非国民通信

ノーモア・コイズミ

国の借金、貸し手は誰?

2009-11-12 23:13:47 | ニュース

国の借金が864兆円と過去最大 1人当たり678万円 (共同通信)

 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高(借金)が9月末時点で864兆5226億円となり、前回発表の6月末から4兆2669億円増え、過去最大を更新したと発表。10月1日現在の人口推計(約1億2756万人)で割ると、1人当たりの借金は約678万円に上った。追加経済対策を盛り込んだ09年度補正予算に基づく国債追加発行が7月から始まったのが、増加の主な要因。

 他紙ではもうちょっと内訳の細かいところまで報道していますが、どこも論調は一緒なので最もコンパクトな共同通信の記事を引用します。内容はごらんの通り、「国の借金」が増えましたよと言うものです。で、1人当たりの借金は約678万円だと。定期的に出てくる代物ですね。

 改革万歳だったり自民党と勝手に一蓮托生だったり新聞それぞれ個性があるわけですけれど、この手の報道に関しては各紙が足並みをそろえています。「国民1人あたりの借金は~」と、この論調はどこも変わらないようです。これが異論のない合意事項なのでしょうか、決して意見が分かれることなく何の批判もないまま語られ続けることで、こうした認識が「当たり前のもの」として刷り込まれてしまったのかも知れません。

 昨日の記事では、日本人の世界観は仏教的である以前に国家神道的だと書きました。まず何よりも「国体」を信仰している、国家と自分を一心同体のものと思い込んでいるのが美しい国の文化です。だから国債(=国の借金)とは、すなわち国民の借金でもある、そう感じてしまうのでしょう。国家を崇拝する社会においては「国」=「国民」ですから。

 ですが、よく考えてください。日本政府が発行している国債の95%は国内で購入されているのです。基本的に国債は日本人が買っているもの、そう考えて間違いありません。そして「国の借金」と、何の疑問もなく語られていますが、誰かが借金をする以上、他の誰かがお金を「貸して」いるわけです。では誰が国にお金を貸しているのでしょうか? 言うまでもありません、日本人がお金を貸しているのです。

 「国の借金」という言い方自体は間違ってはいません。あくまで「国家」を主体とした考えに基づけば、ですが。しかし「国民1人あたりの借金」とは歪曲も甚だしいでしょう。国民は国にお金を「貸した」のであり、国民が誰かから借金したわけではありません。そこで本当に国民の立場から国債を表現するならばこうなるはずです、「国民1人あたりの貸付額」と。

 この国民から政府への「融資」は、もしかしたら不良債権になるかも知れません。貸し手である国民が「借金を返せなくなる」ことはあり得ないにしても、「貸した金を(全額)回収できなくなる」可能性は皆無ではないでしょう。だけど、それでも良いような気がしますね。だってほら、国債の購入者って、どういう人でしょうか?

 まぁ無理して国債を買った(政府にお金を貸し付けた)貧乏人だって多少はいるかも知れませんが、その額はたかが知れています。では「誰が」「どこが」国債を買っている、政府にお金を貸しているのでしょうか? 基本的に国債の購入者は、(お金を)持てるものが圧倒的多数を占めるはずです。お金のあるところに国債を買わせている、お金のあるところが政府に金を貸しているわけですから。ある意味、本来ならば税金という形で政府が徴収すべきお金を、代わりに吸い上げるルートが国債発行とも言えるのではないでしょうか。

 だから赤字国債を発行して社会保障の拡充に当てる、これは「持てるもの」から「持たざるもの」への富の再分配としては、一応の形が整っているような気がします。これで「借り手」である政府が返済能力を喪失したとしても、「持てるもの」が損をするだけであり、まぁ税金を取られたのと結果的には同じことですので。だから赤字国債の発行も言われているほど否定的に見られるべきものでは無いはずなのですが、どこのメディアも論調は一緒なんですよね。

 

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14 コメント

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結局は (観潮楼)
2009-11-12 23:29:22
メディアにとって「財務省様は偉大なり!」なんでしょうな。
何のひねりもない金魚の糞体質。
事業仕分けなんてあんな猿芝居やってる場合かと。
頭ん中は結局小泉シンパや市場中毒者と同じ。
あの振り付けだって財務省の影が、いやどっちが実像かわからない位出てるような。
そうなんですね (最下層公務員)
2009-11-13 00:02:29
同じ事を最近ある方から伺いました。
アメリカの借金は外国からの借金なので問題なのだと。日本は基本的に日本人からの借金だから、お金をどんどん刷っちゃえば解決すると。この方はデリバティブが仕事と言う人なんだそうです。
お金持ちが恐れるのはインフレで、持ち資産が目減りするからだそうです。そう考えると、マスコミが大好きなお金持ちの為の論調はうなづけます。
Unknown (青波)
2009-11-13 00:56:56
国債を買っているのは、個人ではなく金融機関などの法人です。個人の比率は低いです。ですので、回収できなくなったら、多くの金融機関が潰れるでしょう。
そして、連鎖倒産が起きるでしょう。
よって、一部の金持ちだけが損するだけでなく、貧乏人も職を失ったり、社会保障費、年金などが減らされます。
Unknown (ああああ)
2009-11-13 20:29:08
>「国民1人あたりの借金は~」と、この論調はどこも変わらないようです。

