弁理士『三色眼鏡』の 業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(特許)】オプジーボ特許料問題

2019年04月19日 08時35分16秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
お天気は良いんですけどね…なんだか昨日あたりから体調が「今二つ」くらいな感じですわ。
ちょっと風邪気味…?身体がずしりと重たいです。


さてさて、気を取り直して。
今日はこんな記事。良くまとまってる


(CLOUDSIGNより引用)
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オプジーボ特許料問題 交渉戦術の選択に残る2つの疑問

締結済みのライセンス契約の料率が不当だとして、製薬会社との交渉経緯を社会に公表した京都大学の本庶特別教授。報じられる紛争の経緯をおさらいしつつ、一般的なライセンスフィーの合意形成プロセスに照らして浮かんだ疑問を整理してみました。

がん治療薬の発明でノーベル賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授と小野薬品工業との間で、ライセンスフィーの妥当性についての紛争が発生 しています。

別の報道では、2014年(平成26年)9月の販売開始から昨年12月までの4年で約2890億円、2024年には世界市場での年間売上が100億ドル(10兆円)に上るという推計もあるオプジーボ。
発明者である本庶さんは、裁判は望まないとしながらも、2890分の26、つまり1%未満に契約上設定された特許ライセンスフィーの見直しを求め、社会に対し訴えるという手段に出ました。
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(引用終わり)

末期がんに効果があるという「オプジーボ」。
この記事の冒頭に記載されている「目次」が、本事案のポイントを素人にも判りやすく整理してあって良い。

(引用)
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目次
• 契約締結済みの特許料についての紛争
• 特許のライセンスフィーはどのように定められるのか
• ライセンスフィーには「相場」がある
• 教授側の戦術選択に残る2つの疑問
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(引用終わり)

ライセンスフィーの相場、実務上も良く訊かれることではあるのですが、
両当事者の関係性や技術分野によっても変わってくるもの。ということが世の中に知られると良いな。

論点として、記事では以下を指摘している。
1)契約で合意した「将来のライセンス料」について、後から異議を唱える根拠として「相場との乖離」を主張できるのか?
 -この点は、本庶さんも“承知の上”で世間に信を問うことが狙いなんだろうなぁ、と。
  構図的には“契約実務を熟知した大企業 対 契約リテラシーが高いとは言えない一研究者”の間で締結された「理不尽」な契約条件、という印象を持つ人もいるかもしれない。
  でも、大学の存在を無視してはいけない。

2)契約当時、大学の知財部門のサポートが適切に受けられていたのか
 -通常、大学知財については産学連携本部やらTLOやらが窓口となって仲介役を果たす。
  当然契約内容に関しても、大学のチェックが入る。
  その意味で、上述した「1)」のような構図には通常は陥らない。

3)実施料率(ライセンスフィー)を開示することに守秘義務上の問題はないのか
 -当事者同士しか知りようはないのだけど、通常は契約内容について守秘義務条項が設けられており、
  このようなかたちで開示することは許容されない。
  それにも関わらず、本事案で本庶さんはライセンスフィーを明確に開示している。
  確かに“世間に信を問う”のならばこの事実に触れないわけにはいかないのだけど…。


総じて、
「すべて計算ずく」で契約の不当性を主張するために一連の行動をとっているのか、
それとも義憤に駆られて=計算なしにぶちまけているのか。

一方で、「2)」に点に関して
別の記事では開発当時の大学側の知財専門人材が不足していたとの指摘もある(共同出願人が京大ではなく本庶さん本人というのもそのため)。
その意味ではちょっと不幸なケースなのかな。
契約にあたって説明は受けているだろうしね。

ライセンスフィーについても、
・現実の支払い=1%以下
・発明協会「実施料率」における当該分野の“相場”=3~5%
・本庶さん代理人の主張=「用途特許ならば5~10%が常識的なレベル」
・大手製薬の知財担当=「ごく初期の特許の料率が1ケタになることは珍しくない」
→まあ立場が違えばバラバラなわけで。だから契約で前もって定めているわけで。

単なる銭ゲバでは無いとは思われるこの事案(本庶さんは対価の一部を若手研究所を支援する基金に投じる予定とのこと)。
とはいえ、企業サイドからすればコストを予見するために契約で定めているわけで。
製薬会社側にとって、発明者側の主張の「発露」が改めて取り上げるべき筋のものなのか、というところかな。
裁判所での争いになったら勝ち目はなさそうだし。
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