インプロヴィゼーションの彼方に

人生ヨウスルニインプロヴィゼーション

書を捨てよ町へでよう / 寺山修司

2006-04-03 02:06:10 | 今日の一本
作家・詩人・戯曲家・演劇など多種多様な分野それぞれで異質な魅力を放つ個人的に注目の存在・寺山修司。寺山修司の構築する世界はいつも幻想的でノスタルジックでとってもメルヘン。でもどこか冷静に狂っていて、どこか退廃的で、時代を感じさせない普遍も持つなんともいえない感覚に、いいようのない魅力があります。個人的にドンピシャに魅力を感じてしまうセンスです。演劇実験室「天井桟敷」という自身が主宰する劇団のネーミングからしていかがわしくアングラな匂いがプンプン漂うセンスは僕の心をワシ掴み。かっこいい。
そんなカリスマ寺山修司の初映画監督作品『書を捨てよ町へでよう』をおそるおそる見てみました。おそるおそるというのは、当時は特に凄い作家が映画監督やると悲惨な場合もあるからね。村上龍のだいじょうぶマイフレンドばりにとか。
そんな不安もあったけども、寺山修司は凄かった。けものがれバリに捩れた世界がそこに!「そんなとこに座って映画見てたってなんにもはじまらないよ。映画はいつだって空っぽなんだよ!」って最初からはっきりいわれてしまうこの挑発的映画(笑)。音楽はギンギンにロックなギターがゴリゴリと。ディスクユニオンにありそうな60-70s日本のイカガワシイROCK臭。町田町蔵メシ食うなばり。シュールな日本語歌詞が独特な世界観に拍車をかけて煽る。さえない主人公のさえなさの配役も絶妙。とにかくさえないいなかっぺが主人公。しかし、そのさえない主人公の暮らす世界や青春は、まさに極端に抽出されたエグめな現実のやうでもありました。他にもキャラクター設定がファンタジック。戦争帰りの戦犯オヤジとかうさぎにしか心を開かない妹とか万引きの常習犯の祖母とか700匹秋刀魚を焼く男とか美人風俗嬢とか。ごった煮かつシュール。サンドバック形やばすぎだし。1971年作品なのに今見ても強烈かつ鮮烈な映像で熱気ムンムン。俺の好きな映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーの映画の感覚に近くてたまらん。オチも爆笑名作ホーリーマウンテンばりだし。美的な面・見世物小屋的カオスな面の共通する感性を寺山修司とアレハンドロ・ホドロフスキーに垣間見た。


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