弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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守備範囲

2007年10月28日 02時08分15秒 | 実務関係(商・不)
商標調査のご依頼を頂くことがかなりの頻度である。
幸いにして懸念なしの結論である場合もあれば、先行類似ありの場合もあり、そもそも顕著性に難ありの場合もあり、さまざまである。

ネーミング案を複数用意していらっしゃる場合もあれば、事実上気持ちの上ではその名前で行くことが決まっていて、一応確認のために商標調査を依頼される場合もある。

ところで、すでに“一本化”されているネーミング案が、調査の結果、使用・権利化困難であることが判明した場合、それをどういうスタンスで報告するかは、実はかなり悩む。

一つの立場としては、純粋に権利取得の手続代理という立場である。この場合、手続上権利取得は困難、使用も危険、という結果のみを伝えれば役割は果たしたといえる。
いま一つの立場としては、最終的にクライアントがご商売をできる状態までの筋道をつけるところまでを守備範囲として行うという立場である。この場合、採択可能な代替案について提案を行っていくことが必須である。

顧客視点のソリューション、という意味では明確に後者が優れている。

しかし、そのネーミング案に集約されるまでの過程にコミットしていないにもかかわらず、知りえた一部の案のみに基づいて提案を行うことは、顧客のその商品に対する思いを本当には把握しないままの中途半端な提案になってしまうリスクもある。仮に代替案提案を行うのであれば、むしろネーミング検討当初から意思決定過程に参加しておくべきだし、その過程に参加できていない立場に甘んじている事務所であればそれより上流には口出しすることは慎むべき、という考え方もある。

もっとも、提案するにあたってはその代替案の登録可能性を担保しなければならず(代替案だけ提示して、その調査費用は別途という商売はたぶん成り立たないと思う)、そこまでのリスクテイクは逆に現況では困難という問題もある。

結局、ネーミングの初期段階から“一枚噛む”ような、クライアントとより近い立場で仕事をしていくことができれば、よりクライアントには喜ばれ、仕事もスムーズに流れていく、という良い結果が生まれるのだろうと思う。

そんな思いもあって、近頃頻繁にネーミングに関する文献を読み漁っている。講座も聞きにいってみようと思っている。

あとは、趣味(?)と実益を兼ねて、ネーミングの公募なんかに積極的に応募してみるか、と思っている。
コメント
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