ずっと同じ職場で働き続ける人もいる一方で、私なんぞは職を転々としてきたわけですけれど、そうした中では時々「うだつの上がらないおっさん」を見かけることがあります。結構な年齢なのにヒラ社員で、これから出世しそうな気配など微塵も感じさせず、年下の上司の下で働いている人が、たまにいるわけです。そう滅多にお目にかかれるものでもないので偶々かも知れませんが、この手の人は総じて「いいひと」ばかりですね。先輩社員ではあるのですが、「社会人としての自覚が足りない!」などと部下/後輩を怒鳴ったりは決してしない、のほほんとして緩いムードを漂わせていることが多いです。
要は会社の求める「社会人」としての価値観に染まっていない、だから会社から認められることも重用されることもない、ある種の落伍者でもあるのでしょう。「いいひと」と呼ばれはしても頼りにはされない、会社のためにバリバリ働くよりも、どこかのんびりしていて上司を苛立たせている、そんな感じの人が少数ながらいました。何かとピリピリしがちな職場では、いつもマイペースな「うだつの上がらないおっさん」の仕事ぶりに若い子が陰口を敲いているなんてこともありましたが、管理職でもない人にとやかく言われる筋合いはないでしょう。
こういう人は今だったら正社員として採用されることはないのだろうな、と思います。正社員として雇うしか選択肢がなかった時代だから正社員として雇われたけれど、「働かせ方」が多様化した現代であれば、せいぜい派遣社員などの非正規雇用に止まり、数年で契約を打ち切られていたような気がします。もしかしたら、今頃はリストラ対象者として陰から圧力をかけられているのかも知れませんけれど。
解雇規制の緩和に肯定的な人にも3パターンくらいあると思います。まず1つめは「経営者目線の人」で、これは当然ですね。経営側としては自由に解雇できた方が楽ですから。2つめは「会社を知らない人/知ったかぶりの人」で、労働現場を知らないのか信じやすいのか、経済誌を読んだ程度でその主張をすっかり真に受けてしまい、何が問題であり何が実態に即していないのかを判断できていない人の場合です。そして自分の信じた世界が全くの虚構であることを理解できないまま、通ぶって御用学者の作文を受け売りする――ネット上の論者にはこれが多いように見受けられます。
3つめは「自己評価の高い人」と言ったところでしょうか。俗流若者論ならぬ俗流中高年論とでも呼ぶべきか、「無能な中高年が正社員として居座っているせいで、自分たちに椅子が回ってこない」といった論調もまたあるわけです。そこで解雇自由にしてしまえば、「無能な中高年」がどんどんクビになって、その分だけ若者が雇用されるようになると、まるで風が吹けば桶屋が儲かるようなことを宣う人もいます。ですが、その机上論が成り立つには最低でも「中高年よりも若者の方が優秀」である必要があるはずです。自分は優秀、今の不遇な状態は無能な中高年が正社員として居座っているせい、解雇自由になれば、企業は無能な中高年の代わりに自分を迎え入れるに違いない――そう本気で思える人が解雇規制の緩和に賛同しているように見えます。でも君はそんなに優秀じゃないと思うよ!
実際のところ雇用側は賃金の高い中高年正社員をリストラの対象にすることから人員削減を始めたわけで、現在の若年層を含めた正社員が安泰かと言えば決してそんなことはないのですが、仮に今以上の解雇規制緩和を許すとなったらどうなるでしょうか。たぶん、冒頭で触れた「いいひと」である「うだつの上がらないおっさん」は真っ先に追い出されそうです。残るのは、より社畜度の高い、会社のために骨身を削って働く人たちでしょうね。マイペース人間は行き場がなくなるわけです。








彼らの周りには、ゼブラ(縞馬)やインパラなど草食系の動物がうじゃうじゃいるのにもかかわらず、組織的に攻めても瞬発力や走力に劣るのか、ハンティングがどヘタで、結構しばしば腹ペコ状態に近いのです。
でも、彼らは襲われて食べられることはないのでこの意味において強いのです。
また、アリの巣をみても、真剣に働いているのは約7割です。
その7割を集めて、全て勤勉集団を作ったとしても、即刻3割はのんびり系になるのです。
終身雇用が終わったなどと嘯(うそぶ)いている連中がいますが、その企業が提供している製品やサービスが必用とされている前提がそれなりに成立し、そのノウハウの習熟に10年以上などの時間を要するとすれば、その企業は間違いなく社員を囲い込みます。
つまりお互いの利益のために終身雇用や暖簾分け的方向を志向します。
現実の世界は解からない事ばかりですが、効率一辺倒では決してないし、常に混沌として時として不安定なのです。
