非国民通信

ノーモア・コイズミ

そして「官邸主導」の再来へ

2009-09-11 23:03:03 | ニュース

「連立」はや不協和音、政策めぐり駆け引き(読売新聞)

 「鳩山政権誕生」を1週間後に控え、民主、社民、国民新の3党は9日、連立政権樹立合意にこぎ着けたが、3党間では不協和音も生じている。

(中略)

 民主党は、社民、国民新両党との連立協議で、政策決定システムの内閣一元化の実現に固執した。

 実際、合意書には、民主党の主張通り、内閣に3党の党首級でつくる「基本政策閣僚委員会」を設置することが明記され、閣内での政策決定に道筋をつけることに成功した。

 与党の政策決定への影響力を排するのは、「鳩山首相」がリーダーシップを発揮しやすい環境をつくるためだ。民主党の次期幹事長には、強権的なイメージの強い小沢代表代行が就任する。政策決定から小沢氏を外し、「二重権力構造」となることを回避する狙いもあったと見られる。

 ……さて昨日の続きです。引用元で言及されている小沢氏への警戒についてはこちらをお読みいただければと存じますが、ともあれ連立が成立しました。そこでは「基本政策閣僚委員会」を設置することが明記されたそうですが、う~ん、どちらの党にとっても妥協の産物でしょうか。社民党は当初、与党間の連絡調整機関の設置を求めていたわけですが、鳩山がこれに難色を示していたのは周知の通り、そこで双方が不満を持ちながらも歩み寄ったのか、対象を党首級に限定した「基本政策閣僚委員会」が落としどころとなったようです。

 単純に考えると、連立を組むのであれば与党間の協議機関を設けるのは至極当たり前のことに見えるかも知れません。しかし、そうはならなかったわけです。どうして? 「『鳩山首相』がリーダーシップを発揮しやすい環境をつくるため」「与党の政策決定への影響力を排する」必要があるから――この辺りは、メディアが勝手に報じているのではなく鳩山氏自身も認めるところでしょう。しかし、よくよく考えてみるとおかしな点があるのでは……

 だってそうでしょう、鳩山は民主党の党首、300議席という絶対多数を誇る与党の党首です。それなのに、自ら率いる党の「影響力を排する」とは、これまた単純に考えれば納得のいかないことです。自らを首相の座に押し上げてくれた母体である与党を、なぜ排除しなければならないのでしょうか。どうして党首が自らの党を? 確かに「与党」には民主党だけではなく社民党、国民新党と言った政策の異なる党が含まれますが、自ら連立を選んだからには、より関係を密にしていくものと考えるのが「普通」です。しかるに連立を選んておきながら、その組んだばかりの党の「影響力を排する」意図がある、最大限に妥協しても党首クラスに制限しておきたい、これは何を意味するのでしょうか。

 過去に学ぶことができる人ならば、こうしたスタイルにも前例があることをすぐに思い出すことができるはずです。そうです、小泉/竹中の「官邸主導」と瓜二つではないでしょうか。竹中は自民党の凋落を見て、「経済財政諮問会議の地盤沈下、与党の発言力の増大、官僚主導の政策決定の事実を見る限り、内閣がおかしな方向にぶれていった」と語りました(参考)。それが事実を適切にとらえているかはさておき、竹中がどのような政治をあるべき姿と見なしていたかは見えてくると思います。すなわち、首相直属の機関が強大な権限を持ち、与党(国会)の発言力は抑える、官僚に決定権を与えない――小泉内閣時代は当たり前のように実行されていたことであり、そして鳩山が再開させようとしているやり方そのものですね。

 ある政治家が絶大な支持を集めているからと言って、その党に所属する議員にまで支持があるとは限りません。仮に票が集まっているとしても、です。小泉時代の自民党を思い出してください、自民党の党首である小泉は圧倒的な人気を得ていましたが、その率いる党はどうだったでしょうか? むしろ自民党は否定の対象であり(「自民党をぶっ壊す」と叫べば喝采を浴びました)、少なからぬ人々は「抵抗勢力」と呼ばれていたわけです。そうした中では「抵抗勢力」である国会議員達の声を頭から否定することこそが、「リーダーシップ」と評価されてきたのではないでしょうか。

 昨日のエントリでも触れたことですが、世論の大勢は「政治否定」です。政治家や官僚といったものを無条件に否定している、削減すべき「ムダ」と見なしているわけです。既存の政治家や官僚達が日本をダメにした「犯人」であり、ろくに働きもしない高給取りの彼奴らをなんとかしなければいけない――そうした物語が作られてきました。ここで待望されるのが、そうした「悪い奴」を退治するヒーローです。つまり、政治を停滞させた犯人である国会議員や官僚といった連中の声に惑わされず、毅然としてリーダーシップを発揮してくれる人です。ひっそりと利害関係を調整して自体を穏便に済ませようとする人ではなく、正体不明の「利権」をばっさりと切り捨ててくれる人だったわけです。そこで登場したのは……

