非国民通信

ノーモア・コイズミ

財政再建を説くならば

2016-04-13 23:25:53 | 政治

 諸々の国際的な枠組みが作られる中で、統一されるべき考えられているものもあれば、各国の自由に任されるべきと考えられているものもあるわけです。たとえば日本も関わるところとなりますとTPP絡みで著作権法なんかは、「統一されるべき」グループに属しているようで、その辺は幾分か陰謀論的な脅威論を呼んだりもしています。EUでも、統一通貨が導入されたりしているのは誰もが知るところで、これが為替相場の変動による域内の調整機能を麻痺させドイツが周辺国経済を疲弊させる事態を招いたりもしているのですが――まぁメリットもあればデメリットもあると言えます。

 逆に「自由に決めるべき」グループに属するものも多く、その頂点に位置するのが法人税率でしょうか。国際的な枠組みが作られ、その参加国の間で統一ルールが設けられる中でも「あくまで各国が自由に」設定しているのが法人税率で、民間企業の商行為であればダンピングとして糾弾されて当然の低税率を設定することで「法人税率の低さを当て込んだ企業」の招致に励む国もいる、わざわざペーパーカンパニーの設立に便宜を図る国もあるわけです。この分野における真のイノベーターであるアップル社を筆頭に租税回避は好んで利用されているところもありますが、当然のこととして各国の財政悪化、減少する法人税を消費税増税で埋め合わせるなんて結果にも繋がっていることは言うまでもありません。

 

租税回避の対策、G20財務相会合で議論へ パナマ文書(朝日新聞)

 各国首脳らとタックスヘイブン(租税回避地)の関連を暴露した「パナマ文書」を受け、各国は連携して租税回避の対応策を協議する。経済協力開発機構(OECD)は、13日にパリで税務当局者による会議を開くことを決めた。14日からワシントンで始まる主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議でも、議論する見通しだ。

 OECDの会議では、文書で明らかになった取引についての情報共有のあり方や、国際的な租税のしくみの問題点などを確認するとみられる。G20はこの議論も踏まえ、具体的な対応策を話し合う。日本が議長国となる5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)でも、租税回避の対応策は主要な議題となる可能性がある。

 2017年から順次、日本を含むおよそ100カ国・地域が参加して、国外に暮らす人の銀行口座などの情報を交換するしくみが始まる。G20などでのこれまでの議論に基づくものだ。これにより、各国は英領ケイマン諸島などタックスヘイブンの国に開いた自国民の口座情報も、すぐに手に入るようになる。ただ、パナマはこのしくみへの参加を約束しておらず、各国は抜け道ができないように参加を呼びかける見通しだ。

 

 とかく日本では経済筋の論者ほど、租税回避地の税率を比較対象に「日本の法人税率は高すぎる」と強弁してきたものですが(法人税収は低いのに)、日本の外の世界の潮目は多少なりとも変わるでしょうか。どこかの国が低い法人税率で税金逃れを望む企業を誘致して、それへの対抗措置として別の国も負けじと法人税を下げる、そして別の国も対抗して法人税を下げる、この繰り返しで税収を減らし、消費税増税で税収減をまかなうのにも失敗して財政悪化が進んでしまう、まさに負のスパイラルです。それを止めるためには単独の国家による対策では無意味で、まさに国際的な枠組み作りが求められると言えます。

 日本ではグローバリズム=悪という見方も強いですし、租税回避地の税率を口実に法人税を下げるべきだと説く人も多いです。積極的に国際的な連携を築いて租税回避を阻止するという方向に我が国が動くとは、なかなか考えられないところでもあります。ただギリシャのように法人税を下げて代わりに消費税を上げて、それで財政破綻した日本の先達もいるわけです。法人税を下げて企業を国内に止める、国外から呼び寄せるという、そうした従来路線は既に限界を見せているのではないでしょうか。日本政府はパナマ文書に関して調査しないとの方針を表明しているようですが、いい加減に路線転換すべき時期にさしかかっているのではと私には思われます。


コメント   この記事についてブログを書く
« 権限委譲が出来ていないのって…… | トップ | 極左党公約 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治」カテゴリの最新記事