非国民通信

ノーモア・コイズミ

意図がないというより自覚がないわけで

2018-10-07 22:00:51 | 社会

正職員と非正規、名札色分け「差別の意図ない」(読売新聞)

 兵庫県たつの市は、職員が業務中に身に着ける名札ケースと記章(バッジ)を作り、10月から貸与を始めた。ただ、名札ケースは正職員と非正規職員で色分けし、記章は正職員のみに渡すなど、採用条件によって差をつけた格好に。市側は「正職員の自覚を促すことなどが目的で、差別する意図はない」と説明している。

 名札ケースは地場産業の天然皮革製でベースの色はベージュだが、正職員用だけ上部を茶色にしている。市は「市民からの声もあり、一目で正職員とわかるようにした」としている。

 市によると、正職員は再任用を含め575人、非正規は約230人。市幹部は「正規と非正規では公権力を行使できる範囲に違いがある。臨時職員は補助員として位置づけている」としたうえで、「市民は、正職員に厳しい意識を持つことがあり、色分けした」と話している。(中筋夏樹)

 

 もちろん自覚がない人間が意図することはできませんから、市側の説明は間違っていないのでしょう。事実として差別的取り扱いであるとしても、差別であることの自覚がない以上は、差別の意図があろうはずもありません。だからこそ取材側には、「意図」の有無ではなく「自覚」の有無まで突っ込んで欲しいところですかね。

 さて我が国では官民の給与を論じる際、「現業職を除いた正規雇用の公務員」と「パート・アルバイトを含めた民間企業全体の平均」を比較するのが慣例として定着しています。当然ながら正規雇用だけの方が平均値は高くなるもので、これを根拠に「公務員の給料は(民間より)高い」と言われているわけですが、よくよく考えれば非正規の公務員を計算から除外するのもまた、一種の差別なのかも知れません。

 ともあれ官民の給与格差を論じる際は無視されがちな一方、「官」の世界は民間企業に先んじて、正規雇用の非正規への置き換えを進めてきた歴史があります。今回の兵庫県たつの市は正職員が575人、非正規は約230人とのことですけれど、自治体や部門によっては非正規が実務の主役になっているところもあるのではないでしょうか。

 例えばハローワークなど、求職者に実際に対応する職員が専ら非正規であることが――知る人には知られています。もっとも求職者に限らず公共サービスの利用者にとっては、目の前で対応している職員の雇用形態が正規か非正規かなどは関係のないことですよね? まぁ、民間企業の場合も同様で、店員が正社員であるかバイトであるかは客にとって関係のないことでもあります。

 しかるに「(正)社員になりたければ~」と会社から過剰な対応を求められるのが非正規、「(正)社員になったのだから~」と会社から過剰な対応を求められるのが正規の違いです。このような似て非なるところがあるだけではなく、当然ながら待遇には天と地の差があります。利用者や客から見た場合と違って、「雇う側」にとって正規と非正規の違いは大きいわけです。

 たつの市では「市民からの声もあり、一目で正職員とわかるようにした」と述べているようですが、本当に市民の声なのでしょうか? 相手が正職員かどうかを分かるようにしろと、そういう「市民の要望」は私には新鮮に見えます。「市民は、正職員に厳しい意識を持つことがあり~」とのことですけれど、職員サイドの雇用形態を問う市民というのがどういう存在なのか、なかなか想像できません。

 もし仮に「市民」が正職員に厳しく、相対的に非正規職員に対して寛容である、相手が非正規職員であることが分かれば対応が変わるというのなら、むしろ非正規職員側から積極的に「非正規」をアピールしていくのが良いかもしれないですね。「私は非正規なので、公権力を行使できる範囲に限りがあります」「私は補助員です」「私は正職員ではないので、厳しい意識を持たないでください」――非正規職員がそういう態度を取るようになれば、ちょっとしたストライキみたいな効果があるでしょうから。

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