非国民通信

ノーモア・コイズミ

日韓に見る過去との連続性

2019-08-04 22:09:19 | 政治

 さて韓国との関係が悪化するばかりで、レイシストは自慰の手が休まらないといった状態でしょうか。もっとも日本による「ホワイト国」からの除外は少しばかり意外でもありました。日本の外交政策とは即ち「アメリカ第一主義」の一言に尽きます。アメリカがA国を敵視すれば日本もそれに倣い、アメリカがB国を友好国と見なせば日本もそれに従う、それこそ戦後日本の不変の外交方針であったはずです。ところが今回は、アメリカが危険視したわけでもない国を相手にこの措置ですから、異例の対応とは言えるでしょう。

 建前はさておき実態としては従軍慰安婦問題を巡る報復と見る他ありませんが、この軋轢が拡がる理由としては、昨年にも書いたところです(参考、理解できるところもある)。日本人があまり近現代史を知らないという問題も大きいですが、もう一つ付け加えるなら、日本と韓国の現政権が、過去との連続性をどう考えているか、という要素も大きいのかも知れません。

 即ち日本政府が、大日本帝国との連続性を強く感じている(ゆえに、日帝への批判を自身への非難と受け止めがち)一方で、韓国政府は軍政時代――つまり日韓請求権協定が結ばれた当時の政体と現体制を、必ずしも連続したものとは見なしていないように思われます。軍政を否定して民主化を成し遂げた後の政権としては、軍事独裁政権が国民を無視して決めたことなど、そうそう遵守する気にはなれないのでしょう。

 日本政府にとって旧日本軍への責任追及は、しばしば日本そのものへの攻撃であると見なされます。現代の日本国は自国の軍事政権を倒して成り立ったものではありませんから、それは仕方ないのかも知れません。しかるに韓国は、自国の軍事政権を退場させて民主化を果たした国です。そうなると、過去の軍事政権下の取り決めに、何処まで縛られるべきかという感覚は必然的に出てくるのではと思われます。

 現代において、国際社会における善悪はアメリカが決定します。アメリカの同盟国であれば軍事独裁政権でも侵略国家でも、自由と民主主義の同志であり、国際社会における「ホワイト国」になるわけです。ただし、ホワイト国扱いはアメリカとの関係次第です。例えばイランに侵攻していた当時のフセイン政権はアメリカの支援を受ける側でしたが、状況を勘違いしてクウェートへの侵攻を始めるやいなや、国際社会の敵として扱われるようになった等々。

 韓国もまた、日韓請求権協定が結ばれた当時を含め、結構な最近まで軍事政権による支配が続いていました。民主化を求める人々は過酷な弾圧を受けていたことが今では広く知られています。にも関わらず反共の前線基地としてアメリカの重要なパートナーであったことから、当然ながら西側諸国にとって「ホワイトな」国として扱われ、国際社会の非難を浴びることは少なかったわけです。

 かくして「ホワイトな」軍事政権を相手に日本政府は請求権協定を結びました。その後の履行において韓国軍=政府は必ずしも誠実ではありませんでした。これが現代に至る問題の原因の一つとなっているところもあるはずです。軍政を退けて民主化を果たした人々からすれば、軍部の結んだ協定に縛られる意識は、決して強いものではないでしょう。一方で軍が牛耳る時代との連続性を強く感じている日本政府からすれば、その感情は理解しがたいものに映ると言えます。

 いずれにせよ、アメリカの世界戦略を担う一翼としての立場は日本も韓国も同じですから、その中で日本が独自に韓国への報復措置に走ったことは全くの想定外であったろうと考えられます。アメリカの機嫌さえ損ねなければ、民主化を求める人々を弾圧しても許されてきた、そんな実績もあるわけです。私自身、「日本独自の」判断は予想しませんでした。しかし日本独自の判断ができるのであれば、1965年を振り返って(アメリカの同盟国であろうとも)非民主的な軍事政権との協定が適切だったのかどうかも、考えてみるべきなのかも知れません。

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