に出ることで需要者が享受できるはずだった利得、便益は阻害されやしないか?
(完全に裏が取れている情報ではないが、上記リンクを張ったサイトに掲載されている価格をみても、タイプこそ違え倍半以上の価格差がある。)

個々の商品形態がありふれていても、その組み合わせはありふれている「とは限らない」。
「とは限らない」点には同意なのだが、本件は、“売れてるから真似しちゃダメ”という風に言っているようにしか受け取れないんだよなぁ。
控訴したか否かは現状情報を入手していないが、今後の動きは注目したい案件の一つ。



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