非国民通信

ノーモア・コイズミ

司法への信頼が問われる

2016-04-03 11:15:31 | 社会

「人生奪われた」 子宮頸がんワクチン被害、悲痛な訴え(朝日新聞)

 子宮頸(けい)がんワクチンの副作用問題で、接種後に全身の痛みや歩行困難などの症状を訴えている女性たちが今年6月にも、健康被害を予見できたのに回避措置をとらなかったとして、国と製薬会社2社に損害賠償を求めて集団提訴する。

(中略)

 子宮頸がんは国内では年に約1万人(上皮内がんを除く)が発病し、約3千人が死亡する。ワクチンは、子宮頸がん全体の50~70%の原因となる2種類のウイルスの感染を防ぐ効果があるとされる。がんそのものを予防する効果は証明されていないが、海外では、がんの前段階の状態を減らす効果が報告されている。

 厚生労働省が推奨を控えて以降、再開の是非を決められないのはワクチンの評価が分かれているためだ。

 川崎医科大の中野貴司教授(小児科)は「(推奨の中止が続けば)将来、先進国のなかで子宮頸がんの患者が減っていない国が日本だけになりかねない」と指摘。日本産科婦人科学会も推奨の再開を求めている。推奨の中止が続く日本について世界保健機関(WHO)は昨年12月、「弱い証拠に基づいた政策決定」などと声明で批判した。

 

 引用元は朝日新聞なので典型的な悪しき両論併記に終始している感じなのですが、いらない部分は省きます。ともあれ、日本では子宮頸がんワクチンが接種の推奨から外れたまま時間ばかりが経過しているわけです。報道されているようにWHOから非難される有様ですらあるのですけれど、日本国内の動きは鈍いままと言うほかありません。年間で約1万人が発病し約3千人が死亡するともなれば相応に緊急性もありそうに思われるのですが、厚労省も政府も責任を持った決断を下すことを厭うようです。

 不作為もまた罪であると言いますか、何かをやった結果として非難されることもありますけれど、反対に「やるべきことをやらなかった」場合もまた責任を問われるべきものと思います。たとえば民主党&白川日銀総裁時代なんかは典型と言いますか、デフレ放置と実態から完全にかけ離れた超円高を「見守るだけ」なんてのは背任行為に等しいわけです。しかるべき立場の人間が「何もしない」ことで巻き起こされる損失もまた、「何かを決めた」ことが招いた結果と同様に問題視されるべきではないでしょうか。

 子宮頸がんワクチンに関しても然り、一部の声に怯んで接種の推奨を控えてしまえば当然ながら子宮頸がんウィルスへの感染予防に負の影響が出る、ワクチン後進国としての日本にまた失敗の1ページが追加されることにしかなりません。行政が「やるべきことをやれば」防げるはずのウィルス感染を黙認したままで良いのかどうか、そこは問われます。日本は反グローバリズムの牙城みたいなところもありますけれど、「先進国のなかで子宮頸がんの患者が減っていない国が日本だけ」になってしまう、そんな未来は避けたいところです。

 「原発事故(放射能)の影響で鼻血が出た」と強弁する人は今なお存在します。放射線については分かっていることが多く、鼻血が出るほど被曝すれば遠からず死んでしまうので「鼻血だけで済んでいれば放射線の影響でないことは確実」と断定はできるものですが、それでも鼻血を「原発のせいだ」と主張して止まない人がいるわけです。まぁ本当に、かつ頻繁に鼻血が出るなら何らかの健康問題が疑われるので医療機関の受診が勧められますが、そこで「放射能のせいだ」と信じ込んでしかるべく治療を受けない(受けさせない)ともなると、今度は医療ネグレクトへと発展してしまう、自体は余計に悪化することになります。

 子宮頸がんワクチンの副作用を訴える人々もまた然り、ワクチン接種とは別の要因でも起こりうる症例を「子宮頸がんワクチンの副作用だ」と安易に断定してしまうと、本来の原因に応じた適切な治療機会を逸してしまうことに繋がります。原因はさておき日常生活が困難になるような症状は確かに起こっているのでしょうけれど、その原因を探る動きはどれほどのものなのやら(類似症例の線維筋痛症など原因が明確でない類いも多いのですが)。被害者の支援者や便乗者の中には、無責任に「それはワクチンのせいです」と医師でもないのに「診断」している人が多い気がしますね。

 そして上記の通り、とうとう集団提訴なんて動きもできてしまったことが伝えれています。盲目的に賛同する人もいれば、これを無理筋と語る人もいます。実際の医療従事者の圧倒的多数は後者のようですが、結果はどうでしょう。原発稼働を巡る一部の訴訟のように、何よりも己の思想信条を優先する裁判官は実在します。その辺は上級審で判決が覆されることもあるわけですけれど、地裁での判決が高裁で引っ繰り返るのが普通になってしまえば、今度は司法への信頼の方が怪しくなってしまいますね。問われるのは、被告以上に司法の方かも知れません。


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