ゆうわファミリーカウンセリング新潟/東川 臨床心理士・赤坂正人 新潟市西区     

こころの心理相談で臨床心理士による公園カウンセリング、訪問カウンセリング、面会交流の相談・援助などを行なっています

宮下奈都『羊と鋼の森』(2018、文春文庫)を読んで-調律師の青年のこころと魂の成長を描く(再録)

2018年04月29日 | 小説を読む
 宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(2018、文春文庫)を読みました。
 2016年の本屋大賞受賞作で、読むのを楽しみにしていましたが、ようやく文庫本で出ましたので、さっそく読みました。
 期待にたがわず、とてもいい小説です。
 17歳の秋、たまたますばらしい調律師と出会い、その感動のあまり、自分もそんな存在になりたいと調律師になった青年のこころと魂の成長をていねいに描いた小説です。
 あこがれの調律師だけでなく、職場の先輩調律師や女性事務員さんも、それぞれがひとくせもふたくせもありながら、主人公の純粋さと真剣に向き合ってくれます。
 主人公は、ひとことでいうと、ねくらで奥手な青年。
 北海道の山奥で育った田舎者の青年で、不安や焦りや少しの希望で胸がはち切れそうな状態。
 そんなナイーブな青年が少しずつ周囲に助けられて成長していきます。
 わたしが一番好きだった場面は、主人公のおばあちゃんが亡くなったお葬式の場面。
 大学生となって家を離れた弟が悲しみと不安に耐え切れずに森で泣き出すと、主人公も初めて大声でこころから悲しみの感情を爆発させます。
 哀しい時にこころから泣けてよかったな、とつくづく思います。
 そんなふうな、若者や人びとの人生や生き様に大切なことがらがぽつりぽつりとちりばめられていて、まるでこころの宝石箱のような小説です。
 けっして明るいだけの小説ではないですが、読む価値はあります。
 読んで考える価値もありそうです。
 いい小説に出会えたことに感謝します。  
    *   *   *
 昨日(2018年2月20日)の「ケサランパサラン読書記-私の本棚-」さんのブログでも本書が取り上げられていて、いい文章です。ぜひご一読を。
『新潟県』 ジャンルのランキング
コメント (2)   この記事についてブログを書く
« フロイト(藤山直樹編・監訳... | トップ | こころの心理相談で臨床心理... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
宮下奈都さん (Blue Wing Olive)
2018-02-21 20:43:47
ご紹介の本はまだ読んでいませんが、宮下奈都さんの「たった、それだけ」を、読みました。
書店で文庫本の帯を見て買いました。
登場人物が、それぞれの境遇を受け入れ、淡々とだけれども、ひたむきに生きている様子が描かれています。
よい話でした。
この方の他の作品も読みたいと思っています。
宮下奈都さん (どさんこじーじ)
2018-02-22 05:23:24
宮下奈都さん、いいですよね。
ちなみに、宮下さんの『神様たちの遊ぶ庭』の感想文も2017年7月に書いていますので、よろしかったら読んでみてください。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説を読む」カテゴリの最新記事