インプロヴィゼーションの彼方に

人生ヨウスルニインプロヴィゼーション

Radiance / Keith Jarrett

2005-05-11 01:00:41 | 今日の一枚
ECMを代表するピアニストKieth Jarrettの最新作『Radiance』。闘病生活から復帰後の2002年11月の大阪と東京でのピアノソロとしては初のライブ録音盤。それぞれシンプルにPart1~17と名づけられた各モチーフはフリーインプロヴィゼーションによる演奏で、時にクレイジーで、えぐくて、暖かで、切なくて、美しくて。それはめくるめく人生の心象描写ともとらえることもできるような、協和・不協和の音世界。山あり谷ありのドラマ。それぞれのPartは、すぐ前に演奏された音楽から影響を受けて演奏していった形らしい。ていうかこれ本当にヤバい!神々しい!特にPart3。いつもと同じ、晴れわたる朝の空を、それぞれのストーリーの中でせわしく生活している人で一杯の満員電車の窓からぼんやりと眺めながらipodから流れてきた瞬間、空気が変わった。視界が変わった。なぜだか目が潤んできて本気で涙が溢れ出そうになった。こんな音楽がこの世界にあってしまうのかと呆然としてしまうほど、生と死と絶望と希望が混在してて、暖かくて、切なくて、言葉じゃ到底翻訳できないほど眩しくて。恍惚。まさにそれに包みこまれる感じ。我々が生と死に属している以上、悲しみや痛み、喜びや優しさを感じて生きていく、だからこそ、こういうけっして甘くはない音楽を暖かく感じ救われることというのがあるのかもしれない。
「その夜、ピアノは静かに奇跡を奏でた。」という日本盤のキャッチ。同感。まさにこれは奇跡のメロディー。