The Arabidopsis B-sister MADS-box protein, GORDITA, represses fruit growth and contributes to integument development
Prasad et al. The Plant Journal (2010) 62:203-214.
DOI: 10.1111/j.1365-313X.2010.04139.x
B-sister MADS-boxタンパク質は、花器官形成のクラスBホメオティックタンパク質に属するMADS-boxタンパク質と類似性が見られるが、胚珠や種子の形成に関与しているという特徴がある。ニュージーランド マッセー大学のAmbrose らは、シロイヌナズナのB-sister MADS-boxタンパク質AGL63についてT-DNA挿入による機能喪失変異体を用いて解析を行なった。変異体は野生型よりも長角果が大きくなるという特徴があり、このことから、この遺伝子をGORDITA (GOA 、スペイン語で「ふとっちょ」の意味)と新たに命名した。GOA を過剰発現させたシロイヌナズナは7個体得られたが、種子形成の低下、わい化、葉肉細胞が小さいために葉が小さい、頂芽優勢の欠如、老化の遅延といった特徴が見られた。長角果が形成されても、細く、短く、ねじれがあり、裂開しなかった。逆に、goa 変異体の葉肉細胞は野生型よりも大きかった。GOA 過剰発現個体の花序では、細胞拡張に関与しているANGUSTIFOLIA 、LONGIFOLIA 1 および2 、ROTUNDIFOLIA 3 の発現量が野生型よりも低く、GOA は細胞拡張に抑制的に作用しているものと考えられる。GOA はがく片、胚珠、外珠皮、花糸、花柱、隔膜で発現しており、雌性器官の発達に関与していることが示唆される。GOA は、内珠皮の発達と種皮の着色に関与しているB-sister MADS-box遺伝子のTRANSPARENT TESTA 16 (TT16 )とパラログであり、goa 変異体種子はtt16 変異体と同様に種皮の色が薄くなっていた。goa tt16 二重変異体は単独変異体よりもテトラゾリウム塩の透過性が増加していることから、両遺伝子は種皮形成に相加的に作用してると考えられる。