非国民通信

ノーモア・コイズミ

この手の脅しはよくあるらしいですが……

2015-09-20 12:34:18 | 社会

交際発覚アイドルに賠償命令 「発覚でイメージ悪化」(朝日新聞)

 アイドルグループの一員だった少女(17)が男性との交際を禁じた規約に違反したため、グループを解散せざるをえなくなったとして、マネジメント会社などが少女と親に計約510万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。児島章朋裁判官は「アイドルの交際発覚はイメージ悪化をもたらす」として規約違反を認め、少女に計約65万円の支払いを命じた。

 判決によると、少女は2013年3月にこの会社と契約。その際、「異性との交際禁止」「男友達と2人で遊んだり、写真を撮ったりすることは禁止」などとする規約を告げられた。同年7月に6人グループのアイドルとしてデビューしたが、10月に男性との交際が発覚。グループは同月、解散した。

 訴訟で少女側は「アイドルにとって、異性と交際しないことは不可欠の要素ではない」と主張したが、児島裁判官は「女性アイドルである以上、男性ファンの支持獲得に交際禁止は必要だった」と指摘。「解散によって会社は初期投資が回収できなくなった」として賠償を命じた。(千葉雄高)

 

 ……まぁ、上記の類の脅しで所属する女性タレントにAV出演を強要する事務所とかの話は聞くところですが、脅しではなく本物の法廷闘争にまで発展するケースもあるようですね。さて常識的に考えればヤクザみたいな事務所のやり口に対してしかるべく判決が下されそうなもの、ところが判決はと言えば「少女に計約65万円の支払いを命じた」とのこと。ファッ!?

 例えば違法な高金利で貸し付けを行っていた事業者の場合でも、その顧客との間で契約は結ばれているわけです。しかし、双方の合意の上で結ばれた契約であろうとも正当なものもあれば不当なものもあって、法律の定めるところを超えた金利に関しては契約は無効、利用者側に守る責任はありません。契約ならぬ規約であろうと然り、基本的人権に悖る規約であれば、それは当然のこととして無効との判決を下すのが司法の役目と言えます。

 むしろ不当な規約の履行を迫り金銭支払いを強要したという罪で東京地裁を被告として訴訟の一つも起こされても良いのではないかとすら思われますが、日本の司法はこういうレベルなのでしょう。なお児島章朋裁判官は「アイドルの交際発覚はイメージ悪化をもたらす」「女性アイドルである以上、男性ファンの支持獲得に交際禁止は必要だった」と断言したとのこと。この裁判官、たぶんアイドル好きですよね。

 なお児童ポルノとかは槍玉に挙げられやすいものですが、むしろ児童の芸能活動とかの方に厳しい目を向けるべきではないかと私は考えます。どっちも、子供を見世物にしていることに代わりはありませんから。性的な要素を明示しているか、伏せているか、それだけの違いです。未成年は守られるべきものとして、就労と同様に芸能活動にもまた規制が必要な分野のはず、そうしないと悪質な事務所に搾取される子供が増えるだけですよ、と。

 もう一つ、今回の訴訟における被告は元アイドルの少女だけではなく、その親でもありました。「親に連帯責任を求める」という日本の慣習もまた、放置されるべきではないと思います。つまり日本では就職時に身元保証書――従業員が何らかの損害を会社に与えた際、身元保証人が連帯して損害額を賠償するという契約書――を親族などに提出させることが多いわけです。交際禁止だけではなく、親に対する連帯責任の契約もまた、上記訴訟の場合には結ばれていたと推測されますが、これもまたいかがなものでしょう。

 ちなみに、この身内の就業時に連帯保証人を要求する日本の企業文化が、振り込め詐欺の被害拡大に一因になっているというのが私の説です。大半は、親が子の保証人として署名捺印していると思われますが、我が子の就業先に「会社に損害を与えた場合は親が償います」との誓約書を提出したことを覚えているのなら、振り込め詐欺の電話の中身にもリアリティを感じてしまうのではないでしょうか。子供の責任は親が取らなければならない、親が金を払わねばならない、そういう文化は日本に根付いているのですから。

 「アイドルにとって、異性と交際しないことは不可欠の要素ではない」、それは当たり前のことです。ただ今回の裁判長にとってアイドルとは、そういうものではなかったのでしょう。かくして17歳の子供が大人に不当な契約を結ばされて、その親に対して事務所が難癖を付けて金銭を強請り取ろうとしているわけです。ここで事務所が刑事告訴されたというのなら、話は理解できるのですが。

 

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2 コメント

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Unknown (SPQR)
2015-09-20 15:08:18
かつてゼンショーが労働争議の際、自社の従業員を「彼らとは業務委託契約を結んでいるのであって、雇用契約を結んでいるのではない」という荒唐無稽な主張を繰り広げた事が有りましたが、この判決は原告によるゼンショー同様の荒唐無稽な主張を、裁判所が丸呑みしてしまったというと言う事になるのでしょうか。

「労働者への損失補填の要求は違法」という原則を、一審であるとはいえ覆してしまった事は、この国が法治国家であるのかという事すら疑わしくなって来ますね。
Unknown (非国民通信管理人)
2015-09-20 21:01:04
>SPQRさん

 こういう判例ができてしまったことで、他にも悪い影響が出ないか心配にもなりますね。こんなものが許されるのなら、雇用側は何でも損失を従業員に転嫁できてしまいかねませんから。

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