まぁ、のんびりサボりましょう。
再就職や転職が容易な社会ならそれもアリかもしれません。
・・・が、日本が新自由主義政策をこれまで
どういった形で取り入れてきたかを考えれば、
「クビにはなるけど、より自分に合った会社に簡単に再就職できる」
ようになるなんてことはなく、
「クビになるけど再就職は極めて困難で、良くてブラック会社か非正規」
というロクでもない結果になることは目に見えていますね。
(特に小泉政治より前の時期に)解雇規制の緩和が少なからず支持されてきた背景には
それと「より自分に合った形での再就職・転職が容易な社会」
という「労働者サイドの利益になる流動性」がセットで
やってくるだろうという期待があったからだと思います。
2つめの人はこの流れを汲んでいると言えるかもしれませんね。
ただ、小泉政治で「経営者の利益になる流動性」が大きくなる一方で、
「労働者の利益になる流動性」が何も変わらなかったこと、
その結果としてのリーマンショック以降の派遣切り等を通じて、
その層は10年ほど前に比べるとしぼんだようには感じます。
「3つめの自己評価の高い人」も源流は似通ってる気がしますが、
10年前ぐらいの論調に比べると被害者意識の強さが際立っていますね。
ただ、いずれにせよ解雇規制が緩和され、仮に彼らが正社員になっても、
「労働者の利益になる流動性」が与えられることなどはなく、
昭和の時代とすら比較にならないほどの社畜にさせられるだけで、
本当の意味での自分にとっての利益は得られることはないでしょうね。
#
#なお、うだつの上がらないおばさん
#については
#別の論考が必要かもしれません。
#
長文御容赦
♪南ニ死ニソウナ人アレバ
行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクワヤソシヨウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニ“デクノボー”トヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイウモノニ
ワタシハナリタイ♪
●宮沢賢治●
ここで言いますが50代で定年まで介護を‥心優しい働き者‥少しでしやばりおしゃべりが‥すぐヘルパー二級取得悔悟員にと
しかしついに雑用悔悟員から抜け出せず、定年過ぎ
契約二年後の今年切られる
退職金も無いから年金迄まだ有るのに
力仕事と雑用で腕も痛め
若い仕事ができる悔悟員より優しいんだが
フルタイムなんですよ
無し無しで十年
終身雇用が規制によって作られたわけではなく、社員を囲い込む必要性から実行されてきた、その辺を理解できていない論者も多いですよね。その辺がわかっていないと、効率を追っているつもりでいながら、逆に生産性を落とすような現状にも繋がるのでしょう。
>毛さん
2と3は、兼ねている場合も多いでしょうね。自己評価が高く、経済のことがわかった「つもり」でいる、そうした人は自分では流動性の恩恵が受けられる「つもり」でいるのでしょう。労働者全般は元より、単に自己評価が高いだけの人が恩恵を受けられるような流動性なんて、未来永劫訪れないように見えるのですが。
>HANAKOさん
移民や国外にルーツを持つ人でも、人の倍の努力を重ねて成功をつかんだ人がいて、そういう人はしばしば「おまえらは努力が足りない、甘えるな」みたいな論調を取りがちだったりしますけれど(サルコジとか前田日明とか)、有名女性の場合もそんなパターンが多いのかも知れませんね。
>northeastさん
上に行くほど椅子の数は減る一方で、これ以上出世しないであろう人には居場所が奪われるとなると、どこかに「押し込める」結果になるわけですよね。異例の景気低迷で、その傾向は強まるばかりでしょうか。出世しない人が働き続けられる環境がないんですよね……
>田中洌さん
デクノボーと呼ばれてもクニモサレズで済めばいいのですが、昨今は「無能な中高年」と呼ばれる時代ですから。クニモサレズ、で生きるのは何とも難しそうです。
>悔悟員さん
結局、「必要に応じて受け取る」のとは正反対の方向に向かっていますからね。頑張っても外部の評価が低ければ……
ところで、管理人さんどこかで私の事見てた?
残念ながら、役所関係では働いたことがないんですよね。どうせ非正規でも、見聞を広めるためには民間企業以外でも働いてみたいのですが。
「自分が言ったことを受け入れてくれない」と言われて苛つく日々ですから。
「私にはセンスがないから言われたように出来ない」とか「どれだけ自信家ですか」と嫌みを言いたくなる自分とのチキンレースが続いています。