弁理士『三色眼鏡』の 業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事コメント】本家・元祖の価値を守るもの

2018年06月08日 08時21分33秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
梅雨入りしてから今日もお天気(笑)な、今朝の湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(デイリー新潮より引用)
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カレーの自由軒、家系ラーメンで湧き起こる「本家」「元祖」大論争


家系「工場スープ」の闇

続いては、林立する「家系ラーメン」である。
横浜の「吉村家」を元祖とするラーメン界の巨大ジャンルで、特徴は豚骨醤油スープに極太麺、そして具はチャーシュー・ほうれん草・海苔。吉村家及びその分派で修業をした者が独立し、その味を受け継ぎながら独自の味を作っていく。
しかし、最近は「チェーンの家系」、すなわち亜流、傍流、勝手流が跋扈し、本流を駆逐する勢いである。
感覚的には5年前と比べ、2倍に増えたといっても過言ではなかろう。それはあたかも、湖沼に放たれた外来種が生態系を破壊してゆくさまに似ている。
さる「家系本流」で修業し、独立したある店主は、

「もともと家系では、半径2キロ内に店舗があるのなら、その範囲には作らないという暗黙のルールがありました。『2キロ』というのは、弟子同士が喧嘩しても意味ないでしょという考えが基になっています。それに、(元祖である)吉村家のオヤジは“広がればいいじゃん”って思っていたから、『家系』という商標を登録しなかった。だからチェーンも家系を名乗ることができる

とし、要諦である麺とスープにも言及する。

「家系ラーメンを名乗るのなら、ウチが大事にしている酒井製麺を使うのが前提でしょう。それがないのに家系とはよく言えたものです。以前、ウチのポストに某・家系チェーンのチラシが12枚も入っていたんですよ。その店にチラシを返しに行くと同時に、“工場スープのくせに、職人なめんなよ!”とも言っておきました。ああいった『工場スープ』の店で働いている人は独立できないですよね。工場がトラブったら何も作れない。実力はつかないけど、その反面、デカい声をあげて“いらっしゃいませぇ!”と絶叫するスタイルの接客に力入れたりしています」

…(以下略)

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(引用終わり)

出だしがちょっと言論機関として“なんだかなぁ”とおもったので引用してないです。

赤文字の箇所。
漢気は良いのだけれど、手続きは手続きでしておけばよかったのに、と。

つまり、「登録はしておく。のれん分けしたところからはライセンス料は取らない。のれん分け以外のところでも趣旨に合う(品質を満たす)ものならライセンスする。」
のように、「家系」を名乗るための品質基準管理をした上でコントロールする立場に立っていれば、
“工場スープのくせに、職人なめんなよ!”と罵るほどの憤りを感じずに済んだかもしれません。

正直この歳になるとなかなか家系のお店に入るのに二の足を踏みます。
脂肪分が多めなのもそうですが、上にも書いている接客スタイル。これも家系のアイデンティティですよね。

ちなみに「家系」の文字を含む登録商標を検索すると、複数の権利主体が入り混じって10件程度の「家系」ないし「横浜家系ラーメン」が併存登録されています。
ちょろりちょろりと内容見てみると、はじめのうちは「横浜家系ラーメン」の表示がカブっているものについては拒絶理由通知を出しているのですが、
最近のものはもう出していません。
吉村家のオヤジさんが望んだかたちかは定かでないですが、一般名称ないし品質表示として広がってしまったようです。

マークやネーミングは、ルールを決めないでフリーハンドな状態に置くと、「本家」や「元祖」の意図とは無関係に拡散、希釈化、汚染されてしまいます。
商品やサービスが広く知れ渡ることと、それが品質を維持しつつ特定の名称で認識されることとは、一致しない、
というか、ちゃんとやることをやっておかないと玉石混交の「石」多めになってしまいます。

良いものを作っているんだから、良いものとしてお客様のところに届く仕組みづくりは、作り手側の責任でもあります。
我々も、そのお手伝いをすべく
「そんなしゃらくせえ、ケチくせえこといってんじゃねーよ」と言われながらも
価値の守り手としてお客様に接していくことが大事なのだ、と思います。


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