 各種諮問会議が国家戦略局に変わり、官邸主導が政治主導へと改名したわけですが、その中身の変化はいかほどのものでしょう。「官」を敵に見立てるのは相変わらず、そして「基本政策閣僚委員会」という限定された機関の意味するところは? 抵抗勢力たる国会を議員定数削減により弱体化させる、与党間の協議でも参加者を党首クラスに制限することで与党の影響力を排除する、「政治主導」が意図するのは、官僚「退治」だけではない、それは国会の否定をも含むもののようです。

 まぁまったく違うところがないとは言いません。救いようのないレベルまで極右化が進んだ自民党と比べれば、外交面は多少はマシになるでしょう。民主党の姿勢だって褒められたものではないのですが、何しろ今までが酷すぎましたから。しかし、変わらないものもあります。財界との関係もそうですし、そして何より「政治のあり方」こそ、忠実に継承されたのではないでしょうか。麻生内閣からではなく、小泉内閣から!

 既存の政党(政治家)や官僚(自治体職員)を頭から全否定し、その意見を取り入れない――有権者の支持を後ろ盾に自身の持論を押し通す――そういう政治家が国民は大好きです。小泉、橋下、そして鳩山もそうなるでしょう。官僚ばかりか国会(与党)をも、その影響力を排すべきものと見なす、こうした政治姿勢は「継続」が選択されたわけです。このような政治の在り方こそ最も危険なものであり、それが麻生内閣時代には頓挫しかかった(たぶん麻生には荷が重かったのでしょう)時には、方向性だけでもマシな方に向かうかと思ったのですが、どうも再び針が巻き直されてしまった気がします。

 

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参考、
やっぱり鳩山は危険です
やっぱり鳩山はダメだな
「政治主導」とは国会空白ではないはず - 保坂展人のどこどこ日記


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6 コメント

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やっぱり (いるか缶)
2009-09-11 23:21:14
イギリスを参考にといいながら、やはりアメリカしか政治のモデルを鳩山代表も有権者も持っていないということでしょうか。
 ただ、今のところ民主党も人気ある議員多いのでそこまで抵抗勢力扱いにはならないでしょう(そのかわり官僚の扱いはひどいでしょう)が、今後実際に各党内から鳩山代表(その時は首相ですね)に異論が出た時どうなるか。社民党や小沢新幹事長がスケープゴートになるなんてこともありえるかもしれないですね。

しかし、民主党政治が本当にダメだと感じても、分裂を期待するぐらいしか方法がないのが歯痒いですね。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-09-11 23:38:36
>いるか缶さん

 しかもアメリカを参考にするとしても、例によって「都合の良い部分だけ」を抽出してくるんですよね。社会のシステムが異なる中で、部分的に「アメリカ式」を導入しても機能しないのは自民党政権時代に証明済なのに。

 さて「異論」が出たときはどうなるでしょうか。対立すればするほど「善悪」のコントラストが高まって片方に人気が集まる傾向があるわけですが、反対に「悪」とされた側の扱いは酷いものですからね。
日本は (Bill McCreary)
2009-09-12 09:35:34
議院内閣制ですから、与党の党首が首相になるわけで、米国のように大統領職が強い行政権を持っている国とは違うんですが、やっぱり民主党がねらってるのはそれなんでしょうね。

鳩山氏は、小泉、橋下とかいう人たちよりはまし(?)かもしれませんが、どんなもんですかね。あんまり期待はできないかな。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-09-12 14:02:36
>Bill McCrearyさん

 どうも間接民主制というものが理解されていないのか、議会軽視、主張の「リーダーシップ」期待という傾向が強いですよね。そういう点では鳩山も既存の路線の継承者に過ぎない……

 まぁ露骨な排外主義には与していないかに見えるのが救いですけれど、それは極右自民党と対決するという必要上のことかも知れませんし。自民党と反対の立場に立つためには排外主義に背を向ける必要がありましたが、自民党が野党に落ちた今後はどうなるでしょうか。
Unknown (源内山人)
2009-09-13 18:23:00
>>・・どうも再び針が巻き直されてしまった気がします。

鳩山もポピュリズムをやろうというわけですね。しかし、お坊ちゃん宇宙人の鳩山ではカリスマ性がないから「ヒーロー」という感じしないのですが・・・。
とにかくなんか頼りなさそう。
はっきり言えるのは、「鳩山」を支持して浮動票が民主に傾いたわけではないということ。
「鑑定主導」・・・上手くいきますかね。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-09-13 22:53:04
>源内山人さん

 確かに、方向性は同じだとしても小泉と鳩山では役者の巧拙に差がありそうですね。何か「ヤマ」があったときに、一気に支持が崩れてしまう可能性はあるかも知れません。官邸主導/政治主導という方向性は国民の「好み」に添ったものではありますが……

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