そうなんですよね。いつも同じでつまらんですわ。
逆に資産がどのくらいあるのか同じ論調で報道して欲しいと思いますな。
「国民一人当たりの資産は~」ってね
Unknown (やす)
2009-11-13 21:31:54
>基本的に国債の購入者は、(お金を)持てるものが圧倒的多数を占めるはずです。
>お金のあるところに国債を買わせている、お金のあるところが政府に金を貸しているわけですから。

思い出しましたよこれw 
日本史で日露戦争のときに外債を発行しまくったってアレですか?
Unknown (ヒイロ)
2009-11-13 22:34:15
管理人様が指摘していることは、「マスコミが口が裂けても言えないこと」なのかもしれません。だから「一人あたり何万円の借金を抱えている」と逃げを打っているとさえ思います。
「国債は国民が日本政府に金を貸している証だ」という表現をどこのマスコミもやり出したら、償還できなくなったときに収拾がつかなくなることは想像に難くないことでしょうから。

国債発行を理屈をつけて渋ることは、「外国に(国債を)買い漁られて金融でも財政でも大変な目に遭う」とどこかで思う連中もいるのでは、という滅茶苦茶うがった見方をしています。
「郵政民営化の目的の一つが、アメリカに日本人の金融資産を貢ぐ」ということを聞いたので、そう思わずにはいられませんから。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-11-13 22:46:45
>観潮楼さん

 事業仕分けなんかは全く目新しさがないと言いますか、小泉路線直系という感じですよね。そういう路線だから、貸し借りした金で何かをやるよりも緊縮財政の方に目が向いてしまうのでしょう。

>最下層公務員さん

 お金を刷ってしまえば、「既に資産がある人」の試算は目減りしますけれど、資産の乏しい人には害のない話、決して極論ではないはずなんですよね。しかるにこの国では貧乏人まで病的にインフレを恐れている。その一方でデフレには何の危機感も感じ無いどころか歓迎すらしているくらい、異常です。

>青波さん

 極論で脅しをかける、エコノミスト連中みたいな口ぶりですね。自信満々に語れば事実に遠い仮定でも人を欺けると思っているのでしょうか。ましてや金融機関に何兆円もの公的資金を投入し、税制面での優遇措置を続けている中で、国に対する「融資」がちょっとぐらい目減りしたって大騒ぎするようなことでもないでしょうに。

>ああああさん

 >「国民一人当たりの資産は~」

 そっちの方が前向きですよね。どうにも悲観論というか、危機を煽るような言説ばかりが歓迎されていますが、この「危機を煽って国民に耐乏を迫る」ようなノリからは脱却しないといけません。

>やすさん

 まぁ、それに比べれば国債は使い道もまとも、国自体も右肩下がりとはいえこれから急転しようというわけではないのですから罪のない話です。

>ヒイロさん

 国民に債権者であると思われたら、権力関係の維持が難しくなるでしょうからね。今の君臣関係のごときものを維持したければ、国民を債務者だと思わせておいた方が良い、と。
日露戦争の外債 (最下層公務員)
2009-11-13 23:28:35
これってユダヤ人が殆ど買って、それをまたぞろ当てにして満州国建国でもまたユダヤを当てにしてスカされた。けれども、ユダヤの力を知ってたので、杉浦千畝を見て見ぬ振りしたみたいな事でしたっけ?
Unknown (buhi)
2009-11-13 23:29:30
これを読んで思い出したんですけど、
昔、国鉄が赤字で叩かれまくってたときに、
「国鉄が赤字の分、国民が得をしてるんだ!」と主張した方がいたと記憶します。
ま、「アレな方」と思われて、黙殺されたと思いますが。
ともかく、「国の借金がハンパなくなると、天が落ちてくるんだ」みたいな脅しは正直勘弁と。宇都宮城の吊り天井じゃないんだから。
でわ。
Unknown (非国民通信管理人)
2009-11-14 23:10:34
>最下層公務員さん

 残念ながら細かいことはよく知らないのですが、何しろ戦争に負けるか勝つかで乱高下が予測されたわけで、色々とムリがあったみたいですね。

>buhiさん

 まぁ公共サービスを廉価で提供した結果としての赤字なら、その分だけ利用者(=国民)の得というのは一概に極論とは言えないかも知れませんね。ともあれ政府の借金といえど国内からの調達ならある意味で家族間の貸し借りのようなもの、社会保障を切り詰め、脅しを重ねてまで削減に走らなければならないものではないような気がするわけです。

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