非国民通信

ノーモア・コイズミ

「是正した」なら使ってもいい

2018-04-01 22:21:17 | 雇用・経済

東京労働局長が撤回 報道各社に「是正勧告してもいい」(朝日新聞)

 裁量労働制を違法適用していた野村不動産の宮嶋誠一社長を昨年末に呼んで特別指導をした厚生労働省東京労働局の勝田(かつだ)智明局長が30日の定例記者会見で、出席した新聞・テレビ各社の記者団に対し、「なんなら、皆さんのところ(に)行って是正勧告してあげてもいいんだけど」と述べた。企業を取り締まる労働行政の責任者が監督指導の権限をちらつかせて報道機関を牽制(けんせい)したととられかねない発言だ。

(中略)

 発言の真意をただした記者に対し、勝田氏は「多くのマスコミでも、違反がないわけではないんでね」「みなさんの会社も労働条件に関して、決して真っ白ではないでしょう」などと言及。テレビ局を例に挙げ、「長時間労働という問題で様々な指導をやってきています。逐一公表していませんけど」とも述べた。

(中略)

 東京労働局管内では近年、朝日新聞社や日本経済新聞社、TBSが違法な長時間労働で是正勧告を受けた。記者が過労死したNHKも指導を受けている。

 

 さて一方の当事者であるブルジョワ新聞社によれば、「労働行政の責任者が監督指導の権限をちらつかせて報道機関を牽制した」とのことですが、どうしたものでしょう。実際問題、新聞社もまた違法な長時間労働が常態化している業界であり、「その気になれば」厚労省が勧告できる条件は整っている、過去にも勧告を受けた実績があるわけです。本当に清廉潔白なら脅しなんかは通用しないのでしょうけれど、脅しが成り立つ実態があるからこそ、この労働局の発言が重みを持ってくるとも言えます。

 まぁ、日本の労働環境は必ずしも行政の不作為だけで作られたものではありません。改革の名の下に自由を保障された経営者達だけではなく、意識の高いブラック世論によっても現在の形は作られてきたように思います。新聞社の労働環境は労働局による勧告が成り立つ水準が当たり前なのかも知れませんが、では是正勧告を受ける必要がない「ホワイトな」労務環境だったなら――不当に利益をむさぼる害虫として世間の憎悪を集めるのは、公務員以上にマスコミ関係者であったことでしょう。

 ともあれ今回の労働局局長の発言を非難するのも理解できないではありませんが、一方では「勧告を受ける謂われはない」と断言できるように自社の労働環境を法に適ったものにするよう努めることも、求められてしかるべきと思います。もちろんブルジョワ新聞の意識高い記者ともなれば何事も経営者目線でしか考えられないのかも知れませんけれど、いたずらに天下国家を語るよりもまず自分の周りの労働環境を考えることも大事ですよね?

 むしろ労働局側が責められるとしたら、権限をちらつかせたことではなく、過去に是正勧告をしたはずの事業者が今なお「違反がないわけではない」「労働条件に関して、決して真っ白ではない」ことではないでしょうか。朝日新聞社や日本経済新聞社、TBSが違法な長時間労働で過去に是正勧告を受けたと伝えられていますが、それにもかかわらず現在でも「違反がないわけではない」「労働条件に関して、決して真っ白ではない」のなら、労働局の是正勧告が実効性を伴っていないことを示すものだと言うほかありません。

 そもそも労働局たるもの、そこら辺の事務所や居酒屋で「勧告する」「指導する」と大口を叩いて仲間と心をなぐさめあっているような負け犬どもとはわけが違う存在でなければなりません。「是正する」と心の中で思ったなら、そのとき既に行動は終わっているべきでしょう。「是正勧告してもいい」そんな言葉を使う必要などないのです。「是正した」なら使ってもいいですが。

『社会』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
« 野党は記録することを求める... | トップ | 神風は北から吹くか »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

雇用・経済」カテゴリの最新記事