非国民通信

ノーモア・コイズミ

需要の問題

2021-11-14 23:00:13 | 雇用・経済

 少し前の話ですが、サントリーの社長が「45歳定年制」を主張して物議を醸しました。まぁ会社なんてのは性風俗産業の類と似たようなもの、年を取った人は嫌われ、若い人が求められるわけです。堅物を装った企業も水商売も価値観は同じ、ちやほやされるのは若い間だけ、年を取って放り出されるのが嫌なら経営側に回れということなのでしょう。

 会社の経営者もキャバクラの店長も、年増を追い出して若い人に置き換えたいと共通の望みを抱えているところですが、その一方で「若い人がすぐに会社を辞めてしまう」との嘆きも頻繁に耳にします。厚労省の調査によれば、若年層の3年以内の離職率は全体で3割超、従業員が30人未満の零細企業に至っては半分以上が離職するそうで、これもまた経営側の悩みの種のようです。

 なぜ若者は会社を辞めるのでしょうか。理由の一つは、市場の需要によるものです。つまり日本の会社は年齢を重視して人を採用するわけで、すなわち若いほど転職にも有利であることから、若者には「今の会社を辞めて、別の会社に移る」という選択肢があります。他社が欲しがる若い人材ほど、当然ながら転職のために今の会社を辞める理由が強まる、若年層の雇用が流動化するのは自明のことですね。

 一方、敢えて年増を採用しようとする会社は多くありません。中高年社員は若手と違って他社からの需要がないわけです。そうすると当たり前ですが、中高年社員には「他社に移る」という選択肢がない、「今の会社に残る」しかなくなります。経営側がどれほど中高年を就職市場に供給しようと努めても、それに釣り合う需要がないのですから必然の帰結です。

 そこでサントリーが自らリーダーシップを取って日本的経営を変えていこうとするならば、どうすべきでしょうか。一つは今年で62歳になる新浪剛史社長が若者にポストを譲り、介護や清掃、警備など高齢者向けの求人が多い業界へ転職して自ら範を示すのが市場の需給を満たす良い手であると言えます。これなら有言実行、誰も文句は付けられません。

 もう一つ考えるとしたら、サントリーが採用基準を変えることですね。若者の採用は中止し、採用は原則として45歳以上とすれば、今の会社を辞めてサントリーに転職することを考える中高年も出てくることでしょう。そして他社もまたサントリーに倣って採用基準を変え45歳以上を優先的に採用するともなれば、必然的に中高年の雇用は流動化します。

 少子高齢化ばかりが世界トップクラスに信仰する日本において、45歳以上の人間が軒並み経営者になってしまえば、それを支える若者の負担もまた増すばかりです。中高年には経営者ではなく、労働者として現場で働いてもらわなければ社会を持続させることが出来ません。そのためには、サントリーの社長に代表されるようなキャバクラ型の価値観ではなく、中高年をいかに活用できるかという知恵の方が求められると言えます。

コメント   この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 意外でも何でもない結果 | トップ | 旗頭は変わっても、国民が期... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

雇用・経済」カテゴリの最新記事