非国民通信

ノーモア・コイズミ

痕跡を消せ

2006-08-12 17:10:21 | 文芸欄

B.Brecht

仲間とは駅で別れろ、
朝、街にはいるとき上着のボタンをきちんととめろ、
ねぐらを探せ、たとえ仲間がノックしようとも、
開けるな、いいか、ドアは開けるな、
それよりまず
痕跡を消せ!

ハンブルクであれどこであれ、親に出くわしたら
そしらぬ顔でやりすごし、角を曲がれ、気づかぬふりをして、
親にもらった帽子を目深にかぶれ、
見せるな、いいか、顔は見せるな、
なよりまず
痕跡を消せ!

肉があればそれを食え! とっておこうと思うな!
雨が降ればどの家へでもはいり、そこにある椅子に坐れ、
だが腰は据えるな! 帽子を置き忘れるな!
よく聞けよ
痕跡を消すのだ!

何を言うにも、二度は言うな、
他人が同じ考えだとわかっても、同調するな。
署名をせず、写真を残さず、
現場に居合わせず、何も言わない、
そんな奴がつかまるはずがない!
痕跡を消すことだ!

もし死ぬつもりなら、墓が建たないよう
手配しておけ、立てば居場所が知れる、
まぎれもない字で名前がわかる、
死の年号がお前の罪の証拠になる!
いまいちど繰り返す、
痕跡は消すのだ!

(と、僕は教えられた